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スキが広がった世界に、感謝を込めて #教養のエチュード賞

小説を描いていると、時々世界が広がり、時々世界が狭くなることがある。

人が一生のうちで見ることのできる景色は限られている。
世界は私が思っているよりも、遥かに広くて大きいはずだ。
だけど私が知っているのは、ちいさな世界。
そこは居心地はいいかもしれないけれど、成長していくには足りない世界。

小説を描いていると、落ち込むことが多々ある。夢を叶えたいともがけばもがくほど、私はずっと苦しかった。

でも、このnoteの街に住むようになってから、苦しかっただけの想いは、明らかに変わっていった。自分はどれだけ自分を愛していたんだろうって。自分はどれだけ自信過剰だったんだろうって。

選ばれなかったことで苦しい想いを抱えていた私は、決して努力が足りなかったわけではなかったと思う。決して愛されていなかったわけでもないと思う。愛されている実感はすごくあった。今まで私の描いたものを読んできてくれた読者さんたちの中には、私の作品を「only one」だと思ってくださる方もいるかもしれない。だけど描くことで夢を叶えたかった私は、「only one」ではなく、「ナンバーワン」を目指していたんだと思う。

「ナンバーワン」になるということは、「only one」であることと、明らかに違う。いろんな人に共感を持ってもらえる作品が、たったひとりの誰かの琴線に触れるとは限らないのだ。

この教養のエチュード賞に参加していた。
155もの数の作品を、作家が丁寧に言葉を紡ぐように、嶋津さんは何度も何度も丁寧に読んでくださったのだと思う。
時々嶋津さんのこの教養のエチュード賞応募作品に対するツイートを見ていたけれど、本当にそう思った。

私の描いた作品に対して、嶋津さんがくださったツイート。

このツイートを読んだとき、涙が出た。
読み返してもまた、涙が出てくる。

結果はダメだった。
どの賞にも選ばれることはなく、20選にも選ばれなかった。
だけど、こんなふうに丁寧に読んでくださった嶋津さんだからこそ、選ばれなかったことも納得しているし、辛くはない。

世の中のコンテストは、テーマに合わせて書き、本文とともにあらすじをつけて応募する。
これ以外のパターンもあるかもしれないけれど、少なくとも私が参加してきたコンテストは、いつもこんな感じだった。
あらすじでは伝えきれないのに、あらすじで判断される。
もちろんあらすじでテーマを伝えきれるような力、そんなテーマに合った作品を書く力があれば、本文もきちんと読んでもらえたかもしれない。だけど、たくさんの作品がエントリーされるようなコンテストでは、その多くがその手前で弾かれてしまっているようにも思う。

こんなにも丁寧に読んでくださって、ありがとうございます。
選ばれた作品はもちろん、選ばれなかった作品も、ひとつずつ読んでいきたい。

私の描いた作品を、大切にしてくださったことに、感謝をこめて。

2019.11.12
百瀬七海




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