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フランス留学から帰ってきた私が今、伝えたい事

今、たくさんの留学生が日本に帰国しています。留学先の学校が閉鎖され、留学先に留まることも厳しい状況に置かれた留学生たち。

私もその一人。

私たちのせいで、新型コロナウイルスが拡大するかもしれないと不安になっている人も多いと思います。「ヨーロッパから帰国する人を日本に入れないでくれ」「こんな時にヨーロッパにいるのが悪い」ニュースのインタビューに答えていた人たちの声。理解できる。私も日本にいたら、そう思ってしまうだろう。でも、私たち留学生が置かれている状況もわかってほしいです。

そのために、私が体験したこと、感じたことなどをまとめました。

1.フランスの状況、そして帰国の決断

 帰国を決めたのは、3月12日に行われた、フランス・マクロン大統領の新型コロナウイルスに関する1回目演説の次の日。この演説で、全ての学校が閉鎖されることが決まった。「これからどうなってしまうんだろう」そんな不安や焦りでいっぱいだった。同時に、留学を中断したくないという気持ちもあった。留学をすると決断したその日から色々準備をしてきて頑張ってきたし、今はたくさんのことを必死にまだ学んでいる途中だったから。コロナのせいで帰国せざるを得ないことはしょうがない、そんな事もう最初からわかってる。怒りや悲しみを誰かにぶつけたかった。でも、誰も悪くない。誰かにぶつけたって何も解決しない。本当にやるせない気持ちでいっぱいだった。

 もともとアジア中心で広まっていた新型コロナウイルスは、いつからかヨーロッパ中心になっていました。正直、ヨーロッパに住む私たちは油断していました。新型コロナウイルスを甘く見ていた。ただの風邪。私たちには関係ないと考えている人が沢山いた。ヨーロッパが今の状態になる前に「新型コロナウイルスによるアジア人差別」が起きていたのも事実。私も道を歩いている時に「コロナウイルス!」と馬鹿にされました。

 しかし、ヨーロッパであっという間に感染拡大。物凄いスピードだった。状況が把握できないほど、理解が追いつかないほど。

 大学の1週間の春休みを終え、学校が再開し1週間経った頃でした。マクロン大統領の演説があり、フランス政府はようやく動き出しました。政策の流れは以下の通り(在リヨン領事事務所からのメール参照) 。読んでわかるように、ロックダウンまであっという間の出来事でした。

3月12日 マクロン大統領による演説1:16日(月)から政府として新たな方針を出すまでの間,保育所,小中学校,高校,大学の閉鎖を発表。
3月16日 マクロン大統領による演説2:                      1. 17日正午から,少なくとも15日間,仏国内(本土及び海外領土)において,外出制限。1メートルの距離を守り接触を避けた形での買い物,通院,テレワークが困難な場合の通勤,若干の運動といった必要な外出のみ許容。規範に反した場合、罰則。
2. EU共通の決定により,EU及びシェンゲン圏への入境を閉鎖。EU域外の国とEU域内の国の間の移動を30日間停止
3. 市町村議会選第2回投票の延期
4. コロナウイルス対策に集中するため,年金改革を含む現在進行中の改革を一時中断
5. 最も被害を受けている地域への支援を実施。
6. 税金,社会保険料支払いの延期,銀行の貸し付けの返済期限の繰り延べ,国による3000億ユーロを上限とした保証に言及。危機に瀕する小企業に関しては,税金,社会保険料,水道・電気・ガス代金,賃料支払いも延期。また,部分的失業の拡大,起業家,手工業者,商人のための,国による連帯基金の設立にも言及。
3月16日 カスタネール内務大臣による発表:
1. 移動の最小限の措置
17日(火)12時から15日間(延長可能性あり),厳格な移動制限措置。自宅待機。
必要な買い物、子供の送り迎え、医療関係業務のための移動、テレワークが不可能な場合、証明書を持たなければならない。違反した場合、罰金。
発表された当初は38ユーロであったが、違反者が多かったため、現在135ユーロに。            2. EU圏への入域
シェンゲン協定加盟国,EU加盟国と英国の市民のみが入域が可能。EU非加盟国民の入域は,滞在許可証を保持している場合や,第三国の保健関係者などのいくつかの例外を除き,認められない。EUに入域する絶対的な理由のない人の入域は禁止の対象に。

次々に状況が変わりました。その影響で買い占めも始まりました。スーパーの棚は空っぽに。そして、街から人が消えました。

いつもは大勢の人で賑わっている駅


しかし、本当に大変だったのは帰国後でした。

2.日本の対応、問題点

帰国した際に政府から次のような「要請」がありました。

*公共交通機関を使用しないこと

*自宅またはホテルで14日間待機すること

*検疫を受けること

親が自家用車かレンタカーで迎えに来てくれれば自宅に帰れる、それができない人はホテルで待機しろとのこと。ここで問題①;なんと滞在費は自費。ホテルや移動手段の手配、お金の援助すら政府はしてくれない。

ホテルに2週間滞在するなんて、少なくとも何十万はかかる。そもそも私たちは、日本に帰るという選択も困難、留学先に残るという選択も困難な状況にいました。理由は次の2点。まず「奨学金が止まること」(外務省が発表するその国の危険レベルが2に上がると、自動的に奨学金がストップする)次に「帰りの航空券が自費であること」。帰りたくても金銭的な問題で帰れない友達が実際にいます。


また、私は羽田空港の検疫状況に驚きを隠せなかった。実は、飛行機を降りる前に自分の体調や空港からの交通手段の申告書を書きました。それを持った搭乗者全員が検疫の順番待ちの列に並びます。ここで問題②物凄い列の長さ。前後の人との距離なんて数センチしか開いてない。検疫場所に近づくと、ロープが引かれているが、隣の列との間は1メートルなんて開けられない近さに設置されており、どうにもできない状態。そんな状況で私は2時間以上並びました。熱気がすごく、パスポートや申告書で仰いでいる人も多くいました。まるでライブ会場の列に並んでいるよう。もう、ここでクラスター感染なのではと思いました。いざ、検疫場所にたどり着いたかと思えば、空港からどうやって帰るのか、自覚症状はないかを聞かれるのみ。(私が帰国した時点)

長々と書いてしまいましたが、要するにわたしが問題点だと思うのは次の3点です。

1.政府から資金が一銭もなく、全て学生が自ら負担。

2.政府によるホテルや移動手段の提供がない

3.検疫の仕方

少しでも改善して欲しいと心から願います。

そして最後に、ここまで私の文章を読んでくださった方にもお願い。

3.お願い

 東京で週末の「外出自粛要請」が発表されました。多くの人が外出している姿や、花見をしている姿をテレビで見て、危機感の薄さに驚きました。まさに油断していたフランス、ヨーロッパのよう。ヨーロッパから帰って来た身が言うのもあれですが、みなさんにお願いしたいです。「不要な外出はやめて」あっという間にいまのヨーロッパのようになってしまいます。ヨーロッパの二の舞になって欲しくないです。みんなで協力しましょう。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200327/k10012353731000.html?utm_int=news_contents_news-main_001