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Monthly MAL vol.10

Happy Halloween!現在MyAnimeListでは絶賛ハロウィンイベント中です。日本時間の11/1 16:00まで開催していますので、是非のぞいてみてください❤️

そして今回のMonthly MALですが、秋クールアニメ作品速報、AI vs 経験則のアニメ対決、Modsの秘密2〜Modsのモチベーションを行動経済学で考える〜の3本をお送りします。最後までお楽しみください!

2022年10-12月クールアニメ作品の速報数字

データ活用チームでMALにジョインしている電通の清水です。
10-12月クールのアニメが始まり約1か月が経ちました。昨今はいつでもアニメの話題に欠くことはありませんが、10-12月クールは特に注目作品が集まっている印象があります。まずは10-12月クールの初速から見ていければと思います。

2022年10-12月クールアニメ作品の速報数字

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※データは2022/10/24時点のものです
※2022年10-12月クール作品のうち、日本で地上波で放送されている作品およびSVODなど配信限定の1話20分以上の作品をピックアップしています
※配信限定作品に関しては、10月からスタートしない作品もカウントしています
※メンバー数は「作品をマイリストに追加」した人の数です
※評価は「作品をリストに追加し、かつ評価した人」の評価数平均です
※各項目上位10作品を赤くマーキングしています

■メンバー数/メンバー数増加数NO.1「チェンソーマン」

最も多くのメンバーを獲得したのは「チェンソーマン」となりました。日本国内でも話題沸騰の作品ですが、海外においても状況は変わりません。放送前開始前の時点でメンバー数は50万を超えており、事前の期待も群を抜いて高かった作品です。放送開始後の評判も上々で、増加したメンバー数でもNo.1となっています。スコアも8.9と極めて高く推移しており、今後の伸びも期待できる作品です。

参照されているレビュー(I-Watch-Animeさん:評価10)

この作品のアニメーションは、まさに完璧です。2Dと3Dをミックスしたアニメーションは完璧に調和しており、他の作品のようにひどい3Dアニメーションになることはありません。音楽と声優も完璧で、漫画を読んだことのある人ならきっと同意してくれるでしょう。

■スコアNO.1「BLEACH 千年血戦篇」

最も高いスコア、9.1を記録しているのが、10年ぶりのアニメシリーズ続編となった「BLEACH 千年血戦篇」です。過去シリーズと同じスタジオぴえろが制作を手がけ、ファンの期待を裏切らないクオリティで大きな評価を得ています。4クールに分けて原作の完結までを描くと発表されており、しばらくの間アニメシーンを沸かせることになりそうです。

参照されているレビュー(Eyad_Alshabibiさん:評価10)

BLEACHファンとして、BLEACHが完全な形で復活したことをどれだけ嬉しく思っていることか。2016年に漫画が終わってから、ファンは千年血戦篇がアニメ化されることを待ち望んでいましたが、その待ち望みは無駄ではなかったようです。また卍解を聞いただけで、涙が出ました。

■メンバー数のはね率No.1「アキバ冥途戦争」

放送開始前からメンバー数のはね率(初速計測時メンバー数/放送開始前メンバー数)が大きくなったのが「アキバ冥途戦争」です。実に6倍にも迫るはね率を記録しており、放送後の話題の大きさを物語っています。破天荒な作風は国内でもSNSでの大きな話題を呼び、10-12月クールの注目作品の1つになっています。

参照されているレビュー(Ellenwitchさん:評価8)

「本当の地獄だ。」この番組を見始めて数分で、あなたはまさにそう思うでしょう。もし、あなたがかわいいメイドのような番組を求めているのなら、他をあたったほうがいい。正直、「ゾンビランドサガ」のような雰囲気があります。奇妙で、大げさで、常に大胆不敵で、ビートを逃さない。最初から最後まで楽しく見ることができる。毎回、新しいテーマが用意されており、彼らが今日、どんなワイルドなことをするのか、ポップコーンを用意することになる。

AI vs 経験則 予測対決の中間報告

9月のMonthlyMALでは、10-12月クールの作品のメンバー数とはね率をAIと経験則の2つのアプローチで予測しました。メンバー数はほぼ同じ作品を予測していましたが、はね率に関しては両者で違いがありました。あくまでこれは放送終了時を予測したものですが、現時点の進捗で様子を伺ってみたいと思います。

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こちらが先月掲載した事前の予測です。これと10月24日時点のデータを比較してみたいと思います。

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※データは2022/10/24時点のものです
※2022年10-12月クール作品のうち、日本で地上波で放送されている作品およびSVODなど配信限定の1話20分以上の作品をピックアップしています
※配信限定作品に関しては、10月からスタートしない作品もカウントしています
※メンバー数は「作品をマイリストに追加」した人の数です
※評価は「作品をリストに追加し、かつ評価した人」の評価数平均です
※各項目上位10作品を赤くマーキングしています
※10月24日時点でメンバー数50,000以上の作品を赤字にしています
※青はAI、経験則両者が予測したもの、緑がAIのみ予測したもの、黄色が経験則のみ予測したもの

■大穴「アキバ冥途戦争」

AIでもMALスタッフの経験則でも、現状TOP1であるアキバ冥途戦争を予測の中に含んでいませんでした。破天荒な作風が巻き起こした話題は事前には伺いしれないところが大きく、MALのメンバーだけではなく、AIやMALスタッフでも予測しにくかったのかもしれません。

■2番手の「ぼっち・ざ・ろっく」をAIが的確に予測

はね率TOP30作品を掲載しました。このうち、メンバー数が5万人を超える作品だけを赤字にしています。(これはメンバー数が少ないと少しの増加で大きなはね率を示してしまうためです。)

■経験則予測はTOP10すべてがはね率TOP20内に位置

経験則予想のTOP10は、現状のはね率TOP20の中にすべて入っており、外した作品が少なくなっています。AIの予測した作品は2本がはね率TOP30に入っていません。

いかがでしたでしょうか?10-12月クールの作品により興味が沸いたでしょうか。まだまだ初速ですので、引き続き進捗をウォッチし、MonthlyMAL上でレポートしていければと思います。予測についても変動が起こってくると思いますので、最後まで見届けていただければと思います。それでは次号もよろしくお願いします!


Modsの秘密2〜Modsのモチベーションを行動経済学で考える〜

こんにちは、MyAnimeList(以下、MAL)の樋口です。前にMonthly MALの第5号で、モデレーター(以下、Mods)って何?MALにとって彼らはどんな存在かということをご紹介しました。今回はその第二弾で、行動経済学でModsのモチベーションの源泉について考えてみたいと思います。

私は2019年の3月、メディアドゥグループのアメリカ子会社Media Do InternationalがMALを買収した当初から、チームに在籍しているのですが、はじめて上司(現在CEOの溝口)から「MALにはMods teamというボランティアベースの仲間たちがいて、運営のある部分を担当している。彼らはMALのことを愛していて、とてもうまくユーザーの面倒をみている。」というのを聞いたとき、私の頭は???となりました。継続的なボランティアというカルチャーについて、典型的な日本人の私は、何が彼らのモチベーションなのかがわからなかったからです。

ただ行動経済学的に考えると、この疑問にはいくつかの手がかりが見えてきます。「モチベーション3.0」という本で、著者のダニエル・ピンクは、内発的な動機付けということに言及しています。本の中でモチベーションは、歴史的な流れから、モチベーション1.0、2.0、3.0に分類されます。

ダニエル・ピンクの分類
・モチベーション1.0:「生理的動機付け」、生きるための本能的な動機。おいしいご飯食べたい、人からほめられたい、好かれたいみたいな人が本能的に感じる欲求
・モチベーション2.0 :現在も多くの会社や教育現場などで使われている「外発的動機づけ」、外部要因によるもの。外からの刺激で発生し、企画書を今日中に仕上げないと上司に怒られるから頑張ろう、素敵な絵を描いて賞状をもらおうみたいな、外からの飴と鞭の刺激でモチベーションを発生させる方法
・モチベーション3.0:「内発的動機づけ」、本能や外部の刺激とは関係なく、自分の内面から湧き上がってくる欲求に基づくもの


MALのModsたちは、このモチベーション3.0の特徴にマッチしています。

著者は、モチベーション3.0の特徴として、下記の三つをあげています。
・自律性:人から強制されてやっているのではなく、自分から進んでやっている、自分の人生を自ら導きたいという欲求
・マスタリー:熟達のこと、経験を積んで取り組みを成熟させる、自分にとって意味があることを上達させたいという衝動
・目的:単にお金が欲しい、上司に怒られたくないといった個人レベルの欲求ではなく、自分よりも大きいこと、自分の利益を超えたことのために活動したい、社会に何らかのインパクトを与えたいという切なる思い

Modsたちは誰にも強制されていません。自律性のある頭のいい人たちで、アニメやマンガ、MALのことが大好きで、サービスの運営に協力しています。またMALは沢山の機能を持つサービスで、なかなか複雑な作りをしています。世界中で、月間1,800万人もの人が使っているので、さまざまなリクエスト、質問など、カスタマーサポート(以下、CS)の業務があります。東京にもCSのチームはありますが、Modsたちの知識に助けられることもたびたびです。彼らの経験や実績などが私たちを助けるのです。そして目的、自分がMALという大きなコミュニティの一部であるという感覚を持ち、アニメやマンガという自分が大好きなカルチャーの役に立ちたい、海外ファンたちに彼らが欲しい情報などを与えたいという思いを持ちながら、Modsは日々クリエイティブに活動をしています。

先ほどもちょっとふれましたが、MALのユーザーサポートってけっこう大変なんです。月に2億7,000万ページビューもあると、コミュニティ内では、常にちょっとした事件が起こっています。ユーザーのサポートをするときに、ユーザー本人から文句を言われたり、意地悪をされることもありますが、彼らは頑張っています。何故なら、ユーザーと直に接していると、面白くない、へこむ、腹が立つみたいなことが起こるのとは正反対のベクトルで、しばしば驚くほどうれしいことも起こるためです。

ユーザーとModsのやりとりの大半はMALのサイト上で見ることが可能ですが、彼らの問題解決手腕はみごとで、まさにマスタリーです。ユーザーに対してとてもフレンドリーであることはもちろん、ユーザーが抱えている問題、疑問などを軽やかに解決します。ペンシルバニア大学のアダム M・グラント教授はハーバードビジネスレビュー(2011年10月号)の中で、”働いている人をやる気にさせるのは、上司より、顧客からの直接のフィードバックだ” と言ってますが、Modsたちの様子を見ていると、だよねーと思います。自分がしていることを有意義だと感じることが出来るのは、自分に力を与えますよね。

モチベーション3.0では、オープンソースのサービス(WikipediaやLinuxなど)が成功した理由も内発的な欲求が理由だと指摘しています。もちろん人がオープンソースに貢献する際の動機はいろいろですが、楽しいという内発的な動機付け、つまりそこに参加することで自分の創造性が発揮できる、自分と同じことが好きな仲間に貢献したいという欲求は多くの人に共通しているそうです。

Modsはモデレート業務を通じてMALに関わっていて、アニメやマンガに関して、強烈なインフルエンサーであり、MALのことを語れるスポークスパーソンでもあります。コミュニティに対して愛があるスポークスパーソンを世界中に60名も抱えられるって、ビジネス的にも、コミュニティとしてもすごく心強いことです。

名古屋商科大学大学院でBehavioral Economicsを教えている岩澤誠一郎教授は、中部経済新聞の中で、”産業革命以降の社会では、仕事は「金のため」、つまり外発的動機に基づき行われるとの考え方が支配的であったが、自分はできると感じる有能感、共同作業の喜び、創造の充実感、そして顧客から感謝される際の満足感、人が仕事をする際の動機として、こうした喜びを求める心ー内発的動機ーがあるのを認めることが出発点”と言及されています。その通りだよなーそれがModsのモチベーションの源泉だよなーと思います。

私たち東京のチームは、こんなステキな動機付けでModsが貢献していて、世界中のアニメ大好きユーザーたちが楽しんでいるポジティブなエネルギーあふれるMyAnimeListという場所をよりよい場所に発展させていきたいと考えています。また日本という国が誇る文化であるアニメやマンガを世界中の人たちが楽しめるよう、これまで以上にみなさんに貢献できる存在でありたいと思っていますので、これからもごひいきに❤️

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