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恋い焦がれた、8年半。

出逢いは2012年、友達の家にあった『週刊少年ジャンプ』。

当時、専らの少女漫画脳だった私。
『少年漫画ってあんま読まないな〜』と思いながら何となくペラペラめくった。

目に飛び込んできたのは『ハイキュー!!』第3話。

これを読んだ時、初めて触れた少年漫画の熱量、迫力に、幼いながらも打ちのめされたのを覚えている。


この日から私は、『ハイキュー!!』の虜になってしまった。


その日から貯めたお小遣いを握ってコンビニへジャンプを買いに行く、「『ハイキュー!!』が打ち切られたら悲しすぎる」、その一心で毎回アンケートを書いてポストに投函、そういった生活を送った。
我ながら一途だった。

私の不安なんてなんのその、この作品は歳月を経るごとに面白くなっていく。愛読者が増えていく。アニメまで始まる。どんどん『週刊少年ジャンプ』の看板作品として存在感を増していった。

その様子を一ファンとして見てきて、肌で感じて、とても嬉しかったのを覚えている。

まあ、私と『ハイキュー!!』との馴れ初め話はこんな感じだ。


そして明日、8年半前の自分に教えたら衝撃のあまり卒倒するかもしれないことが起こる。そう。


『ハイキュー!!』が最終回を迎える。


いやぁ、去年の秋ごろ、物語が最終章に突入したあたりから最終回を迎える日は近いんだろうなとは覚悟していたけど、本当に終わってしまう。

始まりがあれば、終わりは必ずやってくる。

頭では理解できるけど、やっぱり寂しいものは寂しい。

「『ハイキュー!!』が連載中である世界線は、もう二度と来ない。」
そう考え、その最後の一日を味わい尽くし、後悔のないようにするために、ここにつらつらと作品への想いを記そうと思う。


この作品の最大の魅力、それは「敗北」だと思う。


スポーツ漫画って、あらゆる困難を乗り越えながらも主人公が仲間とともに大きな大会で優勝して有終の美を飾るっていうのがお約束って感じ、ありますよね。

『ハイキュー!!』はそのお約束を真正面から破ってくる。

主人公、日向翔陽はいろんな場面で「敗北」を経験する。

物語は彼の中学校最初で最後の公式戦で惨敗するところから始まり、その後もIH予選準決勝、春高準々決勝でも負けを経験する。
呼ばれてない選抜強化合宿に飛び入り参加しようと思ったら参加できなかった、この経験も彼の敗北経験と言えるだろうな。

多くの敗北を経験する日向だが、そこでへこたれない。
その経験を糧に、ますます進化を遂げる。

でもこのことは日向に限ったことではなくて、この作品に「ずば抜けてバレーが上手い」とされる他のキャラクター達にも同じことが言える。
その皆もどこかの試合で「敗北」を経験することになる。
そしてこれまた日向と同様に、その後更なる進化を続けていく。

単行本42巻に収録されている第368話『なにもの』にある雲雀田監督の言葉、

「今日敗者の君たちよ 明日は何者になる?」

この言葉に古舘先生がこの作品を通して伝えたかったことが凝縮されているように感じて、この言葉を読んだとき心が震えたのを今でも鮮明に思い出す。

毎日一生懸命生きていると、成功ばかりじゃない。
寧ろ失敗や挫折、敗北を経験するほうが多いという人はいっぱいいるんじゃないかな。
少なくとも私はそういう人間だ。

でも、『ハイキュー!!』という作品は、そういった誰もが経験した「敗北」を、まあるく包み込んで、「負けがスタートだよ!頑張ろう!」と語りかけてくれるような、挫折してもう無理、立ち直れない、そういった人の背中を優しく支えてくれるような、押してくれるような、そんな優しい作品だと、最終話が近づくごとに強く感じる。

私自身、タケちゃんの「”負け”は弱さの証明ですか?」「君達がそこに這いつくばったままならばそれこそが弱さの証明です。」という言葉に何度も新たな一歩を踏み出す勇気をもらいました。

長々と魅力について語っちゃったけど、まだこれは私が思うこの作品の魅力のほんの一部にしか過ぎないんですよね。
他の魅力についてはまた今度語っていこうかなと思います。

本当にね、語りたいこと沢山ある。

日向と影山の運命的な出会い、各キャラクターのバレーを通して語られるエピソード、終幕が近づくにつれ今までの話がどんどん繋がる感動さえ覚えてしまうほど見事な伏線回収、古舘先生の漫画における表現力の高さ(画力然り、アッと驚かされる斬新でダイナミックなコマ割り然り)、バレーボールの魅力を世界に届けるにとどまらず、「スポーツ」の魅力まで見事に描ききってくれたこと。

ああ、語っていながら改めて「好き」に溺れる。

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『ハイキュー!!』が、初めて夢中になった少年漫画。
そこから少年漫画の魅力に気づかされて、大好きになって、今まで沢山の作品を読んできた。

でも、連載当初から読み続けてた作品が終わるという経験は生まれて初めてだから、正直戸惑ってしまうし、寂しい。

これからどうやって生きればいいの!?って思っちゃう。

だって8年半続いた、この作品を毎週読むという生活が終わってしまうわけですよ。

『ハイキュー!!』は私の生活の一部であり、これまでの人生をカラフルに彩ってくれた、本当に唯一無二の大切な作品

特に学生生活を振り返ればたくさんの思い出の中にいつもその作品は寄り添ってくれている。

明日、『ハイキュー!!』は終わりを迎えてしまうけど、これからも人生に疲れたり、悩んだりしたときは必ず、何回も読み返すだろうなって確信がある。

それくらい、私にとって柱となる作品。

なんかめちゃくちゃ長くなってしまった…

私の、『ハイキュー!!』に抱いているクソデカ感情を読んでくれてありがとうございました。

とうとう最終話を迎えてしまう。
めちゃくちゃ寂しいけれど、どんなお話を古舘先生が世界に届けてくれるのかめちゃくちゃ楽しみでもある。

そして、こんな素敵な作品を始まりから終わりまでリアルタイムで追うことができたことを誇りに思う。








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