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”税制を含む経済政策”立憲民主党代表選挙討論会の記録


立憲民主党代表選で、地方党員向けの討論会(北海道・福岡県・神奈川県)、党内自治体議員・女性・青年部向けの討論会、記者クラブ討論会、日テレ主催討論会、記者会見などの内容を書き出して、一本にまとめたものです。自分のメモで取っているので、ご本人の言い方と違う部分もありますが、ご本人の意図が伝わるように表現しています。

討論会発言まとめは→https://lush-kumichannelnews.bitfan.id/contents/40857

●泉健太 新代表●


経団連用の施策や、コロナ禍における給付金や支援金を含む分配策は、なぜか、看護介護保育等のエッセンシャルワーカー(命を預かる)人達や、結婚もできずに低賃金で働く、肝心のワーキングプア層には決して届かないようになっている。

現与党は一体誰に、「救助」を届けているというのか?その分配策は、地方に暮らす方々の、何割に届くというのか。更に、年金額が低くて困っている年金生活者には決して届きはしない。現場で誰が苦しみ、誰が命からがらで分配を待っているのか。

コストプッシュ・インフレは良くないインフレなど、ちっとも良くない。

自民党の場合は企業のお給料が増えるような経済政策だ。その為には、まず法人税の減税と仰るのだ。法人税が下がり消費税が上がる。これは好ましくない経済の循環である。そして改めてもう一度、社会保障の財源は消費税だけではないんだと、フラットに考え直す必要がある。どんな言い訳があっても財源が特定されることは、実は殆どないのだ。

お金持ちがいくらお金持ちになっても消費は増えない。直間比率はグラフをみるとクロスになっている。直間比率がクロスになっているということは、結果的に見れば、消費税を法人税の減税に振り替えたということ。

平成の負の遺産として、異常な事態だと思う。直間比率の是正を目指す、つまりは所得税に累進性を強化させることで、税制は大きく変わリ、健全化する。むしろ高所得層、年収一億以上の者への累進課税を強化すべきであり、効果的であるし、社会的ダメージも少なく、消費税の増税よりも先に行われるべきことである。

誰が「分配」を「消費」に「経済の好循環」に変えていける人達なのか、現与党の人達にはわからないのだろうか?立憲民主党の施策は、皆様に届く分配政策にしていきたい。

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●逢坂誠二 代表代行 

今、日本は、国内で作る半導体を、国内で作れなくなっています。2015年に日本人の年収は韓国に追い抜かれ、年収の差は40万ほどです。日本の経済力、経済推進力は落ちています。現在株価は、マーケット経済の体温計ではなくなっていて投資家達の体温計、という風にすり替わっている。(政治はマーケットの動向を見ながらデリケートにやるべき。)

産業の活発化を考えた時、今後も日本の企業の生産性を高める努力(グリーン・デジタル対応)は求められていくのだが、一方で中小企業の淘汰が予測される為、同時に地方産業の疲弊に気を使わなくてはならない。

地方は独自産業化をする、再生可能エネルギーの創業を促し、第一次産業を強化するという施策との「合わせ技」が地方経済には必須と考える。地域でお金が回ることをむしろ考えていくのが、日本全体を考えた時に経済を回復させる一番の方法だと思う。ブロック経済と地域分権、まとめて自主性・自立性が大切。地域である程度お金が回ることがとても大切。エネルギーについて特にそれが理想。

今の法律の制度によると、それを阻害している要素がある。地域で広げられる権限が制限されないことが大切ではないかと思う。現在、電力会社の都合で制限されている部分あり。このように法制に関して、地域経済が邪魔に思うことを指摘していただくことが、第一歩ではないかと思っている。

また、所得の再配分機能は回復されるべきである。まずは分配から。各家庭の財政を改善して、個人消費、買う力を回復させるように務めていく順で。限界消費性向の高いロスジェネ・子育て世代・ワーキングプア等の給料がが上がらない人々に対策すれば、すぐに消費に回るので、政府が支出した分、経済は上向く。

国民には買う力が不足しているので底上げが必要。エッセンシャルワーカーなどに十分な給与を支給せよ。最低賃金を上げるとは言っても、中小企業には賃上げの余力がないので国からの補助を前提とした話。経済政策がケチケチと小出しでは意味をなさない局面もある。今が其の時。積極財政を行うべき局面であることは言うまでもない。

現在は、個人の皆さんに税負担がきつく、大企業があまり税負担していない構造になっている。貧しい人の税負担がきつく富裕層には税負担の割合が軽い。税負担を公平にしていく必要がある。この緊急時、納税の免除はすぐにやれば緊急給付に相当するのだから、一時免除だっていい。その後、設計し直しに着手して、早く異常な税制を是正していきたい。また、正しい税収によって災害対策のための公共投資を充実させたい。

正しく累進課税ではない所得税、法人税、消費税、金融所得課税などに加え、社会保険料の取り方も見直しも必要。所得の再配分機能を、様々な面から強化する必要性がある。

●西村ちなみ 幹事長 

税制に関しては、超大企業の法人税負担率は早急に増やすべきです。介護保険、医療、年金、全般について。税金については金融所得課税、所得税の累進化が必要です。しかし税金だけ見ていたのでは再分配の考え方に足りない。社会保険料が税金より高い、払えない人が急増しているということです。

実は現在、税金の総額よりも社会保険料徴収の総額の方が上回っているという貧困層もある。昭和の時代には年金の掛け金が百円だった時代もあり、あり得ない状況がいつの間にか作られている。これは簡単な話で、能力のある方々(富裕層)にもう少し多めに保険料を納めていただくだけで大きく回復する。社会保障費調整額の上限を変え、富裕層からもう少しお支払いただくこととして、累進性は、社会保障料にも及ばせたい。

経済政策については雇用政策と一緒のものとして考える。与党より良い政策を作れると思う。グリーン事業に世界はシフトしてきている。送電網についてもっと大胆に作っていかないといけない。原子力発電所をゼロにすると明言すれば、その反動力で再エネの事業拡大につながると考えている。地域の工務店さんにはやってほしいことがたくさんある。

もう一つ、農林水産業も経済政策の一つの柱です。食の安全保証という点からも強い経済にしたい。

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●小川淳也 政調会長

供給面では、ITや教育へ減税措置、社会負担が過剰な消費税軽減などが策として考えられる。人口減で流通物量は減っていく、人流を増やすことで経済活性化を測るのは一つの方法。「非常時ですから消費税減税」だけではなく、年収1000万円以下の世帯への所得税免除など、その他も減らして購買力を高める必要がある。

しかし、これから大切なのは需要に関すること。お金があっても心理的に使えない社会ではないだろうか。なぜ将来不安が強いのか、社会制度に進化がなく、老後への不安があるからだと思う。北欧を手本にすれば、福祉がちゃんとしているので安心して貯金せずにお金が使える。生活不安を取り除き、持続可能性な社会を見通せるまで、財政出動での中を手当てが必要。このことが需要面からの最大の経済政策だと思い、当面は旨として徹底していきたい。

経済低成長に状況の変わった世の中で自民党の政策は根本的に社会状況とズレがある。例えば、予算の付け方。新しい道路は今後もそんなに必要か。他はみんな数百億円なのに3-4兆円の道路予算はなかなか配分が動かない。昭和時代の習慣で道路予算が多すぎるので、公共交通を支えるもの宛にに回していく必要がある。

減税と財政出動に関する党の方針は、堅持していく。しかし長期的には所得税の累進課税が、何よりも必要だと思う。大企業に軽く中小企業に重い法人課税の適性化、その後は相続税、金融所得税、最後の手段として消費税の見直し、どうすれば公平感が確保できるか必死に考えたい。

当面は減税と大規模な財政出動でケアするが、減税したままでこの先、大丈夫だろうか?その後はどう回復させて行くか、何十年も先まで納得ずくの国民負担とはどういうものか?納得ずくで皆が支え合う世の中にするにはどのような構造が必要か対話を繰り返し考え抜いていく。次世代に対して責任を果たす、持続可能な社会のための、牽引役を果たして行く党になりたいと思っている。

つまり、回復後の税制は、長期的には次世代のことを意識して折り合いをつけ、税制を再設計し、財政の持続可能性を回復させて行く任務がある。北欧社会では税金を政府に預けて信頼している状況がある。政治家の汚職はあり得ない。汚職が当たり前になった与党、そんな人達に高い保険料や税金を預けておく状況は異常。高福祉のための増税には、政府と国民の間に絶対的な信用が必要となるので我々が努力する。

国民の納得できる投資&負担構造とはどのようなものか、対話を通して生み出していく。社会改革は政治改革。政治改革は政治家改革であってそれには、選ぶ国民の意識を変えること。次世代に対して責任を果たす、持続可能な社会のための、牽引役を果たして行く党にしたいと思っている。

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▼こちらの下部に分厚い164ページに及ぶPDF(A3で84頁)があるのだが、
泉代表が政調会長として編纂されたので泉さんの頭の中はこのようになっている。
というか、ヒアリングや各部会で出てきたことが全部書いてある感じです。
https://cdp-japan.jp/news/20211014_2344   

経済政策は、財務金融・税制の51-55頁(PDFの27-29頁)に、細かい内容が記されています。

↓こちらは印刷用ではなく、公式HPに項目ごとに記載された部分です。
経済政策▶︎https://cdp-japan.jp/visions/policies2021/06   
財政金融・税制▶︎https://cdp-japan.jp/visions/policies2021/15   
経済産業▶︎https://cdp-japan.jp/visions/policies2021/22

多いので、ご興味を持っていただけるよう、項目や簡略表現のピックアップのみ掲載しますが、細部の方がずっと面白いので、ぜひ、全文読んでみてください。

財務金融・税制

=財務金融=
[歳出・歳入改革]
○確かな税財源の確保や、行政需要の変化に応じた予算配分、適切な執行、成長力強化による税収増など、歳出・歳入両面の改革を行い、中長期的に財政の健全化を目指します。

[金融・資本機能の強化、技術革新]
○(前略)調達手段の多様化などわが国の金融・資本市場の機能向上を図ります。○(前略)地方銀行・信用金庫の経営の安定化・収益源の多様化 を図ります。
○リバース・モーゲージ、人材の融通、仮想地域通貨の発行など(以下略)
○フィンテックと呼ばれる金融・IT融合への配慮と、環境整備を行います。
○暗号資産の健全な発展を目指したルールを整備します。

[予算・財政の透明化]
○特別会計を含む予算・決算の透明化。行政の無駄を排除します。
○行政のICT化を推進。予算の執行状況をリアルタイムで把握、検索性向上。
○会計原則、複式簿記等による国の財務諸表を作成しインターネットで公開
○財政政策を調査・評価「経済財政等将来推計委員会」を国会の下に設置。

=税制=
[経済対策]
○企業の内部留保が働き手の賃金や人的資本の向上への投資に回るよう促します。 ○金融所得課税、所得税の最高税率引上げ、法人税多段階化(累進性強化)、相続税の改革等により税制の所得再分配機能を強化し、格差是正を図ります。

[所得税]
○所得税の最高税率引上げ、所得控除から税額控除へ、基礎控除の拡充
○税額控除から「給付付き税額控除」への転換、
○共働き世帯、ひとり親家庭の増加など世帯の態様の変化に合わせた人的控除
○富裕層の所得税の累進性を強化、所得控除は税額控除への置き換え
○基礎控除を増額、控除額が所得税額を上回る場合には「給付付き税額控除」
○個人事業主・フリーランスの働き手に青色申告特別控除の拡充。
○ベビーシッターの利用料について税の控除や補助金で支援
○労働者の食事手当等の非課税限度額の拡充
○クラウドファンディングや暗号資産への課税
(以下、多項目2つき、略)

[法人税]
○巨額の利益を上げている企業に応分の負担を求めるべく、超過累進税率を導入。
○中小・小規模企業への法人税減税を検討。
○正社員を新たに雇用した中小企業の社会保険料事業主負担軽減等。
○一時金の増減等について法人税に差をつける「人への投資促進税制」の導入

[消費税]
○軽減税率制度は真に効果的・効率的な低所得者対策とはなっていないので廃止
○逆 進 性 対 策 は 給付付き税額控除により行います。
○インボイス制度については導入を延期します 。
○簡易で安価な電子インボイスの整備や、電子インボイスの導入を支援する補助金
○適正な価格転嫁が行われるよう対策に万全を期します。
○総額表示の義務化を見直し、外税表示の選択肢を恒久化します。
○医療機関の控除対象外消費税問題は、診療報酬への補填を維持及び新たな措置

[相続税・贈与税]
○相続税については、最高税率を引き上げる等、税率構造の見直し
○10年限定の特別措置となっている事業承継税制の恒久化および免除措置の 創設
○相続税の小規模宅地評価にかかる特例措置の拡充を検討します。

[個別間接税]
○電子たばこに対するたばこ税の課税に適正な税率を検討
○酒税については、類似する酒類間の税負担の公平性の観点から引き続き見直し
○自動車重量税の「当分の間税率」廃止、
○自動車重量税の国分の本則税率の地方税化、自動車関連諸税の簡素化
○高齢者の交通事故対策として安全装置を装着した車に減税
○ 自動車の任意保険についても所得税の控除の対象
○トリガー条項今後の原油価格の動向を踏まえながら、財政再建も考慮しつつ実施

[納税環境]
○納税者権利憲章の制定、納税環境整備の亢進
○e-taxの改善

[国際課税]
○「GAFA」国際課税の枠組み作り 。国際連帯税について検討

[租税特別措置]
○租特透明化法による国会報告に基づき、廃止と恒久措置に振り分ける

[中小企業・農林水産業への支援]
○地域雇用の基盤である中小企業、農林水産業をあらゆる方法で支援・育成
○産業空洞化対策や中小企業を含めて企業が活動しやすい環境を整備。
○中小企業支援税制の強化・改善。外形標準課税の中小企業への適用拡大はしない
○中小企業の機械等一部の償却資産にかかる特例措置の拡大
○自動運転や次世代自動車などの最先端技術、研究開発促進税制を拡充 
○設備投資減税・研究開発税制・固定資産税減免・補助金制度 非製造業にも拡大
○中小企業の交際費課税の特例について、拡充を検討
○ 都市農地実情を踏まえた支援措置の創設。生産緑地指定の下限面積を引下げ
○対象農地を貸借した場合の相続税納税猶予制度の継続適用の拡大
○農業経営の安定的な継続を可能とする固定資産税の減免等

[住宅対策]
○住宅ローン減税をはじめとする負担軽減措置
○空き家の発生を抑制するための税制上の特例措置の拡充
○不動産売却損の他の所得との損益通算の復活。適用回数、所得等の制限も再検討
○耐震基準適合証明書の取得について税財政面での支援

[災害復旧・復興支援税制]
○「災害損失控除」を創設
○交通費等の自己負担分について税額控除を行 う「ボランティア活動支援税制 」 ○被災者の車両の再取得については税負担の減免
○遺族の生活資金を確保するため、災害時の死亡保険金の非課税枠を拡充
○異常危険準備金残高の早期回復等のため、積立率・洗替保証率の引き上げ

[炭素税]
○税制全体の見直しと共に炭素税を検討し、脱炭素の技術革新を後押しする。

[印紙税]
○税制抜本改革法7条に基づき、建設工事・不動産譲渡・有価証券受け取りに関する負担の軽減を検討する。




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