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2018 Young Lions Japan Competition Review — メディア部門 GOLD/佐々木芳幸・Mélanie Hubert

※この記事は、2018年6月23日にMediumで公開された記事を再編集しています。

通称「ヤングカンヌ」と呼ばれる、広告業界の若手登竜門といわれるヤングライオンズコンペティション、及びヤングスパイクスコンペティション2018年度、monopoではメンバーがメディア部門GOLD、デザイン部門ファイナリストとして選出されました。

今回はメディア部門日本代表に選ばれた、佐々木芳幸(CEO/プロデューサー)Mélanie Hubert(アートディレクター)に振り返ってもらいました!

ヤングカンヌとは?

広告業界の若手登竜門といわれるヤングライオンズコンペティション、及びヤングスパイクスコンペティション(通称ヤングカンヌ)。
これは、国際広告祭であるカンヌライオンズ、スパイクスアジアそれぞれで行われる30歳以下のプロフェッショナルを対象としたコンペ形式のオフィシャルプログラムです。各国の代表2名1チームが参加し、現地で与えられた課題に対し、定められた時間内に作成した映像や企画書の提出、またはプレゼンテーションにより、GOLD・SILVER・BRONZEを決定するというものです。

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カンヌライオンズにて、昨年度の参加メンバーのようす

今回ヤングカンヌにてメディア部門のGOLDを獲得した弊社の2名は日本代表として、カンヌライオンズでの決勝に進みます!

CEOの佐々木と、2016年にロンドンのエージェンシーからmonopoにジョインしたMélanie。彼らの話を聞いてみると、単純に「アイデアの奇抜さ」だけではなく、自身の立場や経験に基づいた工夫が多く見られました。

“シンプルで強いアイデアを目指しました(佐々木)”

ー日本代表になった感想をお願いします!

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左・佐々木芳幸、右・Mélanie Hubert

Mélanie:信じられませんでしたが、とっても嬉しいです!! 日本各地のたくさんの才能あるチームの中で金を獲得することは無理だと思っていたので。 今年最も重要な賞でもあったので、日本を代表になれたことを誇りに思っています。 あと、間違いなく私のキャリアも大きく前進したと思っています。

— どんなお題で、どんなアイデアを出しましたか?

佐々木:お題は、家庭で古い電球をLEDに変えてもらうにはどうすればいいか?でした。

アイデアは「位置情報連動ゲームで特定のスポットをLEDで灯し、地球温暖化からキャラクターを救え」という施策です。LEDでスポットを灯すと、絶滅しかけたキャラが集まってくるという、本来の仕様の言い方を少しだけいじった、シンプルな施策です。

まず、ゲームプレイ中に表示される「近くにキャラがいます(何分で消滅します)」という文言を「地球温暖化によりキャラが絶滅しそうです」に変えて、プッシュ通知を送る。そして参加した人には「LEDはキャラだけはなくリアルワールドも守ってくれるから、いますぐあなたの家もLEDに変えようというプッシュ通知」を送り、実生活でのアクションも促すというもの。

ゲームユーザー以外も取り込む作戦も補足したり、位置情報と連動したスポットに登録されているリアルな企業や団体も巻き込んだキャンペーン設計にしました。

“自分がクライアントだった場合、そのアイデアにリターンはあるか?(佐々木)”

— 「このアイデアで勝つ」ためにどんな準備をしましたか?

佐々木:ズルイですが、今年はお題が全部門共通だったので、事前にたくさん部門にエントリーしておきました(笑)。

最初はPR部門張りでこの案を進めていたのですが、人の力学がそこまで作用していなかったり議論が生まれるポイントはなかったので、最後の最後にメディア部門に狙いを拡張して応募しました。

あとは、電通の先輩方とか過去勝ってる友達から教えてもらった自分なりのルールを定めていましたね。

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A. アイデアはなにか、説明するときに「〇〇を〇〇する」とシンプルな文書に置き換えられるか。

→ たくさん応募が来るはずで、見る方も疲れます。理解が早いアイデアは強いはずだなと思ってます。

B.ブリーフの解釈が拡張されているか。

→ LEDに変えようとか、全然面白くないですよね。施策に触れたときに人が関わりたくなるストーリーに、ブリーフを変換できてるかはいつも心がけてます。今回だと、LEDに変えようではなく、LEDで救おうに変換しました。救う対象はみんな知ってるキャラにしよう。仮想敵を地球温暖化に設定しようと、ストーリーを広げました。

C.プレイヤー幅に広がりが生まれるキャンペーンか。

→参加する対象が狭くなっていないか。あるターゲットのアクションをフックに、キャンペーンが回っていく上で様々なプレイヤーが参加する余白を残すこと。例えば、ゲームユーザーだけじゃなくてメディアとかアプリ非ユーザーも巻き込める企画か。企業や団体も一緒に参加できる壮大な余白があるか。のチェックです。

D.強い驚きとインセンティブ設計のバランス

→ 元電通の大尊敬する先輩に教わりました。結局人はこの二つでしか行動しないんじゃないかと。今回はキャラが絶滅するというアイコニックな驚きと、たくさんLEDを灯した分だけレアキャラが復活してくるというユーザーインセンティブのバランスが崩れないように意識してます。

E.事業投資的に買いか

→ 僕は起業家なので、自分がクライアントだった場合、コストはいくらで何のリターンがあるのかを最後のチェックしてます。今回は元々の機能に素材を一個かましてプレスリリースを打つだけの案なので圧倒的にコストは安いと判断しました。ナイアンテックやキャラ的にも世界観を損なわず、アイコニックなIngress技術を広くアピールし、アクティブユーザーを掘り起こすメリット設計をしています。

— 書類(企画書)選考の予選を勝ち抜いたあと、国内予選本線のプレゼンテーションがありますが、どんな準備を行いましたか?

佐々木:monopoは英語ネイティブ社員がたくさんいるので彼らの前で事前にプレゼン、質疑応答をしたり、googleフォームで質問を集めて打ち返しの準備をねばりました。

Mélanie:審査員の前でも、わかりやすいプレゼンをするために最後までにとにかく手を動かしてみて、周りに意見を聞いたことで最適解を出せたことかなと思います。

— デザインで工夫した点はなんですか?

Mélanie:アイデアがとても簡潔でインパクトがあることにとても満足していました。だからこそ、内容を展開させてしまうとコンセプトが崩れてしまうリスクもありましたが、なんとかメインアイデアの強さとシンプルさを保てた点ですね。

“広告業界出身じゃないけれど、ヤングカンヌに挑戦して良かった(Mélanie)”

— 佐々木はすでに4度目、Mélanieは今回初出場とのことですが、今回なぜ二人は出場することにしたのでしょうか?

佐々木:ぼくはすでに4度目のチャレンジで、過去一回だけ国内ファイナリストまでいって負けた経験があり……。monopoでも他のメンバーがシルバー、ブロンズと獲ってたので内心焦っていました。

Mélanie:私は今回初めての挑戦でした。もともとデジタルプロダクションにいたので、ヤングカンヌはより「広告・クリエイティブ業界」の人のものだというイメージが強かったんです。でも、佐々木が私にチームを組みたいと言ってきたことで、どんな経歴でも参加して大丈夫そうだと思ったので、思い切って挑戦してみたんです。佐々木と私は全く異なるバックグラウンドを持つ人間同士なので、お互いを補完し合えばいいチームで戦えそうだなと思いました。

わたしたちがヤングカンヌでいい結果を残せば、monopoの評判も上がりますし、私とおなじようなキャリアを持った人間や、クリエイティブ業界の人にとってもいいモチベーションになると思ったんです。

ありがとうございました!

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