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予告編

二人称の物語に登場するのは

私と彼女だけ

父と娘の親子ごっこの

主人公に彼女を選んだ理由は

過去に出逢った1年限りの仲間たちと同じように

その仲間たちすら忘れないように

大切に大切に日々を記憶していたい私の

わがまま以外の何ものでもない

ただの仕事での出逢いで線引きするより

同じ時を過ごすには

どこか本音で向き合う人としてのつながりを

大切にしたかった

誰かの描いた物語のような日常ではなく

しっかりと自分自身の言葉で伝えることのほうが

やはり自分自身の心にも残るもの

この1年を振り返るには言葉では足りないと

最初からわかっていた

それを補うべくイベントごとの記録写真には

記憶に残す写真もたくさん収められている

切り取った瞬間にはドラマのような

ワンシーンがいくつもあった

声に出すセリフがあろうがなかろうが

シャッターを押すまでの心模様が

今見ても伝わってくる

時系列に並べた写真を振り返りながら

たった1年が永遠へと変わるように記憶する

先の特別編は彼女に話した

物語には続きがあると喜んで読みたいと

彼女からのリクエストでLINEに送った

最終回を書かないのにはこれまた理由がある

とても賢い彼女の返事を待つことにした

そう考えると楽しくなる

恩着せがましく変な期待をするつもりはない

『お父さんウザ!』に匹敵するような

リアルなダメおやじに仕立てつつ

1年をありがとうで締めくくるのか?

単純に楽しかったで完結なのか?

今はまだ思い出にはしたくないこの続きを

彼女と共に作り上げたいと思ったのが理由

こうして彼女を思うしあわせな優しい時間のなかで

私は今、静かに微笑んでいる

もし仮に

涙の最終回だとしても

それは

悲しさやさみしさより

楽しかった笑顔の涙であってほしいと

心から願っている