
「全国最中図鑑」90 大学最中 (東京都文京区)
東大赤門にほど近い本郷三丁目交差点角にある「本郷三原堂」は、昭和7年創業の和菓子の老舗である。創業当時から東大の名を冠した「大学最中」を製造販売し、文教の街・本郷を代表する銘菓として、80年以上伝統の味を守り続けている。
かつて本郷にゆかりのある数多くの文人たちにも愛されてきた大学最中は、大きくて平たく、ずっしりとあんが詰まっていて、一つ食べればお腹いっぱいになるほどのボリューム。あんは2種類あり、粒あんは十勝産の小豆、白あんは白隠元豆を使用している。
東大赤門は、元加賀藩上屋敷の御住居表御門を移設したものである。文政10(1827)年、徳川第11代将軍家斉の息女溶姫(やすひめ)が加賀藩の第13代藩主前田斉泰に輿入れしたが、赤門はこのとき溶姫を迎えるために建てられた。加賀百万石にふさわしい豪華な造りで、赤門の名が示すように鮮やかな朱の漆が、溶姫を迎え入れる加賀家の誇らしさ、晴れがましさを表している。


本郷三原堂
文京区本郷3-34-5
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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。