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#009 ピンとこなかったビートルズ

私の母は音楽にはあまり興味がなかった。

ただ英語の教師だったので、「英語の歌を聴くのは教育によいだろう」と思ったらしく、駅のワゴンセールでよく売ってるような、3枚組のビートルズのベストCDを買ってくれた。『ビートルズ・フォエバー』と銘打たれたそのCDは、(当時はよくわからなかったが)初期の名曲は大体入っていた。対訳はないが歌詞もあって、それを見ながら縦横に聞いていた。

気に入った曲は「ホールド・ミー・タイト」とか「パーティーはそのままに」とか「みんないい子」とか。

同級生に「俺ビートルズ聞いてるんだ」と吹聴したら、「いいよね、俺は、『ヘイ・ジュード』や『レット・イット・ビー』が好きだな」と知らない曲名を言われ、軽くマウントを取られた形となった。

なぜかビートルズ後期の曲は、そういった「ワゴンセールCD」には入っていなかった。管理会社の問題なのだろうか、最近はどうなのか知らないけれど。

それらの曲を聴くには、かつて東芝から出てた、オリジナルのCDを買うしかなかった。当時税込みで3008円だっけ。品番はCP32-なんちゃらだった気がする、懐かしいね。『レット・イット・ビー』『マジカル・ミステリー・ツアー』『アビー・ロード』『サージェント・ペパーズ~』『パスト・マスターズ』などがそれだ。初期の「いわゆる”ビートルズ”の音」ではなかったが、それなりに好きな曲もできた。「フール・オン・ザ・ヒル」「ストロベリー・フィールズ・フォエバー」「オクトパスズ・ガーデン」などは好きだった。ビートルズの書籍も買い、いろいろなトリビアも覚えた。

そのうち、初期のものもオリジナルで欲しくなり買い足した。買ってないのは『ホワイト・アルバム』『リボルバー』『ラバー・ソウル』『フォー・セール』のみとになったところで、僕のビートルズ興味は尽きた(リマスター再発の時に、少し盛り返したけれど、レンタルで済ませた)。

今、ビートルズの音楽を積極的に聴くことはない。聴いても、特に心躍るものはない。街中などで流れてると、あ、ビートルズだな、いいな、と思うし、ポップスっていうのは、やっぱこうでなくちゃな、と関心もするのだけれど、生涯の耳の友にはなれなかった。

ドナルド・キーン氏が、名作といわれるシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」を片隅まで覚えるほど聞いたが、なにも音楽的な感興は得られなかった、といった文章を書いていたが、それに近いものがあるかなと思っている。

知名度から入って、それなりに聞いてみたが、それは肌に合わなかったというケースだ。シェーンベルクが肌に合う人、ビートルズが肌に合う人、一定割合いるとしたら、自分はそうではなかった、ということだ。考えてみれば当たり前のことである。

しかし、なぜ肌に合わないのか。なぜいいと思わないのか、それを少し考察してみた。

この無料記事は軽い気持ちで読んでほしいので、この辺りでペンを(キーボードを?)置こうと思います。考察は有料記事で公開しようと思います。ある程度の批判も含みますので、読みたくない方は、ここまでということで。ありがとうございましたと。

一つ挙げるとすると、このバルバムが一番好きということで。

【有料記事】なぜ、ビートルズに心躍らないのか

ここから有料記事です。以下になぜビートルズの音楽に心躍らないのかを自分なりに考察してみます。

①風景のように覚えてしまっているから

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