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〜ここにはないもの〜

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〜あらすじ〜 齋藤〇〇は付き合っていた彼女にプロポーズしようとした夜に7年連絡を取っていなかった妹から連絡が入る。 その内容は『母がなくなった』という悲報であった。 紆余曲折…
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2024年6月の記事一覧

〜ここにはないもの〜 #7

〜ここにはないもの〜 #7

お風呂に入っていると…

がちゃ、と洗面所のドアが開く音が聞こえた

さくら:〇〇くーん

〇〇:んー?

さくら:ご飯できたよー!

〇〇:ありがとう!いまいくー

さくら:ねぇ…

〇〇:うん?どうした?

さくら:あのね…

〇〇:うん…。

さくら:お父さんの話を聞いてあげてほしい…

〇〇:親父の話?

さくら:たぶん…まだ…その…

風呂場の半透明のドア越しに写るさくらは一生懸命に言葉

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〜ここにはないもの〜 #8

〜ここにはないもの〜 #8

書斎のドアは少し開いていた

いや正確にいうと、
建て付けが悪くなって閉まりきらなくなったというべきだろう

僕は隙間から部屋を覗いた

(親父…?)

窓からのかすかな月明かりと
黄色い常夜灯だけの薄暗い部屋で、

親父は椅子に座り、"何か"を眺めていた

その"何か"はすぐにわかった

〇〇:(母さんの写真だ…)

決して見えたわけではない

だけど…
親父の表情をみて母さんの写真だとわかった

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〜ここにはないもの〜 #9

〜ここにはないもの〜 #9

ドンっ!!!!

あやめ:はい、これ!どうぞっっ!!!!!

〇〇: ……
さくら: ……
親父:あの…あやめ…ちょっと量多くないかな…

茶碗に山盛りに盛られたご飯
それをあやめは親父のところに置いた

あやめ:お腹空いてるーって言ってさ、"呑気"に帰ってきたもんねー、さっき!!!

親父:はい…

あやめ:じゃあ残さないでね!

親父:はい…

〇〇:ふふふ笑

激怒しているあやめと小さくなっ

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〜ここにはないもの〜 #10

〜ここにはないもの〜 #10

あの時のことは今でも鮮明に覚えている

??:え、いまなんて…?

飛鳥: だから…いいよ。

??:ほんとに?

飛鳥:なんで嘘つくのよ

??:そうだよね!うわぁ、よかったー

返事を聞いた俺は安心して笑みをこぼす
俺とは対照的に飛鳥はクールな表情をだった

飛鳥:なに?▲▲、自信なかったの?笑

▲▲:そりゃあないよ…

飛鳥:え?ダメって言われると思ってたの?

▲▲:あ、いやそう言うわけ

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〜ここにはないもの〜 #11    最終話

〜ここにはないもの〜 #11 最終話

〇〇:あの見晴らし台?

さくら:うん。

〇〇:いいけど。どうして?

さくら:それは、え…えっと…///

〇〇:うん。(すっごいモジモジしてる笑)

さくら:も、もっと知りたくて…。

〇〇:あぁ、母さんのこと?

さくら:それもあるけど…

〇〇:うん…

さくら:〇〇くんをもっと知りたくて…///

〇〇: ……///

さくら:ご、ごめん。き、気持ち悪いよね…

〇〇:いや…

さくら

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