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【前編】川崎市役所通りにパークレット「かわパク」がオープン!

2024年10月19日、川崎駅の川崎市役所通りの歩道の一部に、パークレット(通称:かわパク)が誕生しました!

※パークレットとは、主に路肩や停車帯を活用して滞留空間を生み出す取り組みのことで、アメリカをはじめとした都市で取組まれており、にぎわいや憩いの場として創出された空間は、新たな公共空間として活用されることに期待が持たれます。

頻繁にこのエリアに足を運んでいるという方々は、「あれ?なんだか雰囲気が変わった?」と、すでに変化にお気づきでしょう。実はこちら、「歩いて楽しい市役所通り」をコンセプトに、「全国都市緑化かわさきフェア」の一環として設置されたもの。

こちらのnoteで、2回に分けてその概要と、16個のオブジェやプランターなどの見どころをお伝えしていきます。

パークレット(通称:「かわパク」)とは

川崎市 市制100周年を記念して、2024年10月19日(土)〜11月17日(日)、そして2025年3月22日(土)〜4月13日(日)の期間で開催される「全国都市緑化かわさきフェア」。

その一環として、同期間中に川崎区・市役所通りの歩道の一部スペースを活用したパークレットが完成しました。約100mにわたる区域内の歩道には、木材の温かみを感じられる16個ものオブジェやテーブル・椅子などの作品ずらっと並び、誰でも自由に楽しめる空間が広がっています。

国産木材を活用した“社会実験”としてオープンした「かわパク」。花や緑が美しい小型プランターも至る所に設置され、歩いているだけで自然の豊かさを感じられます。

この小型プランターおよび16個の作品を手掛けたのは、私たち川崎市木材利用促進フォーラムのメンバーを中心とした建築設計事務所や施工業者、林産地自治体や森林組合等、そして林業関係者と市内の高校生です。

それでは早速、それぞれのプロの技と個性が光る展示物を紹介していきます。

1:中に入って休憩できる!思わず目を引く「パークレットのはじまり」

川崎駅から市役所方面に歩き、まず最初に目に飛び込んでくるのがこちら。その名も「パークレットのはじまり」。設計デザインを担当したのは、(株)スタジオ・クハラ・ヤギさんです。

大きくアーチを描いた特徴的な形のオブジェは、なんと中に入って休めることができるのだそう。右下に記載されている「樹木の洞(うろ)のような空間に潜り込みたい気持ち」というメッセージの通り、まさにゆったりとくつろぎたくなるような見た目です。

(株)スタジオ・クハラ・ヤギの代表・八木さんによると「スタジオジブリ『風の谷のナウシカ』に出てくる王蟲(オーム)のような、存在感のあるアイコンを作りたかった」そう。確かに、通りを歩いていてこのオブジェが目に入ったら、インパクトがあってついつい中を覗き込みたくなりますよね。

設置位置がちょうどバス停の近くだったこともあり、八木さんは「ちょっとした休憩スペースとして、ぜひ皆さんに使ってほしい」と話していました。

また、隣にあるプランターも、作り手のこだわりが光ります。

木材と鉄を組み合わせ、かわいらしいオバケのような形に作られたこちらは、1番の展示スペースだけでなく、「かわパク」の至るところに設置されています。それぞれかたちや大きさ、表情が異なるのも、見どころの一つです。

設計デザイン:スタジオ・クハラ・ヤギ
製作・材料:銘建工業(株)
施工:(同)TIC プラン
サイン:豊受
タイトル:「パークレットのはじまり」
樹木の洞(うろ)のような空間に
潜りこ込みたい気持ち 緑と木材 気持ちのいい関係

2:ゆらゆらと揺れるテーブルがまるでクラゲのよう

続くこちらも、(株)スタジオ・クハラ・ヤギさんが設計したもの。

両手で掴んで左右に揺らすと、ゆらゆらと揺れる不思議なテーブルが複数設置されています。八木さんは、「ちょっとだけもたれかかったり、軽い荷物を置いたりして休憩スペースとして活用してほしい」とのこと。

あえて脚部分の鉄(スチール)を白く塗装せず、地の色である黒を生かしているのもポイントだそうですよ。

テーブルの天面には、「かわパク」の全体像やコンセプトの説明が記載されています。

設計デザイン:スタジオ・クハラ・ヤギ
木部 製作・施工:TIC プラン
鉄部 製作:日崎工業(株)
サイン:豊受
タイトル:「パークレットって なんだろう」
木のステージにふわふわした形の
クラゲみたいな鉄の白い形 板面を見てみてね

3:日によって配置が変わる!プランター

続いてご紹介するのは、VUILD(株)さんのプランター。なんとこちらのプランターは、毎日配置が変わるのだそう!

というのも、VUILD(株)さんのオフィスは市役所通りのすぐ近くなので、毎日社員の方が、一つ一つ手で動かしているとのこと……!

色とりどりのお花が植えられていて、とってもすてき。もしご近所さんの方がいれば、毎日こちらに足を運んでみて「今日はどんな配置かな?」と確認すると楽しいかもしれませんね。

設計デザイン・製作・施工:VUILD
タイトル:「パブリックツールサーカス」
なにもない場所でも 即座に居場所をつくることが できるモジュール什器を積んだ 手押し移動が可能な屋台ユニット

4:木材を利用した、新しい“木”のフェンス!

こちらは(一社)木の総合文化・ウッドレガシー推進協議会 不燃木材外装委員会さんなど企画の「和のフェンス」(※設計デザインは日本大学生産工学部建築工学科永井研究室)。

格子状に組まれた木材が特徴的で、不燃木材外装委員会さんの得意分野である不燃処理を施した木材を一部使っているそうですよ。言われないと気付かないくらい、無垢の木と同じような風合いでした。

アーチになっている部分は、それ以外の直線的な表現との対比になっていて、より美しく見えます。

企画:(一社) 木の総合文化・ ウッドレガシー推進協議会 不燃木材外装委員会
設計デザイン:日本大学生産工学部 建築工学科永井研究室
製作・施工:(株)森久・(株)プラセラム ・防災不燃木材連絡協議会
材料:キーテック
タイトル:「和の緑化フェンス」
和の要素を取り入れ、植栽と木が融合する、ぬくもりのあるフェンスをデザイン。 ※難燃薬剤処理木材を使用


5:屋根梁とフレームだけでできた空間で、一休み

(株)アービア設計さんが設計・デザインを担当した「しかくい軒」は、その名の通りまるでお家のような見た目ですが、屋根が無いのが特徴。

一般的に流通している国産杉柱をプレカット加工機に通し、単純な屋根梁とフレームのみで組み立てられたそうですよ。

中央のベンチに腰をかければ、お家の中にいるような、外にいるような、ちょっと不思議な感覚でほっこり一息つくことができます。

(株)アービア設計さんによると、「従来の建築への、一種のアンチテーゼとして考えた」とのこと。たしかに、私たちが想像する住宅・建築とは全く異なる、新しいスタイルです。

だからこそ実現までに苦労したポイントも多いとのことで、なんと屋根を組むだけで2〜3日かかったと教えてくれました。大工さんと丁寧にコミュニケーションを取ることで、見事に形を実現できたとのことです。

設計デザイン:(株)アービア設計
製作:ポラテック(株)
施工:(株)KND コーポレーション
タイトル:「しかくい軒」
一般的に流通している国産杉柱をプレカット
加工機に通して単純な屋根梁とフレームを作成し 組み立てました

6:多種多様なかたちが楽しめる、木のオブジェ

(同)春紫建築設計事務所さんによる木のオブジェ。パッと全体を見ると4つのオブジェが展示されていますが、これらは3枚の木材を効率よくカットして作られたそう。

(同)春紫建築設計事務所さんによると、「少ない材料で設計せざるを得なかったため、無駄な部分をなるべく生み出さないかたちで考えた」とのことですが、バツ印にカットしたり、上下半分にカットしたり……切る角度を変えるだけで、多種多様かつ複雑な形を作ることができるのですね。

後ろにある砂時計のような形をしたオブジェは、1本の材木を横半分にカットしたものを上下逆さまに組み合わせることで、個性的な形を生み出したとのこと。デザイン・設計者さんのアイデアが光る、すばらしいオブジェです。

設計デザイン:(同)春紫建築設計事務所
CLT製作:銘建工業(株)

残り10個の展示は後日紹介!

今回は全体概要と、1〜6番の展示内容をご紹介しました。残りの10個は後日こちらのnoteでご紹介するので、ぜひお楽しみに。


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