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企業論理と社会の常識のギャップに気づけば、事件事故発生時における初動の重要性と説明責任。

観光バスと養豚トラックの事故や、トレーラー同士の事故、数年前の知床遊覧船の事故をはじめ、スキューバダイビングやシュノーケルによる事故など、特に夏休み時期にこどもが巻き込まれるいたたまれない事件事故が発生するケースがあります。
もちろん、事件や事故がないのであれば、結構なことですが、万が一、その事件事故の加害者に自分の会社がなってしまった場合にか考えるべき重要なポイントをいくつか挙げていきたいと思います。

加害者である企業と被害者である方とのそもそもの認識の違い
企業が加害者である場合、企業内の論理として、一般的に都合の悪いことは隠そうという力学が働きます。
特に、過重労働や健康問題、または法令を遵守していない場合など、自社にとってマイナスに働く、情報を外に出したがらない傾向にあります。
その一方で、被害者にとってみれば、原因究明、起因する事由などの説明がない限り、加害者である企業に対する不信感が増す一方です。
また、報道機関や記者からすると、当然その根本的な理由を探し出すでしょうし、場合によっては社内のリークにより、会社がひた隠しにしていた、都合の悪い真実が明るみになる場合もあります。

最終的には、隠していた事実は明るみになる
社内リークや同業他社からの情報、元社員からの情報など、企業が隠そうとしても都合の悪い真実は隠すことはできません。小手先だけの逃げではなく、根本的な解決に向けた真実の公表こそが、事態を収束し、被害者である方々に対する誠意ある対応になります。
事件事故は、起こさない、起きないことが最も重要であることは間違いがありませんが、起きてしまった場合、どのような公表を行うのか、どのような対応をするのか、初動が最も大切であると言えます。

初動による信頼回復と誠意ある対応
クライアントからも相談を受けますが、会社として決まていないことを発表できないと言います。その一方で、初動は重要であるという認識を持っている企業も少なくありません。

では、その初動は何がポイントになるのでしょう。

事件事故を起こしてしまった場合、必ず必要となるのが乗務員名簿とお客さんの名簿。これは、だれが当該事故車両等に乗っていたのか、また、被害はどの程度なのかを認識するためにひじょうに重要な情報です。
また、通常のルートや乗務員の健康状態、日々の健康チェックなど、通常行われているであろう、事故予防に向けた取り組みと当該事故車両の情報が増す必要になります。
加えて、労働時間や勤務体制、これまでの既往歴、当該車両の検査状況、定期検査など、通常業務で使用している情報を提示することを認識すべきです。

そのうえで、初動としては、現在の事故状況を一時間や二時間ごとに情報を提供するなど、真摯に発表することが必要になります。
報道機関や記者、被害者から言われてから提示するのではなく、公表できるものは、初動で公表することが重要になります。

当然、初動の時点で、事故原因の究明は不可能ですが、事故にあわれた方への補償や謝罪なども初動の段階で速やかに行うべきです。

都合の悪い事実こそ、初動の時点で公表する必要性
報道機関や記者をはじめ、原因究明には、様々な力学が働きます。そこには、外部からもたらされる情報や、会社が把握できない情報などがある場合があります。
例えば、行政指導を受けているとか、定期点検を決められた日程で行っていないとか、健康チェックがおざなりになったいるとか。
そのような情報が外部からもたらされる前に自社で公表することが対応として求められます。
確かに、都合の悪いことを自ら公表するには、勇気がいるでしょう。その一方で、それをひた隠しにし、ばれた時のリスクを考えるのであれば、自ら発表するほうが傷口が浅くなることを認識しておいたほうが良いでしょう。





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