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息がつまる世界で僕はそれでも生きていく。

窓の開閉音で曇りガラスの向こう側、
遠い街のまだ朝を迎える気のない空の中を沢山の何の考えなしで生きている者たちに忌み嫌われていることを不思議に思う事もなく、自らの本能のままに鳴いている。そんな、君が僕は大好きだ。

窓ガラスに息を吹きかけて、ほのかに柔軟剤の匂いがするパジャマの袖でゴシゴシと擦る。そこから見つめる街の景色はやっぱり暗かった。

時間帯で言えば、朝で、朝なのに一面に広がるのはテストに追われて苦しみながら見上げた時の寒空とまったくと言っていいほどのものだった。

目の焦点の端にふかふかのベットが映る。
全身が誘惑に負けそうになる。冬場の毛布は悪魔でも居るのでは?と毎度自問自答しては、結果的に絶対いる というくだりを毎朝してはその度に一度ベットに入る。そして、学校が始まるギリギリまで寝て登校する。

この流れが確実なものとして二週間続いている。

しかし、今日の僕はそれをしなかった。

窓のから街を見上げた後、悪魔の寝床をさらりと回避して自室のドアを開けた瞬間の体を吹き抜ける冷気に心が一気に固められるような感覚に陥り、これはいかんとリビングまで人生で一番の瞬間火力で電気ケトルにスイッチを入れ、その間にパンを焼き、ピッが部屋に響くと同じ速さで正真正銘のお湯をお気に入りの北海道で買った淡い水色のデコボコとした異形のコップに注ぐ。

そして、一気に飲み干した。

人生幸せだな。。

冷えた心と体の隅から隅まで行き渡る温かみ。
日常の忙しさの中で最もピークを迎えるであろう朝の時間にお湯を飲みながら熱々のパンを食し、家族とテレビのニュースについて語り合う。いつもなら、ギリギリに起きて何も食べずにボサボサの髪をいつまでも嗤ってくれる嫌われ者と一緒に自転車を漕いで時間の流れすら置き去りにする日々を送っていた人間にとって、今日は最高の一日を迎えれている。

最後の一杯のお湯を飲み干す。

なぜ、だろう。
コップの淵に溜まっている小さな吹き溜まりに酷く悲しくなるのは、
でも、僕は限られた数分間の間に思い出せなかった。
僕は答えを探しながらも冷えてしまったお湯を流し込んだ。

席を立ち、爆発気味の頭を慣れない手つきでほどく。
まだ鏡に映る僕は嫌われ者だった。右手にはドライヤー左手には歯ブラシという人間の所業とは思えないほどの格好で学校の支度を終えた僕は、制服を纏いスクールバックを肩にかける。

殺傷事件や誘拐事件などで狂う世間の朝を縫うようにして時計に目を当てる。よし、まだ全然余裕だ。

玄関のドアを開ける。

僕の目の前にはあの部屋から見た世界と何ら変わらないものが佇んでいた

何処からともなく鳴き声が聞こえる、やっぱり君は最高だ。

いつもとは少し早い時間、街を染める黒。

はしゃぐ小学生集団と、本の世界に入り込む少年。

群れを成して陥れようとする奴らと、僕。

道端を駆けるサラリーマンの抜け殻と、酒を片手に本を読む人。

そうか、僕はこの世界に飛び出すことが怖かったのか。

だから、嫌われ者でありながらそんなもの気にも留めないで生きる君が好きなんだな。

僕は天井に浮かぶ君を眺めながら、
また君に鳴かれながら、まだ朝を迎えれない世界でゆっくりと自転車のペダルに足を掛ける。それだけだ。




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