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ふたたびの育休

自己紹介
 プロフィールのとおり、地方公務員職に就いています。入職してから今年度で10年目となります。前職が4年弱あり、年齢としては30代後半です。noteにも男性育休の投稿が目立ってきています。この変化はとても心地よいものなので、ぜひ便乗させてください。
 僕は3人兄弟の長男として育ち、両親が共働きだったこともあり、幼い頃からいくばくかの家事をしていました。小学校高学年の時には、弟の保育園の迎えにも行っていました。そんなこともあって、小学校の卒業文集では「家事が得意そうな男子ランキング・第1位」になるような子どもでした。(ちょっと自慢しました)なので、男性が育休を取ることへの抵抗感はなく、きっと楽しいだろうなぁと妄想すらしていました。

概 要
 今回の育休は、2人目の子の出産に合わせて取得。その子(以下、“I”)は、令和元年10月に生まれ、育休取得は同年12月から翌年2月までの3ヶ月間、Iが生後2ヶ月から4ヶ月にあたる時期でした。ちなみに1人目の子(現在4歳、“M”)の時にも、2ヶ月間の育休を取得しています。
 その間、僕の異動に伴い職場が変わって通勤時間が長くなり、妻は働き方を変えて自宅の近くで働けるようになりました。そして、Iの育休期間の開始に合わせ、妻は仕事に復帰しました。

なぜ取得したか
 「取ってみたかったから」・・色々と考えてみましたが、これに尽きます。
 妻を助けたい、子どもの成長がみたい、仕事を休みたい、いい夫だと見られたい、職場の雰囲気を変えたい、社会を変えたい、家事したい、自分の趣味をしたい、映画を観たい、本を読みたい・・。本当に様々な動機がありました。
 でも、一番強く背中を押したのは、出産時に見た「我が子の猛烈な生命力」の圧倒的な体験でした。成長という「生きるさま」を近くで感じるべきだと確信したわけです。これは大袈裟ではなくて、育休を誰にでも体験してほしいと思う動機にもなっています。幸運なことに、MもIも出生時に立ち会うことができました。

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やったこと
 一般的なことは大勢の方の投稿に譲るとして、僕たち家族の独自の動きを書いていきたいと思います。
 ・日常の家事
 僕たち夫婦は、一般的に考えられている性別役割とは少し異なっていて、家事が苦手で出来ればやりたくない妻と、家事が結構好きな夫という関係です(じっさいは、妻がそういう演技をしているという可能性も否定できません・・笑)。結婚して以来、朝型の僕が朝の家事や料理などをしています。夫婦間で、家事の分担を明確にせず、出来るだけ無理をせずに日々を過ごす・・そんな考え方です。
 育休期間で、家にいる機会が増えたこともあり、これまでできなかった家具などの買い物の検討と購入をすることができました。Mが保育園に行っていたこともあり、日中には大掃除のようなことも考えていましたが、それはなかなか難しく、ようやくできたのは窓ふきと洗車くらいだったでしょうか。Mの育休期間中には、いま住んでいる家を購入した経験があり、その成功体験が強烈過ぎた・・というのもありそうです。
 外に出られない時期の昼食も、悩みの種になることがありますが、我が家ではドライブスルーを活用しました・・といっても数回だけですが。作るのも片付けるのも、面倒なときがあります(殆ど毎日かも・・笑)、デリバリーを利用するのも手だと思います。

・保育時間の短縮
 Mを保育園に預けていたので、育休を取得するとその期間、保育時間が短縮となります。迎えの時間が、ふだんよりも1時間短くなるだけですが、慣れるまで時間がかかりました。帰宅時間も早くなるため夕食の準備などの家事との両立なども工夫が必要になりました。保育園の帰りに、子どもと一緒に買い物へ行ってみたり、余裕があれば公園で遊んだりしました。寒い時期だったので、ながいこと公園で遊べなかったことは、親にとっては都合がよかったかも知れません。

・予防接種とインフルエンザ
 生後2ヶ月を過ぎると、予防接種リレーとも言える時期がやってきます。任意のもの含め数種類、数年かけて打つ必要があるものもあります。予定表のような一覧表を見た時に、これは大変だなぁと感じました。Mの時も、かかりつけの小児科の先生がとても親切にスケジューリングしてくれたので助かっていたようです。
 Iの初めての接種に備えて妻も休みを取っていましたが、その前日に予約枠が空いていたため、急きょ僕とIだけで初回を迎えたこともありました。季節はインフルエンザの流行期ともなり、家族がインフルに罹ってしまったりして、予防注射の予約を何度か忘れてしまうことがありました。予防接種は、親にとってかなりストレスになります。保健所が行う集団接種の日付などもあり、目まぐるしいスケジュール管理と親子の体調管理も必要だなと感じています。

・授乳便の実施
 我が家ならではの育休タスクとしては、これが挙げられます。妻が「授乳便」と呼んでいた“赤ちゃんお届けサービス”。妻が自宅から遠くない場所に勤務していたので、授乳の時間に、僕がIを連れて妻の勤務先の近所まで出向いていました。勤務先の御厚意で駐車場を貸していただき、車の中で授乳するような日々でした。妻が出勤している時にはほぼ実行していたので、数時間ごとに授乳便の時間が割かれ、この分断が個人的にはかなりストレスを感じました。
 粉ミルクも飲めることは確認していましたが、授乳便をやめるという選択肢はありませんでした。ママによって個人差がありますが、妻の体調管理のためにも必要な時間だったからです。授乳にかかる時間が、成長に伴って短くなっていくのが楽しみでもありました。

・上の子デーの実施
 Mは平日、毎日のように保育園に通っていました。育休が始まる時、「Iが赤ちゃんだから、お父さんは家でお仕事しているんだ」と伝えていた(家事だから、嘘ではないですよ・・ね)こともあって、Mは時々「Iはずるいなぁ」みたいなことを言っていました。そんな様子を見ていた妻から、育休の終盤になって「Mのための日を作ってあげてはどうか」とアドバイスがあり、視野が狭くなっていた僕にはとても良い考えでした。
 お義母さんにお願いしてIを見てもらう調整をして、Mが行きたい場所へ一緒に遊びに行くという日を作りました。Mのリクエストは「水族館がいい!」とのことで、神奈川県の新江ノ島水族館へ。実はMは水族館に行ったことがなく、初めて観るショーや魚たちに大喜びでした。館内が薄暗いのがやや不安だったようですが、近くの砂浜で貝殻を拾ったり、おみやげにぬいぐるみを買ったりと、楽しい思い出ができたのではないかと思います。これは育休関係なく、とても良い体験になったので、これからも機会をみつけて実施したいです。

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 ・赤ちゃん連れランチ
 予防接種が進み、授乳便の間隔が広くなってくると、昼食の時間を家の外で過ごしても良さそうだと感じて来ます。赤ちゃんなので、公園で遊ぶにはまだ早すぎるが、親としては気分転換に美味しいものでも食べたい、となるわけです。
 二人目の子となると、親の意識も相当に変化してきます。僕の個人的な感覚としては、とても楽になりました。Mの時も一緒に出掛けるのは、緊張もしたけれど良い経験になることが多かったように思います。暖冬だったのもありがたく、授乳便の後に赤ちゃん連れで市内のお店にランチを食べに行きました。おおむね、どの店でも好意的に迎えてくれたことは嬉しかったです。その時の様子をSNSに書き込んだりして、意識的に育休アピールもしていました。カフェ、洋食屋、居酒屋、ラーメン屋、ファミレス、蕎麦屋・・地域の飲食店開拓も出来て、これからも楽しみが増えました。

取得までの調整
 僕の場合は、「僕が取りたかったから」という理由なので、Iの時も、まずは妻に相談しました。妻は、「Mの時には色々とストレスを感じていたので外に出たかった」と言って、早々に仕事復帰するように調整してくれました。
 会社というひとつの組織でも、部署によって雰囲気が違うように、職場によって雰囲気があり、またそれを感じたり合わせたりするには、個人差はあれ時間がかかります。家族のことや、自分のことを話す機会というのは、あえて構えないと作れないような環境という場合が多いと思います。そんななかで、育休を取りたいと伝えるタイミングについては、多くの人が悩むところです。僕は、年度初めに上司と面談する機会があり、取得の意思を伝えていました。その時に、期間についても相談し、業務の内容やこれまでの実績を検討しつつ、3ヶ月という期間を選びました。粛々と準備を進めるなかでは、多くの同僚から励ましをもらうこともできました。少なからず迷惑をかけるので、最低限の連絡体制でやり取りをできるようにしていました。
 幸いなことに、僕が配属された部署には、前任者が残っており、育休中の業務をお任せすることができました。組織の課題として、仕事が人に付いているということがままありますが、そういった課題に直面するのも、育休の刺激的な効果です。

考えたこと
 育休は、数か月の期間で終わってしまうわけですが、育児はこれからです。それを補完するための準備期間が育休なのだと思います。赤ちゃんと向き合う時間は、場合によっては自分や家族と向き合う時間になっているのだと思うことがよくありました。同じ一日という時間の流れが、仕事と育休ではまるっきり変わるという方もいるでしょう。僕もそうでしたし、そうでなければ意味がないと思います。
よく冗談で「会社のほうが、日本語が通じるからマシだ」と言われることがありますが、赤ちゃんとの時間は苦しくもあり、反面穏やかでもあります。これは命を預かるプレッシャーのかかる母親にとっては、全く違う時間になってしまうので、個人差が大いにあることは書き添えておきます。
 仕事から離れることで、顧客との関係や、生活費、復帰後の処遇など、不安になってしまうことは多くあります。社会が変わってきていると言われても、うちの会社は変わってないなぁと感じる方も多いはずです。でも、会社全体は難しくても、きっと理解してくれる人はいると思うのです。子育てが一段落した上司の世代には、「いまが羨ましいよ。俺も育休取りたかったなぁ」と言ってくださる方もいます。 
 育休の期間中、行政と民間が協働している事例を紹介する講演会に参加しました。もちろん、赤ちゃん連れで参加しました。市の職員の方が研修として参加されていて、偶然にも結婚したばかりの方が2名おり、育休って楽しいですよ、といったことを話しました。その席では僕の職業を明かし、同じ公務員なのだから出来ますよ、と言わないまでも、背中を押すように意識をしつつ過ごしたことを覚えています。
 とある育休取得推進フォーラムで、「育休取得はボーリングの一番ピン」といった表現がありました。なぜ先頭なのか、それは父親であるあなたの視点ではなく、生まれてくる子どもの視点でした。出生により始まるから、先頭は育休取得なのだと理解しました。
 母性と違って、父性(という言葉も不思議ですが)は後から身に付くのかも知れません。僕は幼い兄弟がいたこともあって、母性なのか父性なのか、“親性”みたいなものが早くからあったのかも知れません。人によって様々な感想がある育休ですが、共通するのは「貴重な経験だった」ということでしょう。

父親は、あなたです。

 最後まで読んでいただき、ほんとうにありがとうございました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、子どもたちのおやつ代に充てます。 これまでの記録などhttps://note.com/monbon/n/nfb1fb73686fd