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モニタリングポストのない大熊町の新庁舎

 令和になって初の福島取材は、福島第一原発の立地自治体である大熊町。連休中盤の5月2日に行ってきました。
 大熊町の多くは、今でも帰還困難区域ですが、今年4月10日、大川原地区という比較的放射線量が低い地域のみ避難指示が解除されました。これは第一原発立地自治体では初めてのことです。
 そして、この避難指示解除に合わせて、役場の新庁舎も大川原にオープンしました。

 実は2年前の2017年6月、この役場新庁舎の建設計画について、私は「女性自身」に疑問を呈する記事を書いています。
 簡単に記事の内容を説明すると、約1割の町民しか「大熊に戻らない」と言っているのに、約31億円もかけて大熊に役場新庁舎を作る必要があるのか。新庁舎を建てる土地には、大熊町の渡辺利綱町長が所有する土地も含まれている。これが、〝利益誘導〟になり民法第108条に抵触するのではないか、というもの。
ネット版では今も読めるので、ご興味ある方はご一読ください。

福島県・大熊町長の土地に「31億円の町役場」のあきれた復興計画(上)
福島県・大熊町長の土地に「31億円の町役場」のあきれた復興計画(下)

 あれから2年。結局、新庁舎は建設されました。
河北新報によると、工事費は約27億4100円だったそうです。

 今回、私も新庁舎を訪れてみました。
以前は、ゼネコンのプレハブが建っていたこの場所に、冒頭の写真のような立派な新庁舎が。広場も整備されていて、避難先のいわきから訪れて、花の手入れをする大熊町民の姿もありました。

 庁舎の入り口で空間線量を測ってみたところ、0.13マイクロシーベルト/毎時。こうして多く人が訪れる場所は入念に除染がされているので、たしかに低くなっています。(ただし、国道6号はいまだに毎時2マイクロシーベルトを超える場所もありますし、新庁舎の近所のお宅の庭は0.5マイクロシーベルト/毎時を越えていました)
 
 私が線量を測っていると、同行してくれた大熊町出身の方が、こう言うのです。
「和田さん、この新庁舎は福島第一原発と目と鼻の先にあるのにモニタリングポストがないんですよ」
 
 たしかに!!

 モニタリングポストとは、空間線量を測定し表示する器械のことです。
(記事末に写真あり)
原子力規制委員会は「線量が十分に低く安定している」との理由で、福島県内の約8割にあたるモニタリングポストを来年春までに撤去する方針を打ち出しています。だから設置しなかったのかもしれません。しかし、県民の多くはこれに反対しています。
 当たり前です。

 ご存じのとおり、いまも福島第一原発内では、危険な廃炉作業が続いています。「あと100年は続くんじゃないか」というのが関係者の意見です。

 4月からは、3号機からの使用済み核燃料の取り出しが始まったばかりですし、5月からは傾いた排気筒の解体も開始されます。
 大熊町を訪れたこの日、原発関係の仕事をしている方にお会いしたのですが、こうおっしゃっていました。
 「取り出し作業で核燃料をあやまって落としてしまう可能性は十分ある。そうなったら、また避難しないといけない。風向きによって、どの範囲まで避難すべきか変わりますが、東京まで及ぶ可能性は十分あります」

 こうした状況であるにもかかわらず、27億円もかけているのに、新庁舎の前にモニタリングポストのひとつも設置できないのでしょうか。

 6月には、大熊町にできた復興住宅への入居が始まるそうです。現段階では、約50世帯が入居予定だとか。そのほか、自宅に戻る人も5~6世帯ほどいらっしゃるそうです。
 大熊町は、国は、こうした町民の方々の安全を、どのように守っていくつもりなのでしょうか――。

これは飯舘村の長泥地区に設置されているモニタリングポストです


 


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福島第一原発事故以降、福島での取材を重ね、12年に福島の今を伝える季刊誌「ママレボ」を創刊。ままれぼ出版局を立ち上げる。「女性自身」でも、原発事故や汚染の問題を中心に発信中。 ままれぼ出版局の本は、こちら。http://momsrevo.blogspot.com/
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