知らぬ間にお金が消えた?使途不明金をなくし貯蓄スピードをアップ!
「私の家計収支って間違ってない?」「資産ポートフォリオ(組み合わせ)って、これで大丈夫かなぁ…」。そんな疑問や悩みに人気FPがズバッとアドバイスするシリーズ #FPさん教えて私の資産ポートフォリオって大丈夫 をスタートしました!
記念すべきシリーズの第一弾はOさん(会社員/26歳)からのご相談です。
Oさんは、計画的にお金を貯めながら節税にも励む、意識高い系の会社員です。しかしながら、気づかないうちに使途不明金が発覚⁉ いったいどうしたらよいのでしょう? 人気FPの飯田道子さんが熱血アドバイスします!
飯田さん:Oさん、本日はお忙しいところ相談にお越しいただきありがとうございます。早速ですが、Oさんの家計収支や貯蓄等の状況について教えていただけますか?
手取りの半分以上を貯蓄・投資にまわし実家暮らしの理想型
Oさん:現在は正社員として、フィンテックの会社にて働いていますので、金融商品には普段から慣れ親しんでいるほうかな?とは思います。収入は手取りで毎月26万円ほどです。
飯田さん:毎月の投資額は14万円弱とのことですが、収入の50%以上を投資にまわされていますが、ご実家で暮らされているのですか? 節税も意識されていて驚きました。
Oさん:はい。実家で両親と一緒に暮らしています。NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)、個人年金保険は節税目的で始めました。個人年金保険は、条件によって2つの控除(個人年金保険料控除・一般生命保険料控除)を利用できるので、あえて2つに分けて契約しています。
飯田さん:上記の収支データには書かれていないのですが、ローンやキャッシングなどはありませんか?
Oさん:はい、一切ありません。
飯田さん:堅実な家計で立派ですね! でも、少し気になる部分があるのです…。
毎月の使途不明金が4万円超!家計簿をつけて不明金撲滅
飯田さん:計算してみたところ、使途不明金が月4万2,700円あることになっています。何か心当たりはありますか?
Oさん:えっ⁉ 4万円もですか? まったく心当たりがないです。何に使っているのかわからないのですが…。
飯田さん:そうですか…。実際に私がFP相談でお話を伺っている一般家庭の場合、食費は4万5,000円くらいかかりますので、一家族の食費分の使い道が不明になっていることになっています。失礼ですが、貯蓄はどのようにされているのですか?
Oさん:実は、投資は意識して行っているのですが、貯蓄は余ったお金を貯めるという感じです。
飯田さん:では、全体で毎月いくら何に使っているのか、わからないということですよね。やはり使途不明金となってしまっていますね。現在でも貯められてはいますが、使途不明金をなくせば、さらに貯蓄のスピードアップが可能となるのでもったいない。使途不明金を洗い出して、その浮いたお金で積立定期預金をやってみてもよいかもしれませんよ。
Oさん:具体的にどのようにすればよいでしょう?
飯田さん:まずは何にいくら使ったのか、家計簿をつけることです。最低でも2カ月以上は続けてお金の流れを把握してほしいです。実際に必要なお金であった場合には、あらかじめ予算を取っておけばよいですよ。
Oさん:家計簿かぁ…。実は今までつけたことがないのですが、この機会にやってみます!
飯田さん:実際にお金の流れがわかったら、貯めるスピードを早めるために「先取り貯蓄」をおすすめします。
Oさん:先取り貯蓄? それはどのような貯蓄なのでしょうか?
飯田さん:先取り貯蓄とは、毎月の収入から一定額を先に貯蓄へ回す方法です。給料天引きで自動的に貯蓄をすれば、面倒なく確実に貯められますし簡単にできますよ。
Oさん:先取り貯蓄という言葉は初めて聞きましたが、投資については給料振込後に決まった額を強制的に積み立てています。おっしゃる通り、毎月金額を考えて振り替えるのは面倒ですし、残った分は基本的に好きに使えるというシンプルなルールが自分には合っていると思ったからです。ただ、このままだと貯蓄と投資のバランスが保てなくなるので、先取り貯蓄もやってみたいと思います。
毎月の家計が黒字でも、使い道がわからないお金は無意識のうちに使っていることが多く、無駄遣いしている可能性大!
無駄遣いをなくせば、その分貯蓄に回せるよね。
また、使途不明金を放置していると、赤字家計に転落してしまう可能性があるので要注意だよ。
結婚資金は流動性のある普通預金や定期預金で貯める
飯田さん:ここからは、Oさんの今後のライフプランやお金へのこだわりなどを教えてください。
Oさん:結婚はしたいと思っているのですが結婚式は挙げなくてもよいのかな?と思っています。子どもは二人欲しいです。結婚しても美味しいごはんを月1回くらいでよいので、プチ贅沢はしてみたいです。あと、趣味には毎月お金をかけたいなと思っています。あと、しっかり勉強しながら投資・運用して資産を増やしたいです。のんびりと長期投資で増やしたいなと思います。
飯田さん:結婚式は挙げないという方に多いのですが、Oさんも結婚資金はいらないとお考えですか?
Oさん:はい。いらないですよね?
飯田さん:確かに結婚式そのものの費用はいらないのですが、新居の準備や引っ越し費用、家財道具等の準備のお金が必要になります。今ある預貯金を考慮しても、あと100万円くらいは貯めておくとよいと思いますよ。
Oさん:そうなんだ…。では結婚資金はどうやって貯めるとよいのでしょう?
飯田さん:元本保証で確実性の高い金融商品がおすすめです。いつ結婚するのかも未定ならば、流動性の高い普通預金や定期預金で積み立てていくといいでしょう。
あと、Oさんは趣味にお金をかけたいとおっしゃっていましたが、予算は決めていらっしゃいますか?
Oさん:私の趣味は漫画とゲームです。予算の上限は決めていないのですが、今は毎月2万5,000円くらい使っています。ただ、使いすぎていないかクレジットカードの明細は定期的に確認しています。
飯田さん:趣味に使う毎月2万5,000円の内訳を教えてください。
Oさん:内訳は、漫画が1万円、ゲームソフトが1万円、映画館のチケットが3,000円、動画サブスクが2,000円ほどです。漫画は一冊数百円〜1,000円程度で、ゲームソフトだと一本数百円〜7,000円くらいです。中古で買ったりレンタルで借りたりしていますので、支出は抑えられているのかな?と思います。不要になった本やゲームソフトはメルカリで売ることもあります。
飯田さん:無駄なくお金や商品を循環させていますね。不要なモノを売ればお金が得られるだけでなく、家の中もすっきりしますし、居住スぺ―スも有効に使えますよね。堅実な経済観念をお持ちだと思います。
それでは、Oさんの今後のキャリアについてもお聞かせください。
キャリアプランを明確にし、自分を売り込んでみよう
Oさん:実は、副業で文章を書く仕事をしたいと考えているのですが、どのようにすればよいのかわからないんです。
飯田さん:出版社や編集者はブログ等を検索して書き手を探していると聞きます。じつは私自身、企画を立案して、出版社の編集担当の人に見てもらい、仕事をいただいたりしていました。あと、編集プロダクションに問い合わせて相談してみるのもひとつの方法です。自分が興味あること、好きなことなどをブログに書いてみるのもよいと思います。もし執筆の実績があるのでしたら、どんどん動きましょう!
Oさん:何だかやる気が湧いてきました。今後のキャリアプランについてもじっくり考えてみたいと思います。
「副業をしてみたいけど何をしたらよいの?」と思ったときに取り組んでほしいのが、自分のことを振り返り棚卸しをすること。
たとえば、好きなことや興味があること、得意なこと、そして保有している資格等を書き出していくと、頭の中が整理されて、あなたのこれから進むべき方向性が見つかるよ!
米国株寄りの資産ポートフォリオが気になる…リバランスも検討してみては?
飯田さん:Oさんはしっかりと投資や貯蓄をされているのですが、どのような金融商品を使って運用されているのか、具体的に教えていただけますか?
Oさん:投資信託にNISAやiDeCoを活用して投資しています。定期預金や普通預金についてはネット銀行の金利が高い商品に預けています。国債についてはどのような商品なのか知りたくて、とりあえず投資してみたという感じです。
飯田さん:非常にバランスよく運用されていますし、金融商品のチョイスも申し分なしですね。保有している投資信託の運用実績はかなり好調なのでは…?
Oさん:はい。おかげさまで好調でとてもうれしいです(笑)。
飯田さん:リスクの高い投資信託と元本保証のある預貯金の比率では、若干ですが、元本保証のある預貯金が多くなっていますが、どちらの金融商品の比率を上げたいと思っていらっしゃいますか?
Oさん:私としてはリスクを取って積極的な運用がしてみたいです。
飯田さん:元本保証のある金融商品と元本保証がない金融商品のバランスはよいのですが、運用先がアメリカと日本に偏っているのがちょっと気になります。特にアメリカはトランプ政権になり、今後の経済がどう動くのか読みづらくなるでしょう。この機会に「リバランス」を検討してはいかがですか?
Oさん:リバランス? 具体的にどのようにすればよいのでしょうか?
飯田さん:Oさんが保有している「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね」や「つみたて米国株式(S&P500)」といった投資信託は米国株に投資していますので、アメリカ経済が落ち込んでしまったら、投資信託の基準価額も影響を受けてしまいます。全世界の株式に投資する投資信託であれば、米国株とは違う値動きをしますし、分散投資によるリスクヘッジにもなるので、検討してみてはいかがでしょう?
金融資産や金融商品の組み合わせのことを「ポートフォリオ」というんだ。
そのポートフォリオを再配分、つまり見直して組み合わせをし直すことを「リバランス」っていうんだよ。
リバランスは、同じような投資対象の金融商品に偏っているときやリスク許容度が変わったときに行うのがいいとされているよ。
Oさん:わかりました! 証券会社のWebサイトにあるファンド情報のページを参考にして、投資先の国や株式銘柄をよくチェックして、どのような投資信託にすればよいのか改めて考えてみます。本日はありがとうございました!
飯田さん:こちらこそ、ありがとうございました。
飯田 道子(いいだ・みちこ)さん
CFP、1級FP技能士。金融機関勤務を経て、FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行う。どの金融機関にも属さない独立系FP。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国の移住や金融・保険情報を得意としている。