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「みつどもえ」という言葉が気づかせてくれたこと

先日、仕事で印象的なことがあった。
週1のチームふりかえりで、PG(プログラマー)のメンバーからライターに対する意見がいくつかあった。
Aさんからは「複雑な要件のときはプランニングにライターも入ってもらいたい」という内容。Bさんからは「PM(プロダクトマネージャー)、デザイナー、ライターのみつどもえ感はどうやったら解消できたのか」という内容。

Aさんの言う「プランニング」とは、開発の最初にある設計のこと。
「複雑な要件のときはプランニングにライターも入ってもらいたい」という意見には、もう二つ返事で「ぜひぜひ!」と即答した。
私はごくたまーに参加する開発チームのモブが大好きである。プログラミングの様子を見ることが純粋に好きだし、実装を見ていてライター業務のヒントになることは無限にある。

開発チームのモブに参加すると、その分ヘルプなどを書く時間は少なくなってしまうので、若干「時間との戦い」という側面もある。
けど、すべての要件に複雑な文言があるわけではない(プランニング参加が必要なわけではない)し、最近ライターも人数が増えて業務が分担できるようになった。
それであれば、せっかくPGさんが「内容によってはプランニングに参加してほしい」と言ってくれてるのだし、こちらとしては何も躊躇する必要はない。
なので「ぜひぜひ!」と二つ返事だったわけである。これはぱっと話がまとまって、すっきりだった。

Bさんの言う「みつどもえ」はその1週間の開発全般を通しての意見だった。
もともとこの話の発端となったふりかえり内容は「デザイナーもPMのフィードバックを聞きたい」ということだった。
そこから「これ、デザインだけじゃなくて文言もそうなんすよねー」「文言検討依頼を書くのが大変なことも多い」「ライターにもさっと説明できたらいいのに」と、数人のPGから次々ライターへの意見が出てきた。

「いつでも声かけてくれたらいいのに」とも言ったが、「前に大石さんにメンションしたら、反応があったの5分後でちょっと遅かったから・・」と言われて絶句した(笑)。え、5分後の反応で遅いの!?だったら、Zoomのチャットで声かけてくれてもいいのに。

そう思いつつ、「ああ、PGさんも私に遠慮があるんだなあ」と思ったのだった。私は私で常にPGへの遠慮がある。別にそれで委縮しているわけでも居心地悪いわけでもないけど、「開発に集中してもらいたい」という気持ちは強い。自分からモブに入りたいと希望することほとんどないけど、たまーに文言絡みで声をかけられたときは「嬉しい」と思いながら入っていたし、たまーに自分から「モブに入っていいですか」と聞いたら、いつだってPGはウェルカムだった。
そんな風に、特に関係性が悪いわけではないと思っていたし、自分の中で敷居は低くしているつもりだったけど、考えてみたらほとんど「待ち」の姿勢だった。

PM、PG、QAとうまく連携をとっているようなのに、ライターは今でも開発からはちょっと別枠のとこにいるなという懸念は常にあった。ただ、それについては、ライターはプログラミングや試験設計ができるわけじゃないので仕方ないと割り切ってもいた。割り切りつつも、一度提出した文言が「PMとの調整でこんな風にちょっと変わりました」とPGから事後報告されるともやもやしたし、PMの意図をPGから教えてもらうことも多く、「なぜそのモブの場に呼んでくれないんだろう」と思ったことも何度もあった。

「デザイナーもPMのフィードバックを聞きたい」とまさに同じことを、文言という点で私も感じていたのである。

でも遠慮があって言えなかった。
要件によっては、ライター対PMで時間をかけてみっちり文言検討することも多々あったので、これ以上PMに負担をかけないようにしようという気持ちも強かった。(PMにはヘルプでもリリースノートでもたくさんお世話になっているしね)。

「みつどもえ感はどうやったら解消できたのか」というPGの意見を聞いて、彼らは別に好き好んでPMとの中継役をしていたわけではないんだ、とわかった。PGに集約したほうが実装が早く進むのかと思っていたけど、そして実際そういうケースもあったのだろうけど、PGはPGで私に遠慮があったのだ。
「なぜそこにライターを呼んでくれないの?」と思ったのなら、私はその時そう言えばよかったのだ。そして、呼ばれなくても自分から「実装やデザインの都合で文言が変わるようなことがあるなら、次はその場に私も呼んでもらえませんか?」と、PMとPGにきちんと伝えればよかったのだ。
PMにコストをかけてもらってるとはいえ、「PGも私も納得してよいアウトプットができる」というメリットに着目すればよかった。

”私も呼んでほしい”と伝えて断られるのが怖い、声をかけてもらえないのは自分の力不足のせいだ、プログラミングのわからない私が開発の妨げになってはいけない。などなど、勝手に自分の中で壁を作り上げていたのだと思う。

ふりかえりの翌日、開発中の画面について「これは午後、デザインと文言担当と一緒に調整しましょう」とPMが書いていたのを見かけた。すかさず、遠慮せず、自分にメンションが来る前に「わたし、モブに入ります!」と書き込んだ。そんな小さな積極性でも、初めてのことだった。

午後、PG、PM、デザイナー、私でモブをした。文言を見ながらデザイン調整して、よい感じに終着した。1つの画面のデザインと文言を話し合っていたけど、結果的に2つの画面のデザインと文言が無事決まり、意思疎通も早くてスピード感があった。また、モブ中の会話、CSSの変更方法、PMの考え方など、とても学びが多かった。みんなで作っている感もあって非常に楽しかったし、出来上がった画面に納得感があった。
と、この時はいいこと尽くしだったけど、開発終盤だったこともよかったんだと思う。きっと今後、モブでもうまくいかないこともあるだろう。それでも、自分の中で壁を勝手に作ることはもうやめよう。
遠慮しているのはお互いさまだとわかったのだから。

「みつどもえ」という言葉は、「開発チームの中のライターとしてどうふるまうか」ということなど、多くのことを気づかせてくれた。そして、自ら動こうと思わせてくれる勇気をくれた。

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