最近考えているコト #37


 私の話をします。あくまで、私の話です。自分語りです、聞きたくない方は引き返してくださいい。

 昨日の1時頃だったと思う、第一報が入ってきた。その時は、正直に言えば、誤報だと思った。真剣に、何かの間違いだと思った。途中で、自分がそう信じたいのかもしれないという事実に気づいた途端、どうしようもなくなった。狂ったようにツイートを繰り返して、でもそのときはまだ通話をしていて、その最中は大丈夫だった。誰かの声が聞こえている間はまだよかった。通話が終わって、部屋に静寂が訪れて、一気に現実が押し寄せてきた。起きていそうな、全く関係のないフォロワーに声をかけて、15分だけ話をさせてもらった。その間にもツイートに気づいたフォロワー2人ほどから声をかけてもらっていて、自分は幸せ者かもしれないと思った。薬を飲んでベッドに入っても全く眠れなくて、涙が止まらなくて、恐らく泣いているうちに眠ったのだと思う。暑いのに足先だけが寒くて布団をかけるしかなかったのをよく覚えている。

 今日は起きる予定の1時間前に目が覚めて、事務所の公式発表を確認したらもう眠れなくて、そのままのんびり支度をすることにした。結論から言えば30分しか時間が余らなかった。母親が居るうちは母親の相手をしながらぼんやり過ごした、関係のないことをずっと話してくれる母親を今日だけはありがたいと思った。いつもは何を食べるか前日の夜から楽しみにしているのに、今日はなにも浮かばなくて、朝ごはんは適当にお茶漬けとゆでたまごも食べた。なんの味もしなかった。母親が出勤してからはスペースをつけた。すぐにフォロワーが来てくれて、喋りながら支度をした。話題はこのことだったけれど、あくまでおだやかに話をしていた。少しずつ話して、整理しておかないといけないないことは知っていたからありがたいなと思った。休もうかと思ったけれどバイトに行った。感情に波があって、働きながら泣いたり、トイレに籠って深呼吸したりした。一応、誰にも迷惑をかけずに働けたと思う。大学こそ休もうかと思ったのだが、彼を推していた同級生がどうやら学校にいるようだったので彼女が休んでいないのに私が休むのもなぁと思い就活セミナーのためだけに大学に向かった。迫り来る現実と今の私の解離がひどくて、他人事のようにぼんやりと聞いていた。家に帰って、明日もあるのに馬鹿みたいにお酒を飲んだ。でも全然酔えなくて、今これを書いている。

 訃報を訃報だと認識した時、真っ先に浮かんだのは彼を熱心に応援していた大学の同級生のことだった。友人と呼ぶには少し距離が遠い彼女は、現場の度にその話をしてくれた。すぐに売り切れるグッズの話、楽しかったファンとの交流の話、そして彼のパフォーマンスの話。彼女にとって、世界で1番愛していた人間が、この世を去った。私でさえ泣いて泣いて、こんなものを書いている今も心の整理がまだついていないのに、そんなの、想像を絶するとしか言えない。だって想像ができないだろう。私の場合は1人だけを応援することがそもそもないのに、その人が寝て起きたら突然居なくなってしまうなんて、そんなこと。
 学校に来ていた彼女は疲れきった顔をしていて、ぽつりと涙も枯れたといった旨のことを言っていた。私はただ、私に出来ることなんでも言ってね、なんて在り来りなことしか言えなかった。

 彼のことを思い浮かべると、ステージ上の姿ばかり思い浮かぶ。ステージの上にいる彼にはいつも王子様みたいだという印象を受けていた。徹底した表情管理、圧倒的な歌唱力、パワフルなダンス、そして圧倒的な求心力。比喩ではなく、彼の周りの空間だけキラキラ輝いているように見えた。
 近年極端な選択をしてしまった人達の中で、彼が1番近い距離感で応援していた人だと思う。だからこそ、彼だけではなくて、前述したような彼の向こう側にいる人のことが簡単に想像できてしまって、それが辛かった。
 

 今は少し落ち着いていて、また下らない話をしているのをなんとなく聞き流している。昨日よりは上手く参加できているような気がする。
 事実はもう変わらない。私はこの事実を受け入れて、心がざわつかないように努めるしかない。そしてそれは大抵の場合時間が解決してくれる。そのことを私は知っている。
 昨日の夜はどうしても言えなかった、言いたくなかった言葉でこのブログを終わりにしようと思います。

 ご冥福をお祈りいたします。どうか、安らかに。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?