029 人は旅になにを求めるのか①
私立大学の観光学部が、千葉県鴨川市から撤退します。
撤退あとは、どうなるんだろうか。
そこに、地域活性化に貢献する、こんな学校ができたらいいのにという妄想です。
引き続き、地域活性化を学ぶためのテーマを考えていきます。
旅する人々
地域活性化で観光というと、どうやって旅行客を誘客するか、地のものをブランディングするか、いかにお金を落としてもらうか、といったビジネス視点になりがちです。
もちろん、それは重要なことではあるのですが・・・
出発点としては、少し違うような気がしています。
そもそも論として、人はなぜ旅をするのか。
旅をあらわす英語にも、いろいろな単語があります。
Tripは、目的をもった短期の旅行です。Business Tripがビジネスでの出張を意味することからイメージしやすいかな。
Travelは、場所から場所への移動という意味での旅行です。バスケットボールで、ドリブルせずにボールを持ったまま歩きすぎると「トラベリング」という反則を取られます。そこからもTravelが移動に主眼のある旅行というイメージがしやすいかな。
Sightseeingは、ルー大柴さん的な説明ならSightをSeeingする、つまり景色を見に行くということになります。観光名所に行くといった場合の、観光という言葉がピッタリくるかな。
Journeyは、旅の行程、道のりという意味で、目的地などよりも、途中経過に主眼がある言葉です。ビジネスの世界では、マーケティングの領域でカスタマージャーニーという言葉が使われます。客が、どのようなプロセスを踏んで購入にいたるかという行動のプロセスを示す言葉です。journey of lifeが、人生という名の旅路を意味することからもイメージしやすいかな。
Tourは、周遊する、旅をしてまわるという意味での旅行です。自転車競技のツール・ド・フランスは、まさにフランスを周遊する自転車競技です。ヨーロッパ周遊の旅というのが、Tourをイメージしやすいかな。
旅にもさまざまな形があります。
自分にとっての旅
社会人になってからの自分は、もっぱらTripかTourですね。
国内外のあちこちに出張しますが、行けばせっかくのなので、その地の名物を楽しんだり、名所を楽しんだりします。
でも、そもそもの目的はビジネスであり、そのためにその地に降り立っているので、やはりTripということでしょう。
いっぽうで結婚してからは、もっぱらTourですかね。
治安がとても悪い地域を旅する際に団体ツアーで行ったことはありますが、他はあくまで個人旅行。
その国のどこを見て回るか。
そのために鉄道を使うのか、バスなのか。
その国に行くまでに、どこに立ち寄るか。
そんなことを、自分で考えて、自分で手配して、実際にうまくいくかどうかを身をもって試してみる。
こどもができると、あまり冒険はできなくなり、安全策を取った旅程にしたり、行き先そのものを安全な地域にしたり。
すっかり大人な旅になってしまいました。
若かりし頃の旅
すっかりおじさんな旅になってしまった自分にも、若かりし頃はあったわけで。
その頃の自分にとっての旅は、まさにJourneyだったと思います。
バイトが突然休みになって一週間の暇ができた大学生の時、その日のうちに青春18きっぷを買って、大垣行の夜行列車に飛び乗りました。
どこに行くかは決めていなかったけど、2日でいけるところまで行って、1日+2日で戻ってくる。
それだけを決めて、小さなリュックに替えの下着と歯ブラシだけ突っ込んで、旅していたことを思い出します。
どこか目的地があるわけでも、なにか目的があるわけでもなく。
ただただ旅の道のりを楽しむ旅。
そんなことができたのも、お金はなくても、暇だけはあった学生時代のなせるワザかな。
今の自分だったら、時間が惜しいので、綿密に計画を立てて、お金で時間を買いながら旅行をするのでしょうけど。
沢木耕太郎さんの旅も、きっとJourneyな旅だったからこそ、今でも若い人たちを魅了してやまないんだと思います。
旅に求める3つ
ボクたちは旅になにを求めているのだろう。
そこには3つの要素があるかな。
Fun
広い意味で、楽しさがあるから、旅に出ます。
だから、旅の準備をしている時から、心はうきうきしてしまいます。
ずっと見たいと思っていた名所を巡ることができるので楽しい。
好きな人と一緒にのんびりとすることができるので楽しい。
本場の料理を食べられるので楽しい。(日本人にとっては、東京で食べるほうが美味しい可能性もありますが)
アウトドアでキャンプをしながら、自然に触れられるので楽しい。
旅をすることで、楽しい気分が味わえるから、また休みの日には旅に出たくなるわけです。
Love
趣味を極めるため、その地に行かなくてはならないから旅にでます。
お気に入りの役者が出たドラマのロケ地を訪れたい。
スキーをやるからには、滑ってみたい急斜面があるから行ってみたい。
乗り鉄、撮り鉄、呑み鉄の違いはあれど、乗りたい(撮りたい)鉄道が走っていることに行きたい。
愛する対象を追求するために、旅に出るのです。
Inspired
満点の星空を眺めていたい。
雄大な景色の前で、ちっぽけな自分のことを忘れたい。
その地の日常に浸ることで、これまでとは違った感覚を味わいたい。
普段の日常とは異なる世界を旅することで、自分の中に新たな思考の流れを生み出すのも、旅の力なのです。
旅する意味を考えたいとき、こんな本が役に立つのかもしれません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。