2020年 11月 明日退院する

  栃木県の某市の某病院。午前中にあっさりとドレーンは抜けた。明日が退院日である。入院費用は幾らになるのか。入院中と言うのは、小出しに与えられる情報を待ちながら進んでいく必要がある。こちらが焦って話を進めても原則あまり良いことはないが、放置されていると感じたら丁寧に問い合わせないといけない。クリア手前なのであとの心配は入院費用のみである。限度額認定証は入院時に提示したが、あれで良かったんだろうか。気になるが、ダメならダメでそれはそれだ。なんとかなる。多分。まだ大丈夫。

   人工乳房のカタログが至極グッと来た。これは嫌いではない世界だ。でも、フルオーダー30万、しかも数年で作り替えなければいけないとなると大変な贅沢品である。結局なにもしないと言うことになるのか。再建手術にあまり食指が動かないが、数年したら気持ちも変わるのかもしれないな。まだ、無くなった乳房部分をあまりさわる気にならない。傷ついてる訳ではなく、『欠損』と言う概念に慣れていないだけなのかもしれない。

   あと一時間したらシャワーを浴びに行く。ル・グゥィン『所有せざる人々』を読みおわったので、ベッドサイドにあるのは後は太宰と東野圭吾だけだ。読むか読まないか。後はもう、ネットサーフィンだけでお茶を濁そうか。

曇っているらしい。最後に病院のテラスから景色を見るか。そこまで目に焼き付けるようなものでもないか。わからない。

 『ニューガンサバイバー』とか、言われたくないし言いたくない、なるべく。何にかかろうが何にかからなかろうが、ヒトは生きてるだけでサバイバーだ。多分。そういうことにしておこう。

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