見出し画像

『ディア・エヴァン・ハンセン』 感動物なのに振り返るとホラー!不思議な映画だった

以前11月のおすすめ映画の記事でも書いた、『ディア・エヴァン・ハンセン』が公開されたので観に行ってきました!

画像2

©️2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

他にも今月おすすめの映画を書いていますので、ぜひご参照ください↓🍂


あらすじ(ネタバレなし)

画像1

©️2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

学校に友達もなく、家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセン。ある日、自分宛に書いた“Dear Evan Hansen”から始まる手紙を、同級生のコナーが謝って持ち去ってしまう。後日、コナーは自ら命を絶ち、手紙を見つけたコナーの両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。エヴァンはコナーの両親が苦しんでいる姿を気の毒に想い、思わず話を合わせてコナーとの「嘘の思い出話」を語ってしまう。そしてエヴァンの語ったエピソードが人々の心を打ち、SNSを通じて世界中に広がっていき彼の人生は大きく動き出す。


感動の裏に、この映画には不気味さがある


(※この映画は音楽は全て素晴らしいし、嘘と虚像を乗り越えて成長する主人公エヴァンに感動した前提で以下書きます。)

映画を観終わった後に、Filmarksでレビューを少し読んだのですが、感動する!泣いた!と書いている方と主人公がコナーの両親に言った、コナーと親友であったという「優しい嘘」に納得がいかないというレビューで二極化されている印象があります。

同級生が亡くなった状況で親族に嘘をつくことは私も理解できず、終始うずうずした状態で映画を観ていました。いつばれるんだろう?自分から言うのかな?といった感じで、ハラハラしすぎて主人公に感情移入はできません...

そして主人公のエヴァンといえば、社交不安症のため学校の廊下を誰とも目を合わせずに俯きながら歩いている冒頭シーンが印象的でした。

画像3

私がこの映画をみてわからなかったことは、そんな引っ込み思案の男の子が数回話した程度の同級生の両親と対面して、いきなりペラペラと嘘をつける??と言うことです。。。

それを「優しい嘘」と呼び、その嘘をきっかけに成長できたストーリーといえば、とても聞こえが良いですが、息子を亡くしたばかりの両親に嘘をつくという前提がまず私は腑に落ちません。

それもミュージカル映画だから仕方がないことだけど、その嘘は綺麗なメロディーにのって歌われ、歌が盛り上がるにつれて徐々にエヴァンの表情が明るくなっていくのです。。。

「え?サイコパス?」と思ってしまったことをここに供養します...いくらまだ高校生の男の子といえ、楽しそうな表情で嘘はつかないで欲しいのです🙁

(きっと感動した方も多いシーンなのにすみません)

歌自体は本当に素敵なのでYoutubeを載せておきます♪ぜひ聞いてみてください🙂


親族の家族がホラー


主人公エヴァンの話以外にも、コナーの親族にも違和感とホラー要素を感じました。

まず、映画の序盤でコナーは命を自ら絶ってしまいます。

コナーの家族はコナーとエヴァンが親友だったという思い込みから、エヴァンと面会を希望し、その後エヴァンを家に招いたりと親睦を深めていく...と言うストーリに対して、思い返してみればコナーの親族がコナーが亡くなってしまったことに対して悲しんでいるシーンはあまりありませんでした。

そればかりか、嘘で親友を演じるエヴァンのことをすぐにまるで家族のように受け入れました。もし自分がコナーの母親だと仮定すると、自分の息子が自殺をしてしまった直後に、息子の親友(嘘)を家に招いたり一緒に食事はできるかな?と疑問に思います。

息子を失ったショックから、息子と同年代の男の子を見るのも辛い時期が続きそうだけど...家族以外の人と笑顔で食卓を囲む元気なんて湧かない気がするけど...

コナーが亡くなった直後からコナーの親友(嘘)を家族のように受け入れる心境があまりわからず、よくホラー映画であるような取り繕った家族感が満載でした。

まあこの件に関しては、コナーは問題児気味で家族と仲よくなかったからという理由はあるかもしれませんが。

画像5

©️2021 Universal Studios. All Rights Reserved.


またエヴァンが嘘をついていたと告白した後、コナー家族は割とすぐにエヴァンを許します。

間違いを認めた人を許すことが優しさ...という意見もありますが、この場合はエヴァンがコナーとの関係でついた嘘をすぐに許す=コナーへの裏切りに繋がるのではないでしょうか?

もし本当に家族としてコナーのことを愛しているなら、エヴァンの嘘は簡単に許してはいけないことで、許さないことこそ亡くなったコナーへの尊重になると思います。

家族が亡くなった直後に人を家に招いたり、その人が嘘をついていたことが判明してもすぐ許したりと、この家族は何者?という感じです。

画像4

©️2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

不安症で根暗な印象だった主人公エヴァンが、嘘がきっかけだったにしても虚像を乗り越えて成長をしていく姿と音楽には感動しました。

それにしても、嘘はよくない!

優しい嘘でも言って良い時と悪い時がある!

感動のストーリーの裏に困惑が残る映画でした。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?