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三本のベルトは強者ジェイク・リーのもとへ〜6.26全日本プロレス大田区決戦

ジェイク・リーは強かった。6.26大田区体育館で行われた全日本プロレスの三冠戦。王者諏訪魔の新型コロナウイルス陽性反応によるベルト返上。その危機を宮原健斗、ジェイク・リー、青柳優馬による史上初の巴戦による三冠戦というウルトラCで打開を狙った全日本。結果的に言えばこれは成功だった。三冠統一ヘビー級王座という全日本のフラッグシップタイトルを単純な王座決定戦ではなく、三冠統一の地である大田区総合体育館での巴戦。さらにそこにPWF、インターヘビー、UNの三本のベルトをそれぞれが持ち、再び三本のベルトの統一を狙う。全日本プロレスが他団体に無い武器である歴史と権威。それを全面に出し、そこに若いトップレスラーである三人を当てはめる。これは他の団体では中々できないことである。

もちろん良かったのはそうした背景だけではない。過酷な巴戦を制したジェイク・リーは二試合通じて「己の強さ」をしっかりと観客に見せつけた。いわゆる受け身の強さが評価されやすい全日本において、相手を叩き潰す強さを全面に出したジェイク。二試合目の宮原を完膚なきまでに圧倒。さらに自身の二試合目である青柳戦では青柳のテクニックに対応しつつ、最後は力で青柳を潰した。ジェイクは「一番強いやつがベルトを巻く」「俺が一番強い」そうした自己主張を、言葉に頼らず試合内容のみで表現した。シングル最強決定リーグ戦であるチャンピオンカーニバルを制し。さらにこの試合で悲願の三冠も手にしたジェイク。

ジェイクの良さが際立ったが、今回の巴戦というスタイルが成立したのは宮原と青柳の二人がいたからでもある。本来は世界タッグ王者として防衛戦を行うという責任があった二人。しかし賛否両論の中で三冠への挑戦を宣言した。世界タッグ王者として地位を固めつつあった青柳は負ければ「世界タッグ王者の価値」を貶める可能性もあった。宮原も同様だ。さらに宮原は直近のチャンピオンカーニバルでジェイクに敗れている。短期間に大舞台で同じ相手に二連敗を喫すれば、彼の自認する「全日本プロレスのエース」という称号を失いかねない。二人がリスクを負いつつ、それでも「全日本プロレスリのトップに立つために」「エースの矜持として」、三冠戦を望んだからこそ。今回の名勝負が生まれたことを忘れてはいけない。

これからはジェイクが全てを飲み込み全日本を完全制圧するのか?しかし7.22には石川修司と芦野祥太郎の勝者との初防衛戦が控えている。そしてその先には復活した怪物諏訪魔も控えているだろう。もちろん宮原と青柳の捲土重来もあるやもしれない。新王者誕生により、全日本プロレスに新しい楽しみが生まれそうな予感がする。いちファンとしてはとても楽しみな展開だ。

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