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全日本プロレスとノア【お互いに進む道がはっきりした】

新型コロナウイルスの影響で無観客試合を強いられているプロレス界。そんななかプロレスリングノアと全日本プロレスは無観客試合という難しい問いかけに対して全く異なるプローチで答えを出しました。

プロレスリングノアの無観客試合はSNS界隈で話題のこちら

端的にいえばプロレスリングノアは無観客試合というフォーマットで限りなくエッジを効かせた試合を行いました。私の感触では賛の意見が多かったのですが、賛否が分かれてもおかしくない試合でした。

一方の全日本プロレス。

こちらのメインイベントは6人タッグでの60分フルタイムドロー。全日本プロレスといえば阪神淡路大震災直後の大阪で川田小橋の60分フルタイムドローに代表されるように、特別なことがあったからといって、特別な試合は行わず、あえて普段通りの「激しい」試合を行っていました。どんなことがあろうとも普段通りの全力ファイトを行うという感じですかね。何事にもぶれない強烈な軸を持つというのは保守の本道であり、王道を担う全日本プロレスらしさといえるでしょう。

かつてプロレスリングノアがプロレス界の王道や保守の柱というイメージで語れる時代がありました。総合格闘技に負けない純プロレスをやっているというところからそうしたイメージが付いたのでしょう。しかしプロレスリングノアは本来保守王道を目指した団体ではありません。三沢光晴が目指したのは時代に合わせて変化した新しいプロレス団体だったはずです。ですが四天王プロレスの継続を望むファンの声や、興行の柱となる選手の関係(ファンが望んだのは世代交代ではなく三沢小橋秋山だった)で、目新しく変化した試合をすることはできませんでした。厳しくいえば目新しさは試合の入場や演出くらいでした。

また全日本プロレスは三沢らの大量離脱の影響もあり、生き残りのために新日本プロレスとの対抗戦を開始し、そこから武藤敬司の入団→社長就任という流れとなりました。武藤社長時代の全日本プロレスはパッケージプロレスと言われ1つの興行に様々なタイプの試合を織り交ぜた形をとり、人気を集めていました。しかし保守王道的な形であったかというとそれとは少しずれていたと思います。

そこから更に時が流れます。全日本プロレスは秋山社長就任以後自前の新弟子をしっかり育て、目新しさこそ弱いものの、どんなときでも激しい試合を続けることで「今日の観客を明日の観戦につなげる」という形で再生を遂げました。今回の無観客試合のように何があってもブレずにいつも通りの激しい試合をするといういわば保守王道としての矜持を見せつけた形です。

プロレスリングノアは紆余曲折を経て緑のマットから白のマットとなり、SNSの有効活用など様々な新しい取り組み続けました。そしてその延長線上に前回の潮崎藤田の試合があります。今のプロレスリングノアは全日本プロレスの保守王道とは全く異なる道を歩んでいます。むしろひたすら革新を目指して突き進んでいると言えるでしょう。そしてこれこそ本来三沢光晴が目指した方向なのではないでしょうか?団体創設20年の年にようやく本来の信念を持って自由に進む事ができたのはとても感慨深いです。

全日本プロレスがしかっかりと保守王道に根ざした試合を重ねていくからこそ革新を目指すプロレスリングノアは活きます。またプロレスリングノアが革新を目指すからこそ保守王道の全日本プロレスの凄みが活きます。対抗戦として交わる機会こそ新型コロナウイルスの影響で失いましたが、レスラー同士が戦わずとも、この両団体はお互いの良さを戦わせているのでしょう。

プロレスリング・ノアの最新情報はこちら

https://twitter.com/noah_ghc

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