京都 大学生 短歌

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短歌5首、路地裏

路地裏の暗闇に突然ひかりもうそろぼち、と先輩がいう 来た道を忘れてしまったこの街を離小島で浮遊する午後 踊り場で風を感じる人びとの人びとごとに異なる香り 空想の言葉がひとつ歩きだす瞬間きみは報われるだろう 交差点信念ひろういつの日か正解になる響きをもって

    • 短歌 2024/9/25

      イヤホンは自然と剥がれ四字熟語みたいな駅に停車する歌

      • 短歌4首、満員電車にて

        反射する顔の向こうの暗闇の生気の渦を溜め込んだ街 単語帳ひらく彼の頭上から今にも落ちる寝癖ふたたば 「きっともう逃げ出せないね」学生は背中合わせで慰め合った 底面は徐々に上がって東京の郊外もまたトーキョーとなり

        • 短歌 2024/9/14

          慣れたふりして手を繋ぐ目黒川沿いと思えば安い角部屋/奥冨萌

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        短歌5首、路地裏

          短歌5首、地元

          見逃してほしい星たち的を得た言葉を渡す冷めた暴力 みどり色フェンスが囲う駅前に呆れないまま停車する街 ひと駅、またひと駅と近づいて酸素は徐々に薄まってゆく 今日だけは父の success を手にとり あなたを忘れたようで嬉しい ピースから星を生み出すためだけに友達として隣にいたね

          短歌5首、地元

          8月短歌、高いだけのフルーツ

          青い空、飼い慣らされて暮らす人、ひとりひとつと振り絞る街 軽やかにコーヒーカップは跳ね飛んできらきらと舞う砕けると知る 日曜に高いだけのフルーツを僕は刻んだ僕の住処で 満ち足りることを怖がる幸せになれない星とかないよそんなの たぶん君意図的迷子だって地図非常口星印ついてる

          8月短歌、高いだけのフルーツ

          短歌3首、明日

          正解にならなくていい経験を手渡して明日、ちゃんと生きてる 選択はわからないから賭けてみる迷う権利をもらった今日に 淡かった柔らかな日々バスタブの中で全てを平らに変えて

          短歌3首、明日

          短歌6首、放課後

          先生は並べと言った僕たちは持ち合わせない廊下を探す すこしシャツが大きいところベルトから漏れ出す布と有り余る好き 放課後のどうしようもない気怠さが愛しくなかったわたし、かわいい 駅前のマックは更地として生きる忘れたことさえ忘れるだろう 同じバスに乗らないことを許される理由ばかりを考えていた 数学の時間に寝ない君と目があうこの席を渡すまいとす ブレザーを着てきた。八時、少しだけ大人になった君を見つける

          短歌6首、放課後

          短歌5首、チーズフォンデュ

          海原といえない部屋でかもめとし飛んでるような気持ちをまなぶ ひとりごとのように喋れば君はすぐ会話のように言葉をつむぐ 箱詰めのお菓子をくれたあなたから葉書が届く葉月だからと たのしさのピークは食べる前よねとチーズフォンデュの具を並べたり 自販機で賭けをしてみる目をつむりカフェオレ缶を出したら勝ちと 日記 さいきんもつ鍋食べて、明太子入れたらもっとおいしくて、幸せでした

          短歌5首、チーズフォンデュ

          短歌3首、なつ

          虹だったのか身体をもてあまし反射しあった日々はおそらく 裏庭の花壇で君のせいにしたことごとは多分、私悪いね 動物のしっぽを人が持つならば何がよいかと考えるなつ

          短歌3首、なつ

          7月短歌、風船

          瞳には映らない風ゆらめいて静かに熱は肥大してゆく この身体この顔のまま軽やかに離婚届をもらいに行こう ビルがひとを覆い隠した束の間に生まれた巨大な日陰で暮らす 可愛さを主義とすること土俵には入れるけれど降りられないの ビル風に吹かれて坂を登りますただまろやかに傷みをかかえ 飛行船を世界の裏に飛ばしますここが裏だと思いもせずに

          7月短歌、風船

          短歌10首 泣いてしまいたい

          もう何重にもからまってやわらかな結び目はまた死んでしまった もういっそ泣いてしまいたいハムよりも絶対わたしベーコンが好き ペッパーに睨まれながらざるそばをすする今こそ革命のとき うつくしい風と下着を送りますだからまるごと明日をちょうだい ポケットに詩を隠した理不尽をのらりくらりとかわせるように 悪文も良文もない無造作な想いの欠片はただひかりあう 檻の中は無色であった檻の外はやさしい色の地獄であった あの街で生きたかったよあそこには僕だけ行ける地獄があった イヤ

          短歌10首 泣いてしまいたい

          短歌6首、傘

          パソコンの光に照らされ恋人が追いかけごっこをしようといった 駆け足で坂を登った身体ごと割けることだけ希望であった あなたには不器用なままいてほしい優しさはすぐ執着となる 分厚めのオーバー羽織り口紅を塗っていちにちベットで寝よう まだ傘は手持ちだからさ肩濡らし下駄箱横で君を待ってる 雨を描くときだけ君は呼ぶだろう3色ボールペンのあおいろ

          短歌6首、傘

          6月短歌、瓶

          ゆらゆらと瓶は流れて海鳥が一瞬のうち奪っていった 街並みを焼く炎にも訳があり笑うしかない笑うしかない 急いでいる君を横目に3つほど密室殺人解決しました 一兎目が捕まらなかった時用の二兎目を常に考えなさい でもこれが最良だとして痛いまま言葉を賭けるあなたに賭ける どうしても理解できない営みに目を背けない君と踊ろう ひとつ線の上で戦う心地よさ疑ったままもう降りられない 守られる何処にいたって安全に眠るあなたのほっぺたが好き たっぷりとお椀を満たすさみしさに麩は浮遊

          6月短歌、瓶

          短歌5首、混ざる

          いくつかの短歌を書きました。月ごとに書いていたんだけど、なんだか見せたくなりました。 題は『混ざる』にします。 人類が愛しあえない原因はそのカフェラテにあるんじゃないか 偶然に生まれて死んだ労働の証を飲み干しさよなら地球 私が私である可能性星の数ほど空がある様 空間が心臓をもつ音がした身体全部で呼吸している おそらくは君は私の恋人であと少し右にずれてくれたら

          短歌5首、混ざる

          5月短歌、身体

          毎月テーマを決めて短歌を書いています。 まだ2ヶ月目。 まだ5月かー、まだ20歳かーという感じで、どこまでも生活が続く果てしなさに苦しくなる瞬間が、いたるところに、静かに転がっていました。同時に、淡々とやることをやり、日々をこなしているような感覚のなかで毎日を過ごしていて。些細な感情に足を引っ張られないように自分の心を無視していたら、どこかで「生活やっていけるな」と思える瞬間がありました。これでいいのか、どれがいいのか、よくわからないまま、5月からずっと、自分でものごとを決

          5月短歌、身体