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monopoの若手エースとその引き立て役

メンバーひとりひとりの個性や強みを引き出し、掛け合わせる「Independent, Together」というカルチャースローガンを掲げているクリエイティブエージェンシー『monopo』。
今まであまり表には出てこなかったメンバーそれぞれのバックボーンや仕事観を、インタビュー形式で紹介する企画を連載しています。
第4回目に登場するのは、アートディレクター・デザイナーの見目拓也と、プランナー・コピーライターとして働く稲熊智貴。
共にインターンから新卒入社して、国内外のブランドをディレクションしている若手のふたりに、monopoに入った動機や、仕事をする上での楽しさ、「好きなもの」を軸にした人間関係などについて聞きました。

Profile(写真左)
稲熊 智貴 Planner/Copywriter
1994年 横浜生まれ湘南育ち。早稲田大学文化構想学部文芸ジャーナリズム論系卒業。小説創作専攻。フランス・リヨンの留学を経て、大学在学中のインターンからmonopoに所属。
ブランディングやプロモーションにおいて言葉を軸にコンセプト設計を行い、クリエイティブ企画・コピーライティングとディレクションなどを担当。
https://www.instagram.com/17guuu/

Profile(写真右)
見目 拓也 Art Director/Designer
1995年 春日部生まれ千葉育ち。御茶ノ水美術専門学校卒業。専門学校在学中からインターンとしてmonopoに所属。アートディレクションやデザイン制作を担当。
183cmの身長は日本の暮らしやそれに伴うデザインから疎外感を感じており、キッチンでは良く腰を痛めている。

コンセプトを言語化するコピーライターと、見せ方を考えるアートディレクターの仕事

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―見目さんはアートディレクター・デザイナー、稲熊さんはプランナー・コピーライターと、2つの肩書きをお持ちなんですね。それぞれどのようなお仕事をされているのでしょうか?

見目:やっていること自体はふたりとも近くて、クライアントの方がどんなことをやりたいのか、どんな状態になればいいのかというのを深掘りし、何を作るべきかを考えて、アウトプットまで併走しています。いただいたお題をそのまま受け取るのではなく、本当に必要なことは何なのかを検討し、設計のフェーズから入ることが多いポジションですね。

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稲熊:僕がプランナーという肩書きを使っているのは、まさに企画設計をやっているからです。与えられたお題をどう打ち返すのか考えて、実際にブランドを立ち上げたり、サービスをはじめる際に、どんなものにすべきなのかを言語化するコンセプトメイキングの仕事をしています。そうやって決まったコンセプトを発信するために、キャッチコピーやタグラインを考えるところまで担当するので、コピーライターという肩書きも併用している感じですね。

見目:そのコンセプトやキャッチコピーを引き継いで、お客様に届けるための見せ方を考えるのが、僕がやっているアートディレクター・デザイナーの仕事になります。

稲熊:具体的な事例でいうと、昨年は伊勢丹さんの婦人雑貨売り場のリニューアルを見目と一緒に担当しました。いろんな商品をセレクトして並べているスペースがあったんですけど、そのエリアのリニューアルをする際に、しっかりとコンセプトを定めて名前をつけたショップにしたいというご依頼で。最初は、現状の課題やリニューアルする上での想い、今後の展望をヒアリングして、そこからどういう場所にしていくのかを一緒に考えていきました。

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稲熊:最終的には、売り場が多くてどこに何があるかがわかりにくいという百貨店の課題に対して、「繋がるための、ガイドマップ」という、伊勢丹全体のガイドマップになって、まずはじめに来てもらえるようなコンセプトを設定しました。各フロアの商品を並べて、伊勢丹の目次みたいな場所にしようと。
それで常設のアイテムを並べる『伊勢丹Seed』と、季節物のアイテムを並べる『伊勢丹Leaf』というネーミングを決め、ロゴのデザインは見目のほうで担当しました。

見目:ロゴについては「新しい場所」であることを示すために、イチから書体を作ったんですよ。書体には正体と斜体があって基本的に単語のなかで混在することはないんですけど、あえて一緒に使ったり、線の太さにメリハリをつけて、伊勢丹の新しい試み、挑戦的な姿勢を体現するためにデザインしました。

インターン先で見つけた新しい仕事の楽しみ

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―コピーライターもアートディレクターも専門性の高い職業だと思うんですけど、もともとそういう勉強をされていたんですか?

稲熊:僕は、早稲田の文化構想学部で文学の勉強をしていました。高校生の頃から小説家になりたかったんですよ。

―小説家になりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

稲熊:もともと母が文学少女で、シナリオライターを目指していたんです。兄はそれに感化されて、テレビ局でドラマを作る仕事をしていたんですけど、僕は小さい頃から映像よりも小説のほうが好きで。作文にしても論文にしても、書いてて苦になることはなかったので、自分が得意な文章を仕事にしたいと思ったんです。
僕は小説のなかでも社会派というか、社会的な問題に踏み込んだ作品が好きでした。社会的な思想も、作家が描くストーリーのなかに入ることでスッと共感してしまうんですよね。新聞やWeb記事でストレートに意見や事実を述べられても、なぜか自分のなかに入ってこないなと感じていて。思想をそのまま発信しても人は動かない。けど、物語には人の心を動かす力があると信じて、小説家になりたいと思いました。

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―では、大学卒業後は小説家への道に進んだのですか?

稲熊:大学卒業後は、何か仕事をしながら小説を書いていくか、もうひとつは出版社に入って編集者になる道を考えていました。文学をやりたいんだけど、そのためには文芸誌が読まれていないという状況を変えていく必要があると思ったんですよね。そうじゃないと、自分が小説を書いても誰にも読んでもらえない。
それでいくつかの出版社を受けたんですけど、面接で「君、絶対書きたい人だよね」って言われて、全部落ちました。

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―そこからmonopoに入るまでには、どのような経緯があったのでしょうか?

稲熊:文章の仕事に就くためにライターのインターンもやってみたんですけど、自分には向いてないなと思っちゃって。そのときにメディアとして企画ができる場所にいこうって気持ちになったんですよね。それでいろいろと調べてみたなかで、monopoが運営していた『powered by tokyo』というメディアと出会いました。
『powered by tokyo』は東京を国内外へ発信するメディアなんですけど、その捉え方がすごくよくて。東京の面白いところは、浅草やスカイツリーやスクランブル交差点じゃなくて、もっとディープなところだと伝えるメディアなんですよね。その取り組みが面白いなと思って、インターンをさせてもらえるようにお願いしました。

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見目:僕はずっとやりたいことがなくて、将来のことも何も考えてなかったんですよね。高校では軽音部に入りバンド活動をしていたんですが、「プロになりたい!」とか、「音楽に関わって生きていこう!」みたいな強烈な思いは生まれなかったですね。その後、手先が器用という理由だけで美術専門学校に進学したんですが、そこでも特になりたいものは見つからず、授業とは関係のない工作やそこに紐づく遊びを楽しんでいました。
ただ、さすがに目的もなくダラダラと過ごすのはよくないという危機感は漠然とありました。そんななか、たまたま専門学校の友達でmonopoと接点がある人がいて、その人の紹介でインターンをやらせてもらうことになったんですよね。でも、当時の僕の技術はとても現場レベルでは通用しなくて、基本的なことはmonopoで学ばせてもらいました。

―じゃあ、現場の叩き上げでアートディレクターになったんですね。

見目:はい。だけど、最初はまったく戦力にならなかったので、ひたすら会社のイベント幹事や事務所の掃除、引っ越し作業などをやってました。それをいろんな方に見てもらえて、徐々に「見目がいるのは当たり前」みたいな雰囲気になって、そのまま新卒で入社したんです。

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―そうやって会社のなかで自分のポジションを作ろうと思ったのは、monopoが楽しかったからだったんですか?

見目:そうですね。僕が若い頃に想像していた社会人像って、毎日スーツを着て、しんどそうに働いてる人だったんですよ。ネットでも、ブラック企業とか社畜って言葉が飛び交ってるじゃないですか。だから、社会ってそういうものだという認識があったんです。

―我慢が多い世界というような。

見目:そうそうそう。だけど、monopoに入ってみたら、自分が悲観してた社会人像とはまったく違っていたんですよ。社会人なのに普通の服を着てるし、髪を染めてたり、髭がはえてる人もいるし。
仕事が大変っていうのはあったんですけど、疲れたときにはラーメンを食べに連れて行ってくれる先輩が隣にいたり、オフィスにいれば何かしらの面白い話題が尽きなかったり、夜には好きな音楽を流しながら仕事をしたり。「社会人、めちゃくちゃ楽しいじゃん」って思えたのがmonopoでした。とはいえ別の会社を経験しているわけではないんですけどね。

いろんな仕事があるからこその「飽きなさ」と「慣れなさ」との付き合い方

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―おふたりは自分たちの仕事の面白さを、どういうところに感じていますか?

稲熊:さっきの話にも通じるんですけど、僕がコピーライターの仕事で面白いと思うのは、言葉を通して人の心を動かすってところです。広告って、何かを買ってもらうとか、新しい行動を起こしてもらうことを目指してるわけじゃないですか。そのためには、見た人の心を動かさなければいけません。それは、もともと僕が小説でやりたかったことに近いんですよね。
自分はまだまだこれからなんですけど、そういう可能性を秘めているところが、今の仕事で一番面白いところかなと思っています。

見目:「自分の制作したものが活きていれば誇りに思える」というのは、デザイナーでも、ライターでも、作曲家や画家でも、何かを作る人にとっては共通の喜びだと思うんですよね。
それとは別にごく個人的なこととして、この仕事が面白いと思うのは、業界を問わずいろんなクライアントさんがいらっしゃることです。同じようにWeb制作をするとしても、業界によって入ってくる情報の種類が異なるので飽きることがありません。インプットする情報の量が半端じゃないので、いろんな業種に詳しくなったし、そのおかげで誰とでも話ができるようになりました。

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―「飽きない」という実感のなかには、「慣れない」という不安も同居していますか?

見目:あぁ、ありますね。ブランディングにしろ、Web制作のフローにしろ、本当にすごいスピードで更新されていくんですよ。だから、せっかく今の方法に慣れたのに、また知らない言葉が出てくるから、「あぁ、俺は一生勉強しなきゃいけないんだ」という絶望感に襲われることは多々あります。でも、新しくできることは増えるので、総合的に考えたらプラスのほうが多いですね。

稲熊:僕は逆に、「慣れなさ」みたいなのを作りたいんですよね。たぶん普通の会社だったら、決められた部署での仕事しかやらないと思うんですよ。だけど、monopoではいろんな仕事をやらせてもらえるんですよね。「自分の領域を開くことが、会社の領域を開くことになるから、どんどんやっていいよ」みたいな感じで。やっぱり慣れると飽きちゃう気がするので、毎回「こういうやり方でやってみたら面白いんじゃないかな」という進め方で仕事ができたらいいなと思っています。

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―今後やっていきたい仕事や、個人的な展望があれば聞かせてください。

見目:僕は自分が身を置く環境さえよければ、あとは割と何でもいいと思ってるタイプなんですよね。デザイナーって、この領域までいきたいとか、こういう案件に携われるようになりたいって考えてる人が多いと思うんですけど、僕はそういった部分の優先度が低くて。
変な話、10年後はアートディレクターやデザイナーじゃなくなっててもいいと思っています。まったく業界の違う職種でも。環境がよければ、そこで取り組むことはなんであれ絶対面白いんですよね。例えばmonopoという環境では、出社や退社、ランチみたいな、仕事のなかに組み込まれる仕事外のフローにも楽しみが生まれるんですよ。

稲熊:僕は、場所やプロダクトを作ることに興味があります。自分の手で作ることはできないけど、コンセプトメイキングの部分で役立てることはあると思うので。そういう役割で、地方創生などに関わってみたいですね。
最近、三重県に『VISON』という場所ができたんですよ。超巨大なショッピングモールみたいな場所なんですけど、ショップだけでなくバーベキューができたり、ホテルや銭湯もあって。すごい山のなかなのに、人がめちゃくちゃ集まってるんですよね。これまで人が来なかったような地域を活性化させているのがまずすごいし、何年というスパンで進めてきた計画が実現したときの達成感は半端じゃないだろうなと思って。そういうことを自分もやってみたいです。

見目と稲熊が思う「monopoらしさ」とは?

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―おふたりが思う「monopoらしさ」って、どういう部分ですか?

稲熊:んー、「心を開いてくれる人が多い」ってところですかね。僕、インターンでmonopoに入ったときに、今までの人生で関わってこなかったような人たちが多いなと思ったんですよ。学校で同じクラスになっても、仲良くなってなさそうな人たちが。でも、そういう人たちとも仲良くなって、一緒に飲みに行ったり、家に遊びに行ったりもしてるんですよね。
それってなんでだろうって考えたときに、みんな心を開いてくれるからだと思ったんです。それぞれ生きてきたバックグラウンドは違うんだけど、素を見せてくれる人が多いから、こっちも素を出せるというか。それは年齢とか役割とか関係なく、monopoのメンバーに共通する「らしさ」だと思いますね。

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見目:僕も稲熊が言ったことに近いんですけど、みんな自分の土俵があって、そこに相手を入れたがるところはあるなと。例えば、僕らのなかで稲熊は「ファッション好きな人」って認識があって、その土俵に人を招き入れて会話しようとするんですよ。同じようにテクノロジーに詳しい人もいれば、相撲に詳しい人、パフュームに詳しい人もいて、みんなそれぞれの土俵があるんですよね。
そういう趣味って自分だけのものとして楽しむ人もいますけど、monopoの場合はみんなオープンで、「私はこういうものが好きです。どうぞ、入ってみてください」って感じなんです。だから、みんながみんなの好きなものを把握してるし、なおかつ自分の知見も広がるっていう。そういうところは「monopoらしさ」かなと思います。

稲熊:確かに、自信を持って「自分はこれが好きだ」って言える人が多いよね。それって当たり前じゃないというか、「別に好きなものはない」って人もいるじゃないですか。逆に「何でも好き」みたいな人とかも。その人の好きなものから見えてくる魅力ってあるから、何か持っている人は面白いなと思いますよね。

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―見目さんと稲熊さんは社歴も近いし、同じプロジェクトで一緒に仕事もされてますよね。お互いのことをどういうふうに見ていますか? 純粋に同僚という感覚なのか、もしくはライバル意識があったりするのか。

見目:いや、親友ですよ。学生の頃の親友とは違って、毎日遊ぶわけじゃないですけど、合いそうなイベントがあったら声かけたりして。そういう距離感が心地いいですね。

稲熊:今は仕事がリモートになりましたけど、僕と見目は必ず会社に来てるんですよ。昔、遅くまで残業してたのも、決まって僕らでした。大抵最後まで一緒に仕事してました。
僕の場合は家のWi-Fiが死ぬほど遅いので、会社に来ないと仕事にならないっていうのもあるんですけどね(笑)。

見目:僕は家にいるとシンプルにサボるので会社に来てます。あと、会社とか学校とか、何かの組織に属している1番のメリットは、理由なくして誰かと会えることだと思うので、そこをありがたく享受させていただいてるって感じですね。だから、monopoはすごく楽しいし、居心地がいいです。

執筆:阿部 光平 (https://twitter.com/Fu_HEY )
撮影:馬場雄介 Beyond the Lenz (https://www.instagram.com/yusukebaba)

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