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ものをつくる

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ものづくりための基礎知識とヒント
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プラスチック成形の種類と特徴

樹脂(プラスチック)の成形方法といえば射出成形が一般的ですが実は射出成形以外にも成形方法があります。製品の形状や必要な数量、樹脂の種類などなど、様々な条件から適した方法で成形します。 射出成形 最も一般的な樹脂の成形方法。射出成形機に取り付けられた金型により、プラスチック材料の溶融から射出、冷却を行うことにより形状を作る方法。自動車や家電,携帯電話の外装など、多くのプラスチック製品に用いられている。 真空注型 マスターモデルをもとにシリコン型を作成し、真空状態の中で硬

デザインはいいけど作れない問題を考える

デザイナー事務所へ依頼して作って貰ったデータを実際に製作しようとしたら作れないと断られた。ということがあります。弊社にもこの様な相談は多いです。 この問題を考えると大きく次の2つの原因に分けることができるように思います。それが 『データが合わない』 『加工ができない』 の2点です。 データが合わない 基本的に加工にはCADデータを使用します。データのやり取りには中間ファイルを利用します。中間ファイルについてはこちら この中間ファイルをやり取りする際にCADソフトのバー

プラスチックを量産するためにパーティングラインを考える

たい焼きを焼くときは2枚の鉄板を重ね合わせて焼く様に、金型も固定側と可動側と呼ばれる2枚の板を合わせて成形します。この可動側と固定側の分割される位置をパーティングラインといいます。PLなどと略されたりします。 パーティングラインはどこに設定してもいいわけではなく、原則として製品を金型平面で見た時に一番外側になる部分に設定します。それ以外の位置に設定した場合には、通常の金型の動きでは製品が取り出すことができないアンダーカットが発生してしまいます。 ちなみにパーティングライン

プラスチックのアップサイクル

ここ数年、プラスチックのアップサイクルに関してのご相談を度々受けます。実際にどのような行程を行っているのでしょう? 今回は『ペットボトルのキャップ』を例に行程をご紹介します。 ペットボトルのキャップを回収し、粉砕(または裁断)、射出成型機で成形します。 すでにこちらの方法を取り組んでいらっしゃる会社をご紹介します。 株式会社オリジナルマインド様 自社の手動射出成型機INARIを使ってキーボードのキーを作成されています。 キャップの種類別に成形してみるのもおもしろい。 h

プラスチックを量産するためにアンダーカットを考える

アンダーカットとは通常の金型の開きで処理できない形状の事を言います。例えば、製品の横に穴が開いているような形状では通常の金型の動きでは処理できません。この様な形状をアンダーカットといい、アンダーカットを解消するためには別の機構を設定して処理をする必要があります。 アンダーカットがあったとしても通常の型開きに別の処理を加えれば成立はするので、アンダーカットがあっても問題ないといえば問題はありません。 しかし、別の処理を設定するということは金型の部品が増えるということになるわけ

プラスチックを量産するために肉厚を考える

樹脂製品を考えるときには筐体のデザインと内部機構を両立させて設計を進めます。 ここでポイントとなるのが製品の厚み、肉厚です。3Dプリンターで製作するのであれば肉厚は関係ありませんが、射出成形など樹脂を成形するのであれば最適な肉厚があり、この肉厚が薄すぎても、厚過ぎても成形不良の原因となってしまいます。 最適な肉厚については製品の大きさや形状の複雑さ・用途などによって一概には言えないところもありますが、雑貨や自動車部品など一般的な射出成形の場合だと、肉厚は1.5mmから3mm

会社にある3Dプリンターの基本の基本の基本

弊社には試作を行う前に、3Dプリンタで造形確認を行っています。 最近新しく導入したForm3+とFDMタイプのプリンタを用途によって使い分けています。 3Dプリンタも様々な種類がでてきました。若干浦島太郎状態です。 そこで、今弊社にあるタイプの基本の基本の基本を紹介したいと思います。 FDM  熱溶解積層方式(Fused Deposition Modeling) 樹脂を一層ずつ積み上げていく造形方法です。 他の方式でも同じですが、積層ピッチを細かくすることで造形物の精度は変

100円でものを作って・売るということ

モールドテックはデザインや設計を軸に色々なことをしている会社ですが、ありがたいことに日々色々な相談をいただきます。 その中でひとつ問題というか、課題となるのが、100円ショップと比べられること 自分も100円ショップは定期的に行きますし、買い物もよくしています。 あれだけの商品が100円で購入できるというのは本当にすごいと思います。 が、それが自社で対応できるかといえば別問題となります。 100円ショップを引合に出される場合には大きく2つのパターンがありまして 100円で

プラスチックを量産するために抜き勾配を考える

プラスチックの製品を量産するときには金型が必要になってきます。金型で製品を成形するためには色々なルールがあります。 3Dプリンターなどで作った試作品が金型で成形するとなるとそのままの形では成形できないとか、金型が高額になってしまうと言うことは多々あります。場合によっては外観のデザインに影響する場合も多々ありますので金型のルールをある程度を知っておくことはとても大切なことです。 注意しなければいけないことは色々とありますが、その中のひとつが『抜き勾配』です。 上の画像の左側

『金型製作代行サービス』始まる

この度、株式会社オリジナルマインド様が立ち上げた『金型製作代行サービス』にご協力させていただくことになりました。 (本記事の画像はオリジナルマインド様よりご提供頂いたものになります) コースは全部で4種類 『3Dモデルはあるけど金型が用意できない』といった人に向けた、ベーシックコースとアドバンスコース 『3Dモデルを用意できない』といった人に向けた、モデリングコースとリバースエンジニアリングコース サービスの詳細はリンク先を見ていただくとして、ここでは今回の背景みたいなもの

「中間ファイル」ってなんぞ

送られてきた3Dデータが開けない、破損しているなどの問題がおこったことはありませんか? 問題は様々考えられますが、今回は基本的なデータのやりとりを紹介します。 3DCADソフトは多種多様あります。 ソフト間でデータのやりとりをするには、「中間ファイル」と呼ばれるデータに変換する必要があります。 この「中間ファイル」はほとんどのCADソフトで取り扱うことができます。 「中間ソフト」の代表的なデータ形式にはSTEP、IGES、そしてSTLがあげられます。 ※下記はかなり簡略

3Dプリンターって安くなったよなの話

弊社では3Dプリンターを複数台所有しています。そのうちの1台が動かなくなってしまったため、新たに購入することにしました。どうせなら造形範囲の大きいものがいいなと思い購入したのが写真左のこちら でかい。。。(汗) 『ANYCUBIC MEGA X』 造形サイズ300×300×305(mm) 価格¥55,000-(Amazon価格) しかし、この造形サイズがこの価格で買えるなんて本当に安くなりました。ふと一番最初に購入したプリンターは何だったかと考えてみたらこちらでした。

手書きイラストから3Dデータの作成依頼をする時に知っておいて欲しいこと

手書きのイラストからデータを作成するご依頼があります。 例えば、この様な手書きのイラストを 3Dデータにするといったご依頼です。 一般的なデータの制作過程は まずイラストレーターなどで2次元データとして整え そこからCADを用いて3Dデータの作成をします。 この手書きのイラストですが、ちょっとだけ気を使っていただけるとコストを抑えることができます。 多方向の視野を用意する提供いただくイラストはできるだけ色々な方向での視点をご用意ください。仮に正面だけご提供頂いた場合で

試作の目的と種類について

製品開発の最終目的は量産をしてリリースをすることですが、当然、いきなり量産しましょう売りましょうと簡単にはいきません。 量産の前には試作をする必要があります。 良い製品を作るためにはこの試作の過程を手抜きしては絶対にいけません。そして、製品にもよりますが試作が1回でうまくいくこともなかなかありません。デザインや機能に応じて試作・検証を繰り返していくことで良い製品を作り出していきます。 試作には目的に応じて大きく次の3つ段階があります。 1.その製品の機能や性能を確認・限定