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5.15全日本プロレス三冠戦〜宮原健斗と青柳優馬の第二章が始まった〜全日キテる

2022.5.15札幌で行われた全日本プロレス宮原健斗と青柳優馬の三冠戦。2020年1月にも王者宮原に挑戦した青柳。しかし当時は宮原を急襲して挑戦権を得た形であり、あくまでもサプライズ的な挑戦だった。当時の下馬評を思い返しても「宮原有利」「青柳は勝つとしてもサプライズ」という風潮だった。そしてそこから2年の月日が流れた。今回も形としては挑戦ではあったが青柳は直前に開催されたCCを史上最年少で制している。宮原と対戦した際も30分フルタイムドロー。決勝では前三冠王者のジェイク・リーを下しての優勝。今回の青柳の挑戦を「サプライズ」と感じる人は少なかったのではないか?全日本は昨年のジェイク・リーの台頭に見られたような「新しい風」が求められていた。時代と言う名の追い風は確実に青柳を後押ししていた。

試合も勢いに乗る青柳が宮原を攻める。派手な技に走らず。しかしエルボー一つとっても体格を生かした重さがある。それでいて死んだふりにからの切り返しなど。26歳というキャリアとは思えない幅の広い戦いで王者宮原を攻める青柳。終盤に宮原のブラックアウトを受けつつもロコモーション式ジャーマンを放つ。さらにスピンキックから完璧な形でロックスターバスターを決める。

しかし宮原はこれでも沈まない。新技のザフールを狙う青柳をかいくぐりバックから両腕を捉える宮原。青柳はこれをなんとか切り抜けるが二度目は宮原の発射台に乗る形となった。これはロックが崩れジャーマンとなり3カウントには至らない。このタイミングを逃さないのはやはり宮原。もう一度大空時間の長いジャーマンを放ち。これをキックアウトした青柳をもう一度発射台に乗せた宮原。実況アナウンサーが「とった!」と絶叫するほどの完璧なシャットダウンスープレックスを決めて見事宮原が防衛を果たした。

試合後宮原はリング上で「時代は変わらなかったな」「全日本はまだまだ俺の時代が続くぞ」と強く宣言した。確かに今回の戴冠は三冠のベルトが宮原を求めているかのような流れでもあった。全王者ジェイクには直近でフルタイムドローと王座奪取には至らぬものの、その後ジェイクは無念の負傷欠場。王者決定トーナメントを制した宮原は三冠王者に返り咲いた。本来であればすぐに宮原が戴冠することはなかったであろうはずが、ジェイクの欠場により「三冠のベルトが宮原を追いかけてきた」ような結果となった。そしてこの試合を見てもまだまだ宮原の時代は全日本で続くかと思われる。

しかし一方で宮原は青柳に対して「俺とあんたがこれから組むのか組まないのか」「それをどうするかお前次第だ」と言った。ただし「今まで通りではいかないんじゃないか?」「ファンのみんなはそれを待っているじゃないか?」と何らかの後押しをしているようにも感じられた。18年後半からある種孤高のエースとして全日本を支えていた宮原だったが、ここにきて昨年のジェイク。そして青柳といった新しい風が強く吹いてきた。この風を誰よりも喜んでいるのは宮原本人かもしれない。奇しくも9月に迫る久しぶりの日本武道館大会。これを成功させるには新しい風が不可欠である。青柳も宮原の言葉に呼応するかのようにジェイク。そして一度は全日本を離れたあの男へのメッセージも発している。

今回ベルトは宮原の腰から動かなかった。しかしこの試合は確実に全日本に新たな変化を与えた。新しい景色がうっすら見えてきた。数年後にはこの札幌決戦が「全日本を変えた試合」と評されるかもしれない。宮原健斗が言うように確実に「全日はキテる」。

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