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汚染水を海にながさないで! 福島の女性たちの怒り

 
 10月16日、政府が今月末にも汚染処理水の海洋放出を決定するとのニュースが報じられた。
 経産相「いつまでも先送りできない」 10月27日にも海洋放出の方針決定 福島第一原発の汚染処理水

 現在、福島第一原発に溜まり続けている〝汚染処理水〟。東電の試算では、2022年の秋には敷地におけなくなるとして、処理を急いでいる。

 しかし、住民の声も十分聞かず、しかもパブリックコメントなどでは7割の市民から反対の意見が上がっているにもかかわらず、「復興のためだ」「基準値以下だから」などと言って政府に都合のよい意見を押し通すのは、この国の常套手段。
 しかし、何度裏切られても、踏みにじられても、諦めずに声を上げ続けてくれる人たちがいることが、本当に救いだ。
 10月20日、処理汚染水海洋放出に反対の申し入れと署名を手渡すため、福島県から女性たち3人が駆け、終了後は記者会見が行われた。
今回は、FoEジャパンの呼びかけでオンラインで賛同の署名を集めたところ、10月17日朝から20日朝までに全国から6,886筆集まったという。


 この日は、冒頭で要請文が読み上げられ、経産省の若手職員がそれを受け取った。 しかし、経産省の職員は、「政府としては、月内に決定すると決定した事実はございません」との一点張り。
 これが本当なのか、しっかり月末まで見極めたい。


 今回は、この要請文を引用しつつ、処理汚染水についての問題点を、FoEJapanが制作している『処理水Q&A』から参照しながら記しておきたい。

〝処理水〟なんて呼ばれているが、そもそも十分に処理できていないということ。東電はALPSという除去装置を通すと、トリチウム以外の放射性物質は除去できると言い続けていたが、メディアが調査したところ、ヨウ素129,ルテニウム106,ストロンチウム90など、トリチウム以外の放射性物質も基準値を超えて存在していることがわかった。東電は、基準値以下になるまでALPSを通すと言っているようだが、これが取り切れるかどうかはわからない。
 さらに問題なのは、〝総量〟がどれくらいになるか公表されていない点。
FoEJapanの満田さんによると、「東電は、トリチウムの排出基準は6万ベクレル/Lの40分の1にまで薄めた1500ベクレル/Lにして排出すると言っている。さも努力しているかのようだが、それは間違い。地下水バイパスやサブドレンの水などからも多くの放射性物質が出ているので、排水に割り当てられる放射性物質の量が、1500ベクレル/Lになってしまうだけ。」と、解説している。

本当に腹立たしいのだけれど、これまでさんざん、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」でも、どう処理するのがいいか話合われてきた。私も何度か傍聴したが、委員の方々は、必ずしも海洋放出に大賛成だったわけではない。その他の案も検討するよう、東電や経産省に要求していた。かなり海洋放出に反対されている委員もいて、活発な議論が行われていた。にもかかわらず、なぜこの結果?と耳を疑いたくなる。結局、東電が「(他の案は)できません」と言えば、経産省は十分に検証することもなく、それを採用するのだ。結論ありきなのであれば、あんな委員会なんていらない。
 しかも、「前例がある方法で」ということで、最終的に有力候補として残ったのが「海洋放出」だったが、他の案としてあげられていた「モルタル固化処分」だって、アメリカのサバンナリバー核施設の汚染水処分でも用いられた手法だという。

 福島県では50市町村のうち41市町村会が海洋放出へ反対、もしくは慎重になるよう意見書や決議書を出している。また、以前の朝日新聞の報道では、福島県民の57%が反対している。辺野古も同じだけれど、ことごとく国民の声は無視され続けている。しかも、「今月末にも汚染処理水の海洋放出を決定する」というニュースが流れる前日には、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の会長が、政府に対して慎重に対応するよう求めていたのだ。大変な裏切り行為だと思う。
 

パブコメ。期間を延長して意見を募集していたが、いったいどうなったのか……。いつも思うが、意見が反映されないなら、聞くフリはしなくてよい。

■ 福島の女性たちの声
 この後、開かれた記者会見では、福島から要請にこられた女性たちの以下のような貴重な声が聞かれた。

鈴木まりさん(福島県須賀川市)
「今回の問題については、子育て世代の友人たちから『声を伝えてほしい』と託されて来た。多くの人が、流さないでほしいという不安を持っているにもかかわらず、国は聞く耳も持たず、解決を急ごうとしている。これまでもずっとそうだった。そんな国の姿勢を信頼することはできない。健康に被害がないからいいだろう、基準値以下だからいいだろう、という問題ではない。子どもを海水浴に連れて行って安心できるのか。汚染水が排出されていると思ったら、安心して連れて行けない。東電が起こした事故なのに、『タンクがいっぱいになったから流します』ではすまされない。それは、自分たちの問題として最後まで責任を持ってやってほしい。」

千葉ゆみさん(福島県いわき市)
「私は原発事故が起こった当時、小学校3年生の子どもがいた。どうやって被ばくさせないようにしたらいいか——。被ばく対策一色の生活になってしまった。行政が行っているモニタリングでは不十分なので、『TEAMママベク』というママの会を起ち上げ、いわき市内の測定をいまでも自分たちで行っている。いまだに、何万ベクレル/㎏という土壌汚染が見つかっている。毎時0.23マイクロシーベルト(年間被ばく1ミリを超える)以上の場所が公園で見つかることもある。しかし、それくらいなら健康に影響がないという国の判断で、目に見えない汚染を子どもたちに押しつけ続けている。風評被害ではなく〝実害〟とともに私たちは暮らしている。私たちには、子どもたちを健康に育て上げるという責任がある。これ以上、被ばくをさせるわけにはいかない。
 そもそも国は、海洋放出うんぬんの議論を、〝風評被害対策〟をどうするかというところからスタートしている。そもそも、そのスタートがおかしい。まるで、『被ばくを心配することが悪い』ことのように言われている。こうした風潮は事故後ずっと続いており、気持ちの問題にすり替えられていることが問題だ」

 蛇石郁子さん(福島県郡山市市議)
「月内に結論を出すという報道を聞いて、福島県民は驚いている。こんな結論ありきの決定でいいのか。福島県の41市町村が、海洋放出に反対あるいは慎重であるべきとの意見書を提出している。パブコメでは、7割が反対している。こうした民意をくみ取っているなら、このような決定はあり得ない。国民の思いが通る国でなければ、この国に希望が持てない。国はいったい何を守ろうとしているのか、誰の利益を守ろうとしているのか。」

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 また、私は参加できなかったが、この日は夕方から、原子力市民委員会の記者会見も開かれた。こちらの声明文もぜひ参照されたい。 

この日の申し入れの様子は、動画でも見られます。

http://momsrevo.com/

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福島第一原発事故以降、福島での取材を重ね、12年に福島の今を伝える季刊誌「ママレボ」を創刊。ままれぼ出版局を立ち上げる。「女性自身」でも、原発事故や汚染の問題を中心に発信中。 ままれぼ出版局の本は、こちら。http://momsrevo.blogspot.com/