ハンドシェイプ”シェイプ編”
これまでにブランクス製作とアウトラインカットアウトを紹介しました。
これらは下準備というか部材製作の部類で、フォーム屋さんから成形済みのブランクスを購入してしまえば省けるものです。
フォームはこちらで購入できます。
いきなりシェイプからスタートする工場もあります。
その方が生産効率は良いのですが、わたしはあえて手間をかけています。
話がそれてしました。
それではシェイプ編を始めましょう。
シェイプとは
いよいよシェイプです。
シェイプはサーフボードの仕上がりの形状をつくることで、サーフボードの性能を決定づけるとも言っても過言ではないとても重要な工程です。
日本人シェイパーでは「タッピー」こと吉川拓哉さんがとても有名です。
シェイプでどんなことをするのかというと、電動工具やサンドペーパーなどでブランクスを削ってサーフボードの形状を仕上げていきます。
ハンドシェイプのツール
ハンドシェイプではプレナー(電動カンナ)、80番から120番のサンドペーパーを使用して、テンプレート、ノギス、水平ゲージなどで削り具合を確認しつつシェイプしていきます。
プレナーですが、わたしはRYOBI製を愛用しています。
愛用しているプレナーは家を建て替えるときにお世話になった大工さんから譲り受けたもです。
大工のプロが使っているものですから間違いはないです。
家とサーフボードに同じプレナーの刃が入っているというのも、ある意味、感慨深くもあります。
シェイプの作業で注意するのは削り過ぎです。
これをオーバーサンディングと言っています。
また、力のかけ具合も重要です。
フォームは柔らかいので、必要以上に力をかけるとかんたんにオーバーサンディングになってしまいます。
プレナーでおおまかに成形した後は、サンドペーパーの出番となります。
サンドペーパーを使う際は、必ずサンドペーパーホルダーを使うようにしています。
これを使用しないと削り面にムラができてしまいます。
綺麗な面をつくるためには必需品と思います。
皮むき
皮むきはブランクスの表面を一皮むいた状態にすることを指します。
プレナーでおおまかなシェイプ形状をつくります。
コンケーヴ
その後にコンケーヴと呼ばれるボトム面の溝を作っていきます。
今回は「シングルコンケーヴ」という一本の太い凹みです。
コンケーヴの幅を40㎝、深さ1㎝を目安に、ノーズ30㎝付近からテール40㎝付近まで削りました。
ノギスと水平ゲージを使って、慎重に測定しながら進めていきます。
今回のコンケーヴはサーフボードのデッキ面に水流を発生させて、スピードの伸びを良くしたり、波とサーフボードが貼りつくような安定感を持たせることです。
写真のように水平ゲージでチェックしながら、どこから見ても美しいラインとなるよう仕上げていきます。
コンケーヴにはシングルの他にも、ダブル、シングルダブル・・・と、いくつかの種類があり、それぞれサーフボードの乗り味がちがってきます。
レール
次にレールの処理です。
今回はボキシーというレール形状を製作しています。
一般的なレール形状でスムーズなライン取りが持ち味です。
レール形状はいくつか種類があります。
レールをシェイプしていくときの注意点は、これまたテンプレートで細かくチェックしながら、オーバーサンディングしないように、サンドペーパーをゆっくり動かしながら仕上げていくことです。
くれぐれもあせってはいけません。
ろくなことがないです。
あらゆる角度からレールのラインをチェックして、美しい流れるようなラインになるまで、ていねいに仕上げていきます。
テール
そして、テールの処理です。
今回は下の写真のようなフィッシュテールです。
名前のとおりお魚の尾ビレのような形状です。
こちらもテンプレートを使ってオーバーサンディングに注意しながら仕上げていくのですが、ラインが細かく先端が薄くなるためサンドペーパーをあてるときは細心の注意が必要です。
切れ目の丸みの処理などはある程度、感覚に頼って進めていきますが、こちらもあらゆる角度からチェックして美しいラインとなるように仕上げていきます。
ちなみにサーフボードのテールにもいろいろな種類があります。
シェイプ完了
わたしは日光の下でラインチェックを何回かやるようにしています。
人間のやることなので、どうしてもラインにムラができてしまうことがあります。
ラインのムラを見つけては、全体のバランスを見ながら八分目ぐらいの意識で調整します。
ここでオーバーサンディングということになると、すべてが台無しになってしまいますからね。
とてもザックリとではありますが、シェイプ工程を紹介させていただきました。
シェイプはシェイパーの感性を存分に発揮できるところだと思います。
ですので、大事に大事に進めていきたいところですが、作業に入ると夢中になってしまって、無意識に手が動いてしまっていることが多々あります。
ひとつひとつ、意識して大事にていねいに進めることが、シェイプを成功させる何よりのコツだと思います。
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