2ヶ月ぶりの外は、世界が眩しく見えた。
【この感覚を忘れないように、覚え書き。】
宣言が解除された日の翌日、明日から始まる仕事の準備のため、
2ヶ月ぶりに、電車に乗った。
ちゃんと乗れるだろうかとか、子供のようにソワソワしてしまった。
結局、普通に乗れたのだけれど。
電車が最寄駅を出発し、いつもみている風景が窓枠から流れていった。
どこまでも青々とした田んぼの風景。
こんなに青かったっけ。
ああ、この2ヶ月の間に、葉っぱが生い茂って成長したんだなぁ、と感慨深く眺める。
カナダのトロントから帰ってきて、2ヶ月ぶりに日本の田んぼの景色をみた時の感動も、こんな感じだった。
2ヶ月間のリモートワークで、ほぼ毎日パソコンとにらめっこの日々だった間に、脚力はひょろひょろになり、久しぶりの8時間立ちっぱなしの作業は、もうなんというか、修行に近い辛さだった。
翌日、2ヶ月ぶりの再開。
とにかく忙しかった。
それでも、改めて、
人と会う、コミュニケーションをとる
ということは
パソコンの画面越しで伝わる情報の百倍はあるだろう。 と思った。
まだまだコロナの状況は、依然、楽観視できるものではない。
気を引き締めて、自分ができることは、しっかり対策しなきゃならない。
それでも、社会が動く、経済がまわる、世の中がまわる ということは
すごいことなんだ、と実感する。
それまで、お金の流れとか、ビジネスとか、経済とか
本当は身近なものだけれど、感覚的には遠いところのものだった。
でも、本当に一人一人の経済活動が、誰かの暮らしに繋がり、世の中は回っているんだということを、「実感」できたのは、初めてだった。
「素敵な1日になったわ。」
「ありがとう。」
そう言ってくださるお客様たちの喜んだ顔。
一緒に悩んだり、喜んだり。この2ヶ月、どんな時間を過ごしていたか。
お話しする中で変化する、ひとつひとつの表情の豊かさ。
オンラインではわからない、その人の仕草や、微妙な表情の変化。ほのかに香る、香水。身に纏っているもの。
一期一会、もう二度と会うことはないかもしれない人に、心を込めてお話しする時間。
「久しぶりの仕事は、やっぱり疲れるわね。」
「がんばろうね。」
「お疲れ様です。」
そうじのおばちゃんや、エレベーターですれ違う別の職場の人、
皆、それぞれの場所で頑張っている。
この世は、無数の「一人ひとり」で構成され、世界は動いている。
これを忘れたくない、決して。
帰りの電車で、ふと窓の外を見ると、見事な夕焼けだった。
淡く桃色に染まった空を眺めながら、今日1日が終わっていくことに想いを馳せた。
桃色の空が、だんだんと藍色に移っていく。夜がやってくる。
帰り道。
雷だろうか、時折、遠くの空がパッと光る。
もうすぐ雨が降るのだろう、身体に染み込んでくるような夜の空気。
こないだは、桜が満開で咲いていた。
今はすっかり花が落ちて、葉っぱがわさわさと傘のように空に広がっていた。
当たり前だった日常が、こんなにも懐かしくて、人とのふれあいがあたたかくて、電車からみる夕空が美しいことを
こんなにも実感する日はなかった。
前の世界に戻ったわけではない。
私も、過去の私ではない。
でも、この2ヶ月のトンネルを抜けた先に、新しい日々がはじまる。
次のステップに進む時なんだ。
以前には見えていなかった、たくさんのことに気づけるようになった。
もっと変えられることがたくさんあると気づいた。
この2ヶ月、リモートの中、時には心が折れそうになりながら、それでも毎日向き合い続けた日々は無駄ではなかった。
これから、少しずつ、変わっていきたい。
もっともっと、パワーアップできる。
そして、なにより
「ありがとう」と伝え続けること。
これだけは、忘れない。
あなたは、元気にしていますか。
どうか、穏やかな日々を過ごせていますように。
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