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100円でものを作って・売るということ

モールドテックはデザインや設計を軸に色々なことをしている会社ですが、ありがたいことに日々色々な相談をいただきます。
その中でひとつ問題というか、課題となるのが、100円ショップと比べられること

自分も100円ショップは定期的に行きますし、買い物もよくしています。
あれだけの商品が100円で購入できるというのは本当にすごいと思います。
が、それが自社で対応できるかといえば別問題となります。

100円ショップを引合に出される場合には大きく2つのパターンがありまして
100円で作りたい
100円で売りたい

『作りたい』に関しては100円は言いすぎですが、100円で買えるのだから開発や製作も安くできるだろうというもの
『売りたい』に関してはそのものズバリ100円で売りたいというもの

結論から言えば、弊社でそれは無理です。

なぜ無理なのかそれは
商品に対する仕入れまたは生産数量が桁違い
しかも
非常に多くの製品を展開している
からです。

100円ショップは一つの製品に対して一度に大量に製作します。おそらくですがロットは数万個になると思われます。仮に金型費が50万円だとしても1万個作れば製品ひとつあたりにかかる金型費は単純に50円になります。
しかも、100円ショップは製品の回転が速いので使わなくなった金型が流用できます。新規に金型を製作したら50万円かかるとしても、流用できれば10万円程度で済むかもしれません。そうなると1万個成形した場合の製品ひとつあたりの金型費は10円となります。

さらに部品の調達に関しても、例えば100円ショップにはLEDを使った製品が多数ありますが、ここに使用されるLEDが共通部品だとすればかなり大量に仕入れることになります。大量に仕入れるということは単価を安く仕入れられるということですのでこれも製品コストに反映されます。

100円で『作る』・『売る』ためには、まず、ご相談をいただく際に生産計画や部品調達の条件が整っている必要があるわけです。

100円ショップも自社で工場を持っているわけではなく、OEMとして外部へ委託していることが多いようです。このOEMの受け入れ先は100円ショップに卸すためのシステムができているといえます。想像ですがスピード感も相当な速さだと思われます。

弊社の場合はデザインや設計をお客様と打合せを重ねて時間をかけます。
さらに試作・検証も繰り返し行います。ここにスピード感はまったくありません。そして製品化の際には条件に合う協力工場と製作をすすめます。金型が必要な場合は都度製作となります。
はっきり言ってしまえば、100円で売るとしたらコストが合わないやり方をしています

もちろん100円ショップで売れるような商品を作ることが悪いわけではありません。ただ、もし100円ショップでの取り扱いを目指すのであればそれは100円ショップやOEMで生産している会社に相談した方が的確なアドバイスをしてくれるのは間違いないと思います