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ビューティアドバイザーが異世界へ行く話(仮)2

2.異世界人は、脱皮する

 今日は日中勤務だったから、何の問題もなければ夕方には帰れる予定だったのに、すっかり遅くなってしまった。定時寸前にエナを保護したから、仕方ないのだけれど。

 休暇で家族との時間を楽しんでいた団長に連絡と説明をして、ひとまず自警団内で状況を周知した。これに思ったよりも時間がかかってしまった。

 そもそもエナを発見したのは、先ほどエナの聴取をしていた、俺たち三人だ。直接状況を目にした俺たちが責任者としてあちこちに説明しなければならないのは道理だろうが、三人で手分けして非番や巡回中の者を含めて数十人に連絡するのは骨が折れた。

 俺たちが奔走している間に、詰所近くの宿の女将に頼んで、エナの着替えを用意してもらった。エナは女将に手配を頼んでいる俺の横で、濡れて張り付いた服をさっさと脱ぎだしていた。目を逸らす前に視界に入ったのは、素足からベージュの薄い膜がはがれていくところで、俺が思わず「異世界人は脱皮をするのか」と質問したところ、返ってきた言葉は「これは、ストッキング!」とのことだったので、脱皮のことを異世界ではストッキングと呼ぶらしい。もしかすると、俺が思うより、素足を晒していることは、女性にとって恥ずかしいことではないのかもしれない。どうせ脱皮するのだから、という理由で。

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