空車

通勤で利用する駅には、改札を出るとにコンビニがあって、日課のように立ち寄っています。その朝も買い物をして、いそいそと店を出ました。コンビニの隣にはラーメン屋があり、出勤する時間帯にはもう開店しています。

朝の時間帯には、お粥のセットがあったりして、なかなか魅力的なラーメン屋なので、その日も店の入口の機械で食券を買っている人が見えました。

そのラーメン屋の入口のそばに、黒いベビーカーが停まっていました。周囲に保護者らしい大人はおらず、えっ？と思いながら通過すると、だれも乗っていませんでした。なんでこんなところに・・あ、お店かな。

ガラス越しにラーメン屋を覗くと数人の客がいて、一様にラーメンをすすっていました。赤ちゃんを抱えながら食べているような人はおらず、通勤途中だったので通り過ぎて職場に向かいました。

次の日、またあのベビーカーが停まっていました。

じつは、その日はベビーカーを見かける前に、コンビニの隣に保育園があることに気がついていました。駅にコンビニ、ラーメン屋、そして保育園。

謎が解けました。謎というほどでもありませんが。

空車のベビーカーは、すでに仕事を終えていたということでしょう。ベビーカーに乗せて子どもを保育園に送り、帰り際のラーメン屋で朝ごはん（おやつかも）を楽しんでいる、そんな羨ましい瞬間だったのです。

空車のベビーカーはあまり街なかで見かけないし、まして朝のラーメン屋に置いてあったら気になる人もいるでしょう。おそらく子どもの父親さんだと思われますが、保育園に送ったあとに、もしかしたらこっそりラーメン屋に寄っているのかも知れません。

駅のそばにあったら便利なのは、保育園もそう。小さな子どもがいる人なら、駅にあったらなぁと思う施設だと思います。職場のあるビルから、その保育園の園庭を眺めることができます。こどもたちが走り回っているのを見るのは、ひとときの癒しでもあったりします。

駅の保育園のことに気がついたとき、空車のベビーカーがあるだけで、朝の慌ただしい風景にラーメンの温かい雰囲気が漂ってくるような気分さえしてきます。ラーメン、美味しいですよね。九州を旅したとき、早朝に一蘭に行って感激したのを思い出してしまいました。

いつか朝ラーメンしたいなぁ。いや、そっちじゃないな。

保育園の送り迎え、ほんとうにお疲れ様です。