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「問題があってもすぐに問題を解決しない!?」エンジニアリングマネージャーに聞く、モノタロウのサービス開発の裏側

モノタロウでは急速に拡大を続けるビジネスの変化に対応するため、国内売上1500億円規模のECシステム基盤の全面的な刷新を進めています。今回はエンジニアリングマネージャーとして2019年9月にモノタロウにジョインし活躍する普川さんに、入社に至った経緯から現在手掛けている新たなECシステム基盤構築プロジェクトの裏側のお話を伺いました。

ー 普川さんはどういった経緯でモノタロウに入社することになったのですか?

前職もECの会社で働いていましたが、在籍して10年が経ち、そろそろ何か新しいことに挑戦したいと考えていました。転職を考えて次はどんなチャレンジをしようかと考える中で、一つポイントになるのはデータだろうと考えました。今後はどの会社もよりデータを活用し、データドリブンでビジネスを動かし、あらゆる業務がデジタルで進むことが当たり前になっていくだろうと。自分は今ままでずっとシステム作りとそのマネジメントをやってきましたが、今後はその経験をベースに、データをどのように集めどのように基盤の上に格納し、そしてそれをどのようなアルゴリズムで活用するのか、それらをまとめてあげる戦略は何か、トータルでマネジメントするのは面白いチャレンジになるのではないかと考えました。であれば、それが経験できる会社でかつ自分の過去の経験も活きるところがよいと考えていたところ、縁があってモノタロウに入社しました。

問題があってもすぐに問題を解決しない!?

ー 入社してみて知ったモノタロウの特徴を教えてください。

モノタロウに入社してすぐに、とても驚いたことがあります。それは「すぐに問題を解決しない」ことです。もちろん緊急で対応の必要があるトラブルなどは迅速に解決します。でもそうではない、構造的に起きる問題はすぐに解決しないのです。なぜならまた同じ対応をしなくてはいけないから。例えば、ある時売上が目標からかなり下回っているということがありました。過去の自分の経験だと、このギャップの原因を分析し、売上を挽回するために追加施策をプランニングしてすぐに動きだすだろうと考えました。施策にはシステム改修が必要な対応もあるだろうから、もともと予定していた活動の予定の調整をしなくてはいけないだろうと考えていましたが、全く必要がありませんでした。モノタロウではどうもそういう風には動かないのです。多少は販促施策を増やしましたが、対応はそれだけ。特別に通常の活動を止めてまで緊急で売り上げを上げる対策は行わず、むしろ今進めている案件を早くローンチさせることに重きを置くということが当たり前のように行われていました。

短期的な問題解決だとその時発生した具体的な問題の解決をするだけにとどまるので、同種の問題が再度発生した場合にまたその解決を行う必要が出てきます。それよりも、モノタロウでは発生する問題の本質的な原因は何で、その課題をどう永続的に解決できる仕組みを作るかを徹底して行います。これを短期的に見ると随分と思い切った決断ですし、結果もすぐには出ない我慢も必要ですが、長いタイムラインで見ると結果的に仕組みが効率的に成果を出し続けることになります。こうした取り組みがモノタロウの継続的な成長を支える要因の一つなのだと思います。

システムとは、突き詰めると良い仕組みをエンジニアリングの力でレバレッジを効かせるための手段であると言えますので、モノタロウの仕組みを重視するという考えはシステムを担当する人間としてはとても有り難いですし、やりがいを感じます。

ー モノタロウでは仕組みをとても重要視するとのことですが、エンジニアリングの視点からすると、それにはどういった理由があるのでしょうか?

モノタロウが仕組みを重要視することになった理由は二つあると考えていて、一つ目は確固たるビジネスモデル、経営戦略がありそれが長期に渡りブレていないからです。やることはその時々で変わってくるのですが、「世の中の会社の間接資材調達に関わる利便性を徹底的に追及する」というミッションをベースに、ワンストップで調達できるように商品数を増やし、それをECサイトでとにかく探しやすい状態にする、突き詰めるとこの二つを行っています。商品数と在庫数を増やすことで資材調達がモノタロウで簡単に行える。そしてそれがすぐに届く体験を提供できます。それが顧客体験の向上に繋がります。その結果さらに売上と顧客が増えるという良いサイクルが生まれます。長期的視点で手を打っていく確固たる方針があり、それが社内でも徹底されていてブレないので、本質的に重要な面に目を向けた必要な活動ができていると思います。

もう一つは継続的に成長を続けているからです。毎年売上が20%成長すると、およそ3年半で顧客も売上も2倍に増えていきます。成長スピードが早くそして継続しているため、既存のシステムの拡張や延長線上で対応を行うことが難しい場合が多いです。大規模なシステム投資は年単位で計画を入れます。システムもあらかじめスケールを前提に設計します。

売上1500億円規模のECシステム全面刷新の裏側

普川さんは今、モノタロウのECシステム全体を刷新するEC基盤の開発を行うエンジニアリングマネージャとしてご活躍されていますが、モノタロウでECシステム基盤再構築の重要性が高まった背景について教えてください。

端的に言うと、既存のレガシーシステムの刷新(モダナイズ)と高度なデータマーケティングの実行の両方を実施したかったというのが動機ですね。

モノタロウの競争力をより強固にするため、データマーケティングによるCX(顧客体験)を向上させたいと考えています。そのためにはよりリアルタイムに近い情報をできるだけパーソナライズ化した形でお客様に提示するのが良いと考えています。今どんなキーワードで検索したのか、どういう商品を閲覧したのかなどお客様のその場の行動データを基に、お客様が必要としている商品を予測してリアルタイムで表示する。またカートに商品を追加した時に、即時に最適な出荷倉庫を決定し、お届け日時がその場で確認できる状態にしたいと思っています。そのために、現状日次のバッチで一括で処理していたデータをなるべく即時に、イベント駆動で変更の通知を受けて差分だけ更新するアーキテクチャへ作り変えを行なっています。そしてあらゆるアプリケーションが同じデータを参照することで、顧客に一貫した体験を提供できると思っています。

一方で足元を見ると創業時に1から作っていたシステムが拡張を重ね肥大化していて依存性が高まり、改修に時間がかかってしまう箇所があります。また年月を経てメンバーの入れ替わりが発生していることにより、仕様全体を把握できていない部分もあります。これらは随時、整理、リファクタリングを進めてはいましたが、これ以上延長線上で行うには限界があると考え、数年前にゼロからデザインをし直しシステムを刷新することを決めました。

2017年にデータ基盤をGCP上のBigQueryに据えたことで、全社的にここを起点としてデータ活用が進みました。データサイエンスチームもこの基盤を利用するので彼らが生み出すデータもこの基盤にあります。このデータを使ってサイトの検索やレコメンドの最適化を行うという流れが自然にできました。そのためそれまでAWSに配置していたアプリケーション群もリアーキテクトしながら、GCP上に作り変えていく方が良いと判断をし、構築を続けています。またシステムを新しくするだけでなく、開発手法や技術スタックも見直してモダナイズすることも重要と考えています。

ブログ写真_普川さん② (1)

エンジニアリングマネージャーの役割とは?

ー エンジニアリングマネージャーとして今一番力を入れていることは何ですか?

業務としてはECのシステム基盤全体のリアーキテクトを進めています。ただ、今は組織作りに多くの時間を割いています。会社の成長に合わせてエンジニアの組織も拡大させて行く必要があります。組織を大きくするとチーム数が増えます。システム同様、組織も適切に領域を定めそこをリードできるエンジニアとマネージャーを配置していくのが基本です。採用は予定が立たない事も多く、一方で会社の状況は刻々と変わるので、その時の状況で適切な配置を考える必要があります。
 同時に長いスパンで考えた場合に組織作りの重要なポイントがありますのでそこに向けて適切な手を打つことも同時に行なっています。例えば、現在エンジニアは関西と東京の2拠点に在籍していますが、東京オフィスは、まだ人数がそれほど多くなく目下拡大フェーズです。元々のモノタロウのカルチャー、価値観を改めて整理を行い、どういう人材が東京で加わってもらえると、良い組織ができるのかを考えながら組織づくりを進めています。

ー チーム作りにおいて大事にされていることは何でしょうか?

各メンバーの長所が活かせるようにチームを作ることです。スキルの高いメンバーは多いですが、みんなそれぞれに長所があり欠点があります。正直、今自分がマネジメントするメンバーは私よりスキルの高いメンバーばかりです。なので技術的に自分がリードする部分は何もありません。それよりはメンバー一人一人がそのスキルを遺憾無く発揮できる状態を作るのが私の仕事になります。どの領域で課題を解くのか、どの役割を発揮して欲しいのかを明確にしてタスクを渡すようにしています。

また、会社の成長にあわせて組織が成長できるように設計することも大事だと考えています。常に業務の暗黙箇所を明示的なものにして属人的な業務を減らすこと、また各チームの役割を明確にし、いずれ分割することを念頭に業務プロセスを組み立てています。

やるべきことは、より会社を成長させるためのシステム基盤を作ることと明確です。会社も大きく伸びていて、それをさらに成長させるためのシステムを素晴らしい技術を持った仲間たちと共に作っていけることはとても良いですね。またそういった環境作りに没頭できることも含めてやりがいを感じています。

ー 最後に今後の展望について教えてください。

まず最初の目標として、このECシステム基盤を再構築することがあります。またその基盤を利用してECサイトやアプリの開発スピードをあげることで、お客様体験を大きく向上すること、これが直近1~2年のテーマになります。その次は業務システムとフロントのサイト側のシステムをシームレスに繋ぐことがテーマとなってくると思います。商品販売計画、需要予測、発注、入荷、在庫管理、出荷と業務がデータによって最適化され、その情報がリアルタイムにお客様の手元の画面で反映されることでお客様の業務によりダイレクトに貢献する。この規模の会社のシステムでやりきることは大変難しいと思いますが、やりがいのある課題だと思っています。

▼参考記事
GCPで飛躍するデータ活用とリアーキテクチャリング! モノタロウの急成長を支えるECシステムの舞台裏【デブサミ2020】

▼普川さんが執筆したテックブログ
敢えて公式感と敷居を高めた社内テックカンファレンスを開催する理由|100人超のエンジニア組織の組織学習事例 (2021-04-06)

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