月刊つくづく

2019年8月31日に自由研究を発表するため創刊と同時に休刊、その後しれっと復刊したインディーズ雑誌『つくづく』。いろいろあって、月刊化。おもに寄稿を無料公開するためのアカウントです。

月刊つくづく

2019年8月31日に自由研究を発表するため創刊と同時に休刊、その後しれっと復刊したインディーズ雑誌『つくづく』。いろいろあって、月刊化。おもに寄稿を無料公開するためのアカウントです。

    マガジン

    • 無限階段

      無限階段とは……『つくづく』創刊号の好意的な意見のみを取り上げるために制作した『つくづく休刊記念増刊号『自家中毒』に続く形で『つくづく別冊①』に掲載、『月刊つくづく』から連載になった自己PR企画です。

    • みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに

      『月刊つくづく』で連載中のライター・小沼理さんによる日記にまつわるはなし。noteに全文転載しています。

    最近の記事

    日記が続かない人へ(呪いにしないための覚え書き)

    みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに④ 文・写真 小沼理 ずっと日記をつけていると話すと、「続かないんですよね......」と返されることがある。そういう時、「この人も日記を書こうとしたことがあるんだな」と親しみを覚えながら、「一言だけの日があってもいいと思うんですよ」とか、「二、三日ためちゃうこともあるんですけどね」とか、なるべく続けるための敷居を下げるような返事をしていた。でも、最近は違うふうに考えている。 「続かない」とやめてしまうのは、日記は毎日書くものだと

      • 無限階段 #5──牧田幸恵(GO ON編集人)

        なんて声をかけていいのか分からない相手がいる時、私は無意味な言葉を選択する。「頑張って。大丈夫。気をつけて」といった当たり障りのない言葉ほど、薄っぺらで、大切に思う相手へは決してかけたくない。窮地に陥っている時こそ、無意味な言葉の出番なのだ。と考える。 『つくづく』と出会ったのは昨年夏の初め。PEOPLEBOOKSTOREで『おかしな雑誌のつくりかた』を買ったことがきっかけだ(その際、植村正美『これが私の、』とセットで購入。店主の植田さんに買い方を褒められてうれしかった!)

        • 無限階段 #4──千葉美穂(デザイナー・dee’s magazine編集人)

          「なにこれ、ワケわかんない!」というものは、なるほど世の中にはたくさんある。わたしたちはよく訳のわからないものと日々遭遇し、共存し、解りたいと努め、少しでも理解した時に、人はより豊かに、たのしく、おもしろい、と感じ、生きていけるというものだ。 近頃出会った例をふたつ出してみよう。ひとつは「トポロジー」という単語。手前味噌で恐縮だが、昨年デザイン等させてもらった『製本と編集者』(編集・構成:笠井瑠美子)のなかで、トポロジーについても書かれている友田とんさんのインタビューを読ん

          • ZINEとか、商業出版とか(後編)

            みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに③ 文・写真 小沼理 出版が決まってからは早かった。最初に本格的な打ち合わせをしたのが2022年6月30日。当初は「11月の文フリには間に合わせたいですね」と話していたのだが、制作の過程で10月下旬に大阪で行われるアジアブックマーケットに間に合わせましょう!ということに。1ヶ月ほど前倒しになって余裕はなかったのだけど、どうにか完成させることができた。 いざ出版社から本を出してみて、自分がやることはZINEの時と大きくは変わらなかっ

          マガジン

          マガジンをすべて見る すべて見る
          • 無限階段
            月刊つくづく
          • みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに
            月刊つくづく

          記事

          記事をすべて見る すべて見る

            自作自演の人インタビュー「金井悟*自由研究とは、そんなものなんじゃないんですかね …」

            創刊号で休刊を宣言。その後、何事もなかったかのように復刊したインディーズ雑誌『つくづく』。最近では、大阪の銭湯に出稿した鏡広告を五号目、撮影済みの〈写ルンです〉を10号目と言い張るなど、曰く〝詭弁〟のような活動ばかりが目立つ。今回、久しぶりに販売するという『つくづく vol.6』は付録を特集。なのだが、蓋を開けてみれば雑誌ではなくオリジナルのタオルを〝雑誌〟として販売するのだという。不可解な活動を続ける編集人の金井悟に話を聞いた。インタビュアー=金井 悟 ●それって「本」で

            ドラマ批評──『エルピス』を飲み込めなかった夜

            文・宮田文久 不思議な怒りにさいなまれて、その夜はなかなか寝つけなかった。2022年10月から放送されてきたテレビドラマ『エルピス──希望、あるいは災い──』が最終回を迎えた、12月26日の夜のことだ。 普段はあまりドラマに熱心な人間ではないのだけれど、かなり楽しく追っていた作品だった。アナウンサー・浅川恵那役の長澤まさみと、新米ディレクター・岸本拓朗役の眞栄田郷敦を主演に、このドラマをつくるためにTBSテレビを辞めてカンテレへ移ったというプロデューサー・佐野亜裕美、そし

            無限階段 #3──植村正美

            小林信彦が大阪の落語家からきいた話によれば、横山やすしは〈日本人は国産車に乗るべしという考え〉の持ち主で、ベンツやポルシェを乗り回すタレントには〈車の脇に日の丸のシールを貼れば、それで外車はそのまま国産車になると言って、シールを強制した〉という(『天才伝説横山やすし』より)。 この奇妙な「国産車」は何台存在したのだろう? 変わり果てたマイカーを目にしたご家族の心中は察するに余りある。亭主がどんなに冷や汗をかきつつ説明責任を果たそうとも、妻の返答は一択であったにちがいない。

            ZINEとか、商業出版とか(前編)

            みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに② 文・写真 小沼理 2020年6月12日の日記に、「将来の目標として、自分の本を出したいという気持ちがある」と書いていた。その約2年後、タバブックスから『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』(略称『いちなが』)という日記の本を出版することになった。『いちなが』には、この記述も収録している。先日取材を受けた時、「実際に本を出されて、どうですか」と聞かれたのだけど、あまりうまく答えられなかった。 この日記を書いたのは、S

            無限階段 #2──早坂大輔(BOOKNERD店主)

            ダダイスムの創始者であるトリスタン・ツァラは、かの有名な1918年の「ダダ宣言」ののち、チューリッヒを離れパリに移り住んだ。1920年のことである。画家ピカビア、そしてアンドレ・ブルトンやアラゴンらとの邂逅がきっかけでパリに移住したツァラはやがてアンドレ・ブルトンと決別し、和解し、ブルトンが提唱したシュルレアリスム運動に参画。ユダヤ人であったツァラは第二次世界対戦下、地下出版や地下放送局に協力するなどレジスタンス活動に身を投じた。なぜツァラのことを思い出したかというと『、つく

            朝から夜に向かって書けば1本のテキストができあがる

            みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに① 文・写真 小沼理 「ひとはなぜ日記を書き、販売するのかを当事者の視点で考察していただければ」。9月の中旬、この雑誌『つくづく』の編集者である金井タオルさんからそんなふうに連載の依頼があった。金井さんとは以前別の雑誌で、日記本を自費出版しているひとたちの対談企画を一緒に制作したことがある。その時も同じように、「なんで日記を公開して、販売するんだろう」と話していた。 金井さんはこのことがとても気になるようだったけど、私は何がそんな