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エリアデザインラボ#1

1.ファシリテーター自己紹介

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 今回、エリアデザインラボのファシリテーターを務める、株式会社家守舎桃ノ音代表取締役の上神田健太です。昨年10月、国見町に「Co-working&Co-learning Spaceアカリ」をオープンしました。エリアデザインラボは、そのアカリから配信しています。私は、福島に移住して5年目になります。私が経営している株式会社家守舎桃ノ音では、JR藤田駅前にある元縫製工場をリノベーションした複合施設「アカリ」を運営しています。そこで展開されるコンテンツとしては、地域に暮らす人たちの”やってみたい”という想いを実現する「空想マルシェ」を開催したり、福島で活躍するクラフト作家さんやアーティストの方々をお呼びして見本市を開催したり、地域の人たちの暮らしを豊かにするべく、エリアマネジメントを実践しています。

 私の生まれは、岩手県普代村という北三陸に位置する漁村で、県内で最も人口が少なく、2700人ほどの村です。高校まで岩手県で過ごし、卒業後宇都宮大学に進学し、足尾銅山で有名な足尾町のまちづくりを研究しました。大学で学んだまちづくりを仕事にしたいと思い、まちづくりを担うのは行政だと判断して東京都庁に入庁しました。ですが、結局一度もまちづくりを所管する希望の部署に配属される機会には恵まれませんでした。

 私が東京で働いていた時には、仕事先は東京都庁でしたが、アートに興味を持ち、休日などを利用して東京都美術館でイベントの企画・運営に携わっていました。アートについては素人でしたが、様々な作品や作家の思想に触れ、自分の生きてきた道では出会えなかった価値観を知り、その世界に魅了されました。

 また、職場のあった台東区蔵前というまちに惹かれ、美術館の仲間と取材して回ったり、地域の歴史などを独自に調べたりして、蔵前のまちの変化について研究をしていました。

 結局、7年間都庁職員として勤めましたが、自分のやりたいことができない環境に見切りを付け、妻の実家のある国見町に帰り、家業を継ぐという選択肢を選びました。現在は、 株式会社渡辺建設と株式会社家守舎桃ノ音の2社を経営して、国見周辺エリアのまちづくりを推進しています。

2.エリアデザインラボとは

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エリアデザインラボでは、以下のステートメントを掲げています。

「人口減少、過疎化、地域経済の縮小、感染症の拡大。私たちのまちはこれからどうなっていくのでしょう?これから地方が迎える時代は、先人たちも経験したことのない時代です。いま、自分の手で、創造的に、持続的に課題をクリアしていく人が求められています。このラボでは、まちづくりを通じて、クリエイティブな人材の育成を目指します。」

 さて、積み重なる社会課題を受けて、私たちはこれからどうやって立ち向かえば良いのでしょうか?難しい問題ですが、そこに答えはなく、過去に上手くいった事例をそのまま 持ってきても効果はありません。これからは、各地域でそれぞれの地域特性を生かした独自の取り組みを実践し、ユニークネスなまちづくりを進めていく必要があると考えています。本講座は、新型コロナウイルスが収束しない中での開催のため、オンライン講座として実践を重ねていきたいと思います。

 日本社会においては、これまで人口増加局面ばかり経験していて、国や自治体も税収が増えていく時代しか経験していません。この時代には、あらゆる業態において量産が必要だったため、経済効率が重視され、安く大量に消費される仕組みづくりが進められてきました。しかし、日本が差し掛かっている人口減少局面においては、まちづくりという分野においても、 横並び・水平展開による量産型のまちづくりが機能しなくなると予想しています。

 どこに住んでいても、ある程度のものが入手できる環境を手に入れた中で、私たちがより豊かに生きていくためには、例えば、食や文化や人など、その土地に暮らすことでしか手に入らないモノが鍵になると思います。ユニークネスなまちづくりを進めることで、定住までいかなくとも、その地域に関わる人が増えていくはずです。

3.エリアデザインラボのチームづくり

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 エリアデザインラボのチームは、トップダウン型ではなく、同心円型を目指しています。効率性重視の、トップダウン型の組織構造では、個性や個人のクリエイティビティを発揮しづらいチームになります。そこで、エリアデザインラボでは「やってみたい」という想いを持っている人を中心にした同心円型のチームを作っていきます。

 企画の発案者が一番強い思いを持って中心に居り、その周りに一緒に走ってくれる伴走者、 その外に当日のお手伝いだけは参加できる人がいて、さらにその外には温かく見守るだけ、という人が居ても良いチームとします。

オリエンテーション配布用

 実践講座の中では、一歩踏み出す力を育むことを目的としています。人が行動するための行動原理には、大きく3つあり、好奇心 ・お金や物のため・人のため、という要素に分けられます。この中で、エリアデザインラボが大切にしたいのは、”好奇心”  に基づき、やりたいと思うことをやってみる、ということです。社会や地域のためになることよりも、まずは、自分の関心 のあることを優先して、責任も自分で取るという状態を作って欲しいと考えています。

次回は、デザイナーの高野侑美さんをお迎えして、「ロゴ制作のプロセスから学ぶデザインの思考」をテーマに話を聞いてみたいと思います。

ライター:上神田健太  書き起し:田上沙慧美

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