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内館牧子『終わった人』を読むべき理由

あなたはこの本を読むことで、典型的な日本のエリート大企業人が定年後に辿り着く心境を追体験することができます。

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p.22 一流大学に行こうが、どんなコースを歩もうが、人間の行き着くところには大差はない。しょせん、「残る桜も散る桜」なのだ。

どんなに華やかな現役時代を過ごしても、一度生産社会から抜けると誰からも求められることのない人間になってしまう、という現実に気が付かせてくれた一文でした。

p.39 あわててエプロンを外す千草を見ながら、やはり、仕事が面白いのだと思った。客から必要とされ、店から呼び出される方が、終わった男とスーパーに行くより嬉しいのは当然だ。

強烈に風刺が効いた文章の連続で笑いながら仕事について考えさせられました。ベストセラー小説にも納得です。

p.272 俺は「穏やかで楽しい余生」が楽しめないタチなのだ。何よりも「余生」という言葉がおかしい。人に「余りの生」などあるわけがない。八十であろうが九十であろうが、患っていようが、生きている限りは「生」であり、余りの生ではない。

波乱万丈な生き方を求めている自分に気が付かせてくれた本文に感謝です。角幡唯介氏著『探検家の憂鬱』にも似た内容が書かれていたので紹介します。
「安定した仕事に就いて、可愛い嫁さんをもらって、子供をニ、三人作って、休日になったらイオンとかイケアに出かけて買い物して、それで満足できる性格だったら実に楽なんだけどなあ、と思うこともしばしばあるのである。」

p.438 「川だって、新潟の人は信濃川。長野の人は千曲川、京都の人は鴨川、高知の人は四万十川・・・みんな自分の川だと思ってな。これほどいい川はないと思うべよ。面白いもんだな。」故郷とはそういうものだろう。どこのだれでも「故郷の山に向かひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな」なのだろう。

思い浮かべられる故郷がある人を羨ましく感じた一文でした。親が転勤族だったり、先祖代々都会に住んでいる人は引退後、どこの地域を住処として選ぶのでしょうか。

引用は以上です。読みたい気持ちになっていただけたでしょうか?
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