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【新刊試し読み】『気がつけばビートルズ』〈わたしの旅ブックス31〉|藤本国彦

元CDジャーナル編集長であり、ビートルズ研究家として名を馳せる藤本国彦さんがビートルズとの出会いから現在までの約50年にわたる“ビートルズとの旅”を振り返った、極私的音楽グラフィティ『気がつけばビートルズ』が本日(4月15日)発売されました。発売を記念して“プロローグ”の一部を公開します。


本書について

中学1年の時にビートルズと出会い、猛烈なコレクターとして情熱を爆発させた青春時代。さらに大人になってからもビートルズを追い続け、気がつけばビートルズが生業となっていた一人の音楽狂の半生を、当時の克明な記録と写真で振り返る。1970〜80年代に青春を送った全ての音楽マニアに贈る一冊。


プロローグ

 行くたびに発見がある。
 旅の醍醐味は人それぞれだと思うが、個人的に感じるのは、たとえばそんなことだ。もうひとつ、時間も空間も含めて非日常を体験できることも、旅の大きな魅力である。不思議なもので、旅先だと、1日=24時間が、1日=48時間ぐらいの長さに思えてくる。その密度の濃さこそ、非日常体験の証なのかもしれない。海外にいると、脳が活性化し、意識がどんどん開かれていくような気もする。トリップには内外両方の意味合いが含まれているのだろう。
 その一方で、旅の楽しさは、音楽の楽しさにも似ている。冒頭の一言を、こう置き換えてみよう。
 聴くたびに発見がある。
 と書いてみて、個人的に即座に思い浮かぶのは、本書の主題でもあるビートルズだ。現役時代には間に合わなかったが、解散後から意識的に聴き始めて、半世紀近くになる。これほど長く聴き続けても、いまだに飽きることがない。いや、飽きるどころか、新たな音源や映像が登場するたびに、ますますのめり込んでいく。
 そして現在は、ほぼビートルズに関することだけを生業にするという恵まれた日々を送っている。肩書は「ビートルズ研究家」にしてはいるものの、個人的には「ビートルズやくざ」の方がしっくりくる(本書を読んでいただければ、なるほど、と思う方がいるかもしれない)。なぜかというと、研究しているという意識はなく、知りたいという思いと、それを文章や本などの形にして伝えたいという思いのほうが強いからだ。結果的に、「研究」しているという見え方になっていると自分では思っている。


目次

Disc1 ビートルズとの旅の始まり
Disc2 ポール・マッカートニーの幻の日本公演とジョン・レノンの死
Disc3 初の海外旅行はロンドン&リヴァプール
Disc4 初のニューヨーク旅行
Disc5 ラスヴェガスで観たビートルズ×シルク・ドゥ・ソレイユ『LOVE』
Disc6 リヴァプールで観たポール・マッカートニー
Disc7 ビートルズ「冥土の土産」ツアー


著者紹介

藤本国彦
1961年東京生まれ。(株)音楽出版社の「C Dジャーナル」編集長を経て2015年にフリーに。主にビートルズ関連書籍の編集・執筆・イベント・講座などを手掛ける。主な編著は『ビートズル全213曲全ガイド』(音楽出版社)、『GET BACK …NAKED』(牛若丸/増補版『ゲット・バック・ネイキッド』は青土社)、『ビートル・アローン』(ミュージック・マガジン)、『ビートルズはここで生まれた』(CCCメディアハウス)など。「速水丈」名義での編著も多数。映画『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK : The Touring Years』の字幕監修も担当。無類のカレー好き。

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『気がつけばビートルズ』著/藤本国彦
  2021年4月15日(木)発売
【シリーズ】わたしの旅ブックス
【判型】B6変型判(173mm×114mm)
【ページ数】352ページ
【定価】1,320円(税込)
【ISBN】978-4-86311-293-3


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「わたしの旅ブックス」とは

“ 読む旅” という愉しみを提供する、がコンセプトの読み物シリーズ。さまざまな分野で活躍する方々が、自身の旅体験や旅スタイルを紹介し、人生を
豊かに彩る旅の魅力を一人でも多くの人に伝えることをめざしている。ジャンルは紀行、エッセイ、ノンフィクションなど。