見出し画像

機械学習を使って、自分のウェルビーイングを可視化してみよう!? Monica Playgrounds #3イベントレポート

モニカでは、ワークショップ型のイベント「Monica Playgrounds」を不定期に開催しています。Playgroundsは「遊び場」という意味で、Monica Playgroundsはモニカメンバーが面白い!と思ったことを実験的に色々やってみる場です。

あなたのウェルビーイング、機械で可視化できる?

オンライン開催となった今回は「機械学習で自分のBeをリフレクションする」をテーマに実験してみました。ここでいうBeとは、仕事や人生を俯瞰して、どうあれば自分は幸せだといえるだろう?(ウェルビーイングですね)と思う要素のこと。

リモートワークがいきなり入ってきて、これからの働き方やライフスタイルを見直そうとしている方も多いでしょう。

皆さんは普段、自分の考えを整理するときに、たとえば「これは仕事」「これはプライベート」というように、自分のなかで定義がはっきりしている概念への結びつけやグルーピングをして整理=分かりやすく可視化しているのではないでしょうか。ですが、考えていることが複数の要素を含むときには、ぐぐっと整理が難しくなりますよね。今のようなタイミングでは、特にそうです。

そこで!(多少強引ですが)機械学習の出番です。馴染みの薄い方は、ざっくりAIみたいなものだと思ってください。なにやらAIみたいなものを使って、いろいろな要素が含まれた人の考えを整理する。その整理されたものを使って対話し、考えを深めていく。お?これめっちゃ面白いんじゃない?というのが今回のPlaygroundsのチャレンジどころでした。

実際、今回のイベントは申し込みを開始した数十分後には7割の席が埋まる盛況ぶり!AIもだいぶ日常に溶け込んできた感もありますし、こうしたイベントでテック系の話題を取り上げるのは珍しいためか、様々な方の興味に触れたようです。Playgroundsとしては初のオンライン開催ということもあって、主催者としても何が起こるか分からない、スリリングなイベントになりました。

おやおや?いつまでたっても具体的な適用手法の説明が始まらないぞ?という、機械学習にご興味がある・詳しい方へ
今回用いた手法は多変量解析で一般的に使われる多次元尺度法(MDS: Multi-dimensional Scaling)の考え方を応用しています。本イベントで実施したものは、厳密に理論的な正しさを追求・解説したものではありません。理論的な背景を知りたい方は文末の参考文献をご参照ください。

具体的にやったこと

ということで始まったPlaygrounds #3ですが 、今回のテーマは「自分のBe」(ウェルビーイングにつながりそうなこと)にしてみました。具体的には次のようなステップで進めます。

ステップ1.まず、機械学習にかけるためのデータを準備します。今回のテーマは自分の「Be」なので、仕事や人生を俯瞰して、どうあれば自分は幸せだといえるだろう?と思う要素をたくさん書き出します。ステップ1では書き出した要素に対して、重要度を付与します。

スクリーンショット 2020-05-24 12.02.03

繰り返しになりますが、あるBeと別のBeが近いかどうかは、なんとなく直感的に考えられます。が、Beがたくさんあったらどうでしょう?というのが今回のテーマです。

ステップ2.書き出したBeと別のBeが、どれくらい近いのか遠いのか、概念的な距離(自分の感じるBe同士の近さ)を、それぞれ記入していきます。

スクリーンショット 2020-05-24 12.03.07

ステップ3.入力した「距離」を使って、いよいよ機械学習を実施します。たくさんある「自分のBe」がどんな関係にあるのかを計算し、アウトプットさせたものが、下図になります(計算はモニカが実施)。

スクリーンショット 2020-05-24 11.59.16

ざっくりいうと、ステップ1で要素を書く、ステップ2で距離を入れる、ステップ3で機械学習がなんか図を出してくれる、です。

画像3

実はこの分析手法、マーケティングで商品のポジショニングマップをつくるのなんかに使われています。商品Aと商品Bはこのカテゴリで、商品Cと商品Dはあっちのカテゴリだよね、とマッピングして、マーケティングに活用していくわけですが、今回はそれを人の価値観のポジショニングマップに応用してみたわけです。

さて、そんなこんなで、参加者の皆様のBeが可視化されてまいりました。大切なのはここからです!

機械のアウトプットを意味づける

一人ひとり自分のBeのポジショニングマップができたら、次はその解釈に入ります。

今回の機械学習では、データが4つのグループに分割されるようにつくっています。それぞれのグループに対して、なぜこれとこれは同じグループに入るのか?これはなぜ違うグループに入るのか?そんなことを参加者で対話していきます。

画像3

実はこの部分が一番おもしろい部分で、大切な部分です。機械学習のアウトプットは、あくまで入力されたデータをある規則に従って計算した結果でしかありません。機械さんが「あなたの直感(入力したデータ)をまとめるとこうなりまっせ!」と言っているだけなので、それに「どういう意味があるの?」を考えるのは、私たち人間の仕事です。

ということで、参加者はグループになって、それぞれのマップについて対話を深めました。やってみると自分では「え?なんでこれとこれが一緒なの?」というのが結構あって、それを他の参加者から「これって、こういう意味で近いんじゃない?」と意見をもらうと「あ、意外にそうかもー!!」って流れが出てくるのです。

モニカの対話はグループで行うことを基本にしていますが、他者視点は自分が思っている以上に強力です。それは逆に、自分のバイアスが思っている以上に強力である(自分だけでは気づくことができない!)ということでもあるんですが、とにかく機械と他者という2つの外部視点を取り入れて自分のBeを分析していくの、めっちゃ面白い!のです。

マップを深めて自分のBeを考えることができたら、最後は言語化です。マップで対話した段階ではまだ自分の中になんとなく「こういうことかな?」という全体的な感覚が残っている状態です。心理学ではそれをゲシュタルトと呼んだりもしますが、そのような全体感は言語化することによって、より明確に認知することができます。ワークシートに言語化したら、みんなでそれを共有してワークの終わりとなりました。

意味をつくるのは、これまでも、これからも人である

参加した皆様からは次のような感想をいただきました。

・自分の中の無意識下での分類が面白かった!
・個人ワークとグループワークの繋がりが良かった!
・直感で書き出した言葉の近さをプロットされた図の形でみることで、普段の内省パターンではないことを考えられた!

面白さが伝わってくれたようで、嬉しい限りです。

さっきも書いたことですが、大切なのは「意味をつくるのは人である」ということです。これからの時代、機械学習はより広範囲で取り入れられていくでしょうし、AIも私たちの生活にますます浸透してくるでしょう。しかしながら、データをまとめたり分類したりしてはくれても、機械は意味を生成しているわけではありません。データを見て、これをAと解釈しよう!Bと解釈しよう!と意味をつくるのは、やっぱり最後は人間なんです。

データをまとめる部分は機械が幅をきかせてくるようになるから、そこは機械に任せて、人間は機械がアウトプットしてくれたことに意味をつける(解釈する)のに力をいれよう!というのが、私たちが今、考えていることのひとつです。機械から出てくるデータとそれを使っての対話は、チャレンジしがいのある領域になると思っています。

ちなみに、プレイグラウンド後は、そのままオンライン飲み会に突入しました!Playgrounds中はスクリーンショットを取り忘れたので、飲み会に残ってくれた方のみでの撮影になりますが、飲み会まで含めて楽しい時間にすることができました!

画像2

以上、Monica Playgrounds #3の開催報告でした

Monica Playgroundsは引き続き開催予定です。弊社サイト、Facebook、noteで告知しますので、よかったらチェックしてくださいね。

ご参加していただいた皆様、ありがとうございました!

参考文献をお探しの方へ
[1]MDS(多次元尺度構成法)について、初学者向けのシンプルな解説を読みたい方は、マクロミルさんの解説記事などをご参照ください。
https://www.macromill.com/service/data_analysis/multi-dimensional-scaling.html
[2]今回は分析にRを用いています。Rと多次元尺度法による具体的な処理については、こちらなどが参考になります。
https://www1.doshisha.ac.jp/~mjin/R/Chap_27/27.html
[3]今回のイベントで実施した価値観のマッピングは、PAC分析(個人別態度構造)も参考にしています。PAC分析については、以下のような参考文献があります。
内藤哲雄 (2002)PAC分析実施法入門[改訂版]ナカニシヤ出版

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?