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ネオサイキサイエンス

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若干ガチ系の心理学の研究紹介をしています。名称はより一般的な(つもりの)姉妹サイトにちなんでいます。↓これ http://yamadayuk.wixsite.com/psych もっと読む
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#論文

俺はビッグ(チーム)

年末っスね。 コロナ以降特に年末年始の特別感が大幅に減ってきた印象があるので今年も特に感慨深くもないんですが,SNS見てるとさすがにみなさんも普段どおりって感じでもないので,そこに謎のあはれを感じたりはします。 今年はアドカレにも参加してなかったので,一応自前noteくらいには何か書いとこうかなと思いました。今年のまとめとか。 とはいえ,私の中では区切りは年度なので,ラボ専用ブログみたいなところではいつも3月末に総評を書いています。ただ今年はあえて今かなと思うところがあり,そ

Zhang et al. (2022, PeerJ)の経緯

またも完全に内部の授業説明向けです。大した話ではないものの,やはり忘れない間に書き出して置いとくメリット重視で。 これ(ら)↓についての話です。 Zhang, L., Yan, M., Takashima, K., Guo, W., & Yamada, Y. (2020). The effect of COVID-19 pandemic on health care workers’ anxiety: Protocol for a meta-analysis. JMIR R

Ikeda et al. (2019, 心理学評論)の経緯

今さらすぎると思われそうですが完全に内部の授業説明向けです。大した話ではないものの,忘れない間に書き出して置いとくメリット重視で。 これ↓についての話です。 まず簡単に内容紹介を。この論文は大きく3つのパートに分かれています。最初にQRPsとその対策としてのプレレジのお話。まあいつもの内容ですね(といっても当時はまだまだこの辺の話をまとめるのに価値はあった)。それとPARKingによるプレレジハッキングの話もありました。これは当時ではとても新しいトピックだったと思います。

OSFでネット犯罪の件

我々はプレレジやらデータシェアやらでOSFさんにお世話になりっぱなしです。しかしそのOSFさんを揺るがすような出来事が進行していることが分かりました。今月11日,うちの院生さんがたまたま私の名前をOSFで検索したところ(※なぜそんなことしてたのかは不明),なぜかイケメン俳優の動画がぼろんっと出てきたとのことで,驚いていろいろ調べてみたら何だかヤバいことになってるぞ・・・となったのが発端です。 しかし,このことをラボとかの親しい人々に伝えても「あ,そすか。で,そんなことより(略

オープンサイエンス用語集

この記事はOpen and Reproducible Science Advent Calendar 2021の22日目用です。予定していた内容は時期尚早ということで急遽変えました。変えた内容も時期尚早なんですが。 ということで,オープンサイエンス関係の言葉を集めた用語集ができてたんですよ。これっす↓ (いつものことながら)実は私,以前よりこっそりとFORRT (Framework for Open and Reproducible Research Training)

三位一体査読

この記事はOpen and Reproducible Science Advent Calendar 2021の20日目用です。 今回のお話は「何をファンタジー語ってんだコイツ」「現実見ろや!」「これだから素人は」などと言われるのを想定済みのものです・・・。そうした声によりもっと精緻化できればいいなあと思っています。ちなみに9月の中旬くらいにラボ内で夏休みになんかやろうぜという声が出たところ,院生等の有志が迅速に集って迅速に書きました。 前々から,通常のレジレポ第1段階原

投稿(だ)した後にプレデタリジャーナルて気づいたときにやれる10のこと

※ Open and Reproducible Science Advent Calendar 2020の25日目の記事です。 今,僕は冷静さを欠こうとしていますすっごく大事に大事に蝶よ花よと手塩にかけて育ててきた愛しのマイ論文をバッシィィンと投稿した後に,どうもそのジャーナルの評判をよくよく聞いてみるとプレデタリジャーナルぽいって噂されててどうしようヤバイよツライよって狼狽(うろた)えること,ありますよね。そういう場合にどうやってその研究と,研究者としての自分自身の信用性

真夜中のガッツポ

2018年サッカーワールドカップはアツかった!日本代表の初戦であるコロンビア戦の勝利の瞬間は,感激のあまり思いっきり天に向かってガッツポーズしてしまいました!はて・・・めっちゃ嬉しくなるとなぜ手をあげてしまうのでしょうか・・・?ごく自然に(たびたび自覚せずに)私たちはそのように振る舞いますが,改めて考えると不思議だと思いませんか?思えば,ガッツポーズの他にも気分が高揚すると思わず飛び跳ねることもありますよね。つまり,気分が良いと私たちの身体は「上」に向かいたがるのです。このこ

一休さんはどうしてあんなにもクリエイティブなのか

(第1著者の代理で投稿します) 「いっきゅうさぁ〜ん!!すきすきすきすき すき♪ すき♪ 愛してる♪」 みなさんこの歌でおなじみの「一休さん」というアニメをご存知ですか?ナウでヤングでトレンディでバカウケな齢25(ヴァンサンカン)の私(ミー)ですら,この歌は聞いたことあります。一休さんは,様々な問題に対して「とんち」の効いたアイディアを閃き,解決していきます。ではどうして一休さんはこんなにもクリエイティブだったのでしょうか? 今回ご紹介するのは,一休さんのように思考時に目を

汚されてしまった私っぽい何か

久々に論文が出ました。超かいつまんで言うと,自分の身体の一部だと錯覚的に思っている物体にうん◯をなすり付けたら気持ち悪くなる研究です。こういうアホ研究が好きなんです。でも一応Psychonomic Societyのジャーナルなんスって。 Nitta, H., Tomita, H., Zhang, Y., Zhou, X., & Yamada, Y. (2018). Disgust and the rubber hand illusion: A registered repl

(`∧´)が運動事象知覚の手がかりとなる

(第1著者の代理で投稿します) 皆さん,顔文字はご存知ですか?そう,(^^)や( ゜д゜)のように,文字や数字,記号を用いて表情や感情を表現したものです。私も某青い鳥のSNS上などで使いますが,文章全体が柔らかくポップな雰囲気になるのでけっこう好きです。 今回ご紹介するのは,顔文字を一緒に出すことで運動事象に対する解釈が変わることを解明した論文です。 Gobara, A., Yoshimura, N., & Yamada, Y. (2018). Arousing emot

「べとべと」してて気持ち悪い

私の小学生のころ,まさに最初のポケットモンスター (通称:ポケモン) ブームの真っ只中でした。ポケモンの中でも,なぜかベトベター (ググるとこんな感じ) はものすごく印象に残ってます。何故って?見ただけでべとべとしてて気持ち悪そうじゃないですか (笑)。子どもながらに,その印象が強烈だったようです。「三つ子の魂百までも」じゃありませんが,この印象が強かったのか下記のような研究をやりまして,最近論文を発表しました。 薛玉婷・郷原皓彦・佐々木恭志郎・山田祐樹 (2017). 粘

心理学の再現可能性問題は心理学的問題

縁(えにし)あって,ヒューマンインターフェース学会さんより貴重なお誘いをいただき,今思ってることを垂れ流しました。関係各位,誠にありがとうございます。あと例の件ではご迷惑をおかけしました。ちなみにこの論文は心理学評論の2016年のやつの続編に位置づけていますので,そちらもぜひ。で,今回のはこれです。 山田祐樹 (2018). 再現可能性問題をハックする―是非に及ばぬ研究コミュニティからの包囲網― ヒューマンインタフェース学会誌, 20(1), 17-22. (論文PDFはこ