9月8日(土)

中出は朝寝が出来るから、よいと思つても早いもので今日で終つてしまふ。 中出から帰つて母にお茶を入れるのが面倒に思ふ。勤め先から帰宅して、ねてゐる人にお茶を運んで行くとは。これも、むこのつとめかと思ふといやになる。が今まで五年間つとめて来た。しかしこれも真に愛情を以つてやる事なら苦痛は感じないで喜んでやれる事だ。が それなら疲れて帰つて来る俺に慰労の意味でお茶位いれてくれてもしかるべき。結局お互に愛情がないのだ。

娘からの注:                             働いて帰って来た父に祖母がお茶をいれる、のではなく父がまず祖母にお茶をいれる不思議な習慣。「五年間つとめて来た」ということは結婚当初から父の「お茶汲み」が続いていることになる。祖母がどういうつもりだったのか知らないが、黙ってそのままにさせている母も変だ。「お帰りなさい」の一言と差し出される一杯のお茶でどれほど心が慰められることか、独身時代に会社務めしていた母なら分かりそうなものなのに。忙しいから、してもしなくても同じだからで片づけられることではないだろう。愛情云々よりも人間性が欠如していると思う。自分にもこの鈍くさいがさつな血が流れているのかと思うとうんざりする。

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