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【小説書き方:勉強本】『ボーイズラブ小説の書き方』



前回書いた書評を、まぁまぁの方に読んでいただけて、嬉しくなりました! ありがとうございます!

今回は、BL小説の書き方勉強本としてそのまんまズバリ! なタイトルの↓の本を紹介します。

※kindle版はなく、上記の書籍版のみです(2020年8月現在)
※2004年刊行の本なので、ちょっと古めです

BL小説を上手く書き上げられないなー、何か解説している本ないかなーと思って探しているときに見つけました。

なんと、実際にBL小説を発行している、花丸編集部さんが編集しています!

編集部が求めている=新人賞受賞しやすい商業BLを書くコツがわかるのでは!
と期待して購入しました。



【どんな本?】編集部へ来た質問の回答を、指南書として1冊にまとめた本


簡潔にまとめると、

編集部に、ボーイズラブ小説の書き方に関して質問が寄せられている。
が、質問している人は違うのに、毎回まったく同じ質問がくる。

ファンタジーは流行らないのか、Hシーンは必須なのか……etc

ということは、皆同じようなことで悩んでいるのでは?
じゃあ質問への答えを、指南書としてまとめたら、皆の役に立つはず!

という本です。

私はちょっとだけ編集の仕事をしたことがあるのですが、個人的に冒頭でちゃんとコンセプトを提示しているところが、さすが編集部主導で作っている本だな……! と感動しました(なんの話だ)。

「基本的にはこうすればいいですよ。」
ということはまとまっていますが、書いてあることはあくまで基本でしかなく、すべてに従う必要はないと書かれています。

なぜなら、結局は「面白ければ正義」だからです。


目次で本の構成を見てみる

ではここで目次を見てみましょう。


第1章 そもそもボーイズラブ小説って何だ?
第2章 初級編 コレが小説を書く基本テクだ!
第3章 上級編 ボーイズラブ小説ならではの悩みもこれで解消!
第4章 FAQ その他の質問とその解答
(『ボーイズラブ小説の書き方』より引用)

1章で花丸編集部さんの考えるBL小説を定義し、2~4章で寄せられた質問に回答している、という構成です。


各章ざっくり内容まとめ

では各章の内容をざっくり見ていきましょう。


第1章 そもそもボーイズラブ小説って何だ?

花丸編集部が定義する、BL小説とは?という定義をまとめています。以下3つにあてはまるもの=BL小説とのことです。


1.ボーイズラブ小説とは、男性同士の恋愛である
2.書き手も読み手もほとんど女性という点で、ゲイノベルとは一線を画す
3.形式としては少女小説の、精神としては少女マンガの流れを汲んでいる
(『ボーイズラブ小説の書き方』より引用)

見ていただければわかるとおり、超基本のことですね。

注意事項や禁止事項が増えるときというのは、大体できていない人がいるため、「NGだよ!」と明文化するといいます。

もしかしたら、こうした定義から外れた作品も多く投稿されていたのかもしれません……。



第2章 初級編 コレが小説を書く基本テクだ!

この章では、プロットは作った方がいい、一人称と三人称はどちらがいいか、といった基本的な内容について触れています。

全24項目あるので、24質問に答えている、といえます。
いくつか項目名を上げてみましょう。


8ペンネームの付け方
9著作権について
16上手な描写テク
21短編と長編の違い
(『ボーイズラブ小説の書き方』より引用)

2章の項目を踏まえれば、レベルはともかくBL小説は書けそうな感じです。

初心者に、「ここも考えてほしいな!」とポイントを紹介して、考えるきっかけを提供している感じがしました。

基本中の基本といえばそうですが、中級者以上でも「実はそのポイント(細部)まで意識して書けていなかった」ということがありそうです。

たとえばプロのバレエダンサーは、指先、爪先という身体の隅々まで意識を巡らせて踊っていると思います。それを自分の小説でできているか、というチェックに使えるな、と思いました。

もっといえば、自分のレベルチェックにも使えると思います。
「あ、わかるわかる、そうだよね」という項目が多い場合は中級者以上。「あ、これ考えたこと、気にしたことなかった」という項目が多い場合は初心者と分類できると思います。



第3章 上級編 ボーイズラブ小説ならではの悩みもこれで解消!

3章は上級編なので、2章よりもちょっとレベルの高い質問への答えがまとめられています。

全14質問ありますが、同じように一部を例としてあげます。

6Hシーンがうまくなるには
8お約束や王道は受けない?
9女性キャラの扱い方
10ハッピーエンドでなきゃダメか?
(『ボーイズラブ小説の書き方』より引用)

ただ書くのではなく、読者が読みたいのはどんな作品か、という視点を持っている人が気になるポイントですね。

また、3章ではエロシーンを書くことに関する解説もあります。
「あれやそれを他の言葉で言い換えると?」という言葉辞典は参考になりました。ちょっとうけてしまいましたが。


第4章 FAQ その他の質問とその解答

4章は、ボーイズラブ小説家になるためにしておいた方がいいことや、収入の実態など、小説の書き方というよりその周辺事情に関する質問が多かったです。

1ホームページはもっていたほうがいい?
8小説の持ち込みはなぜできない?
(『ボーイズラブ小説の書き方』より引用)

「新人賞を受賞したい!」「ボーイズラブ小説家になりたい!」と本当に思っているからこそ、こういった周辺事情が気になって質問したのだろうなーと思いながら、ふむふむ読みました。


その他、勉強になったこと

おまけのような項目として、編集者と下読みさんが投稿作品あるあるを語っている座談会記事が載っています。

こういう作品は困るあるある、など実際の現場の判断基準を知ることができ、参考になります。

また、前回の記事で読んだ本では、ポルノ小説は下読みがいない、と書かれていましたが、BL小説では下読みさんがいる場合もあるのだな、と知ることができました。

投稿作品が多く、編集者だけでは読み切れないからだそうです。
つまり、それだけライバルが多くいるということですね……怖や怖や。

おわりに:初心者にはおすすめの基礎指南書、中級者以上にとってはコツの再確認として役立つ本

昨今は、ネット上でBL小説の書き方についての解説が多数書かれています。

新人賞に応募したいと思っている人は、すでにそういう記事を調べて学んでいる人が多いのではないでしょうか。

この本ではかなり基本的なことが多く書かれているので、ぶっちゃけ、「他のところでも聞いた話だな」という内容も多かったかなと思いました。

そのため、まったく調べたことがなく、これから挑戦したいと思っている!という人にはちょうどいい入門書ですが、ある程度情報を知っている中級者以上にはちょっと物足りないかな~と感じる部分もあります。

ただ、前述した通り、小説を書く上で「ここ、ちゃんと考えられていますか?」というチェックリストとしてであれば、中級者以上でも十分使えるなと思いました。

私は、この記事を書くために改めて読み直したのですが、かなり前に読んだ初回では「ふ~んそうなんだ~」と読み流していたことを、今回は「わかる~そうだよね!」と頷きながら読むことができました。

ネットの情報や作家さんの話を聞いて学んだからこそ、ようやく腹に落ちて理解できた、ということことだと思います。

時間をあけて何回か読むことで、自分の成長を測る指標としても使えるかもしれません。

ただ、2004年に刊行された本なので、流行に関する情報は古いもの、と注意して読んだ方がいいと思います。


ではでは今回はこの辺で。
参考になったなーという方はぜひ、スキ!してください。






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