#168 西田敏行「ロンリー・ティーンエイジ・アイドル」
#西田敏行 さんが亡くなった。
西田敏行いえば、映画「釣りバカ日誌」の浜ちゃんだけれど、あんまりあの映画は好きじゃない(寅さんの裏でやっていたので、みたけれどね)。
西田敏行は歌も歌っていて、代表曲は、なんといっても「もしもピアノが弾けたなら」だけれど、あの歌も好きじゃない、というか、あまり知らない。
僕の好きな西田敏行の歌は「いかすぜこの恋」と「ロンリー・ティーンエイジ・アイドル」。どちらも、 #大瀧詠一 が作詞作曲した、貴重な作品。
「いかすぜこの恋」は、 #エルヴィス・プレスリー の歌の邦題(ひどい訳)だけで作詞したという、大瀧ファンの筋には有名な曲のカバー(大滝本人の歌唱ももろんある)。
西田敏行は本当にエルヴィスをほうふつとさせる二枚目の歌唱で、実にうまい。というか、完全にエルヴィスを模倣した歌唱だと思う。そして、これは、エルヴィス愛がないと、絶対にできない歌唱ではないかと思う。
そして、今回取り上げる「ロンリー・ティーンエイジ・アイドル」は、そのスタイルそのままに、大瀧らしい、優しいメロディを歌う、珠玉の1曲に仕上がっている。
そもそも、名俳優は歌もうまいことが多い。歌もそのなかの主人公を「演じる」という意味で、歌も演技の一つととらえているからだろう。
しかし、歌の主人公を「演じて」いるはずなのに、確実にそこには「西田敏行」というブランドが感じられる。にもかかわらず、「大瀧詠一」のメロディの良さも十分に活かされている。
すぐれた作品というのは、往々にしてそういうものかもしれない。僕は映画の「男はつらいよ」が好きだけれど、あの中の寅さんは渥美清でもあるし山田洋二の描いた男でもある。各々にブランドが存在しているのに、出来がったものは、一つの融合した美しい世界なのである。
ご冥福をお祈りいたします。
「いかすぜこの恋」と「ロンリー・ティーンエイジ・アイドル」両方とも収録しています。
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