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ドラッグストア戦国時代

今日のニュースは、ダイヤモンドオンラインより、最近乱立が目立つドラッグストアに関する記事。

それにしても100m以内に乱立とは穏やかではありません。
その背景には、ドラッグストアのどのような戦略があるのでしょうか。
また、地理の視点からはどのような学びがあるのでしょうか。
では、見てみましょう。

ドラッグストアとは、一般的に医薬品と化粧品を中心に、日用雑貨や食品を取り扱う店舗を言います。
そのため、主に「健康と美容」についての訴求力を持つ店舗です。
また、店舗の規模はコンビニエンスストア以上、スーパーマーケット未満が中心。
そのため、集客力についても同様の傾向が見られます。

ちなみに、小売店で最も床面積が大きいのは百貨店(2万㎡以上)。

最も小さいのはコンビニエンスストア(100㎡ほど)。

ドラッグストアは300㎡ほど。

専門スーパーが1000㎡ほど

と言われています。

また、ドラッグストアはその営業形態もスーパーとコンビニエンスストアの中間と言えます。

まず、記事中にある「ドミナント方式」
これは、コンビニエンスストアにも見られる、一定の範囲に特定のチェーン店が集中出店する方式です。
例えば、セブンイレブンがやたらと集まっている地域、ローソンばかりある地域、というのを目にしたことがあるのではないでしょうか。

これは、同じチェーン店を集めることで客を独占し、他のチェーン店が入り込めないようにする一種の囲い込み戦略です。
一方で、商品の輸送についてはどちらかというとスーパーに近い傾向があります。

コンビニエンスストアは、「多品目少量輸送」が基本。POSシステムによるリアルタイムの在庫管理と売れ筋の把握と共に、トラック輸送網による高頻度な商品の搬入を行います。
それにより、バックヤードへの保管を最小限とし、限られた店舗スペースを最大限売り場として活用。さらに「売れ筋」を切らすことなく並べ続けることができます。

一方でスーパーは、比較的バックヤードが大きく、商品搬入は原則として早朝の1回のみ。その際に大量の商品を搬入し、開店前に並べ終え、開店後は売り場にバックヤードから適宜補充するのが基本です。

ドラッグストアはどちらかと言うと後者に近い搬入方法であり、そういった意味でもコンビニとスーパーの中間と言えるでしょう。

本筋からは逸れますが、百貨店は高単価商品を広大な床面積の中に専門店を配置して販売するため、客単価が高く、店舗ごとの売上も大きくなります。
一方で、高所得者が集まりやすいターミナルにしか立地できないため、店舗数が少ない傾向があります。
百貨店で販売される高単価商品(宝飾品など)は「買回り品」といいます。

コンビニなどで販売されている日用品は「最寄り品」といい、コンビニ、スーパーなどは主にこれらを扱っている小売店です。
ドラッグストアもおおむね最寄り品を扱っていると言えるでしょう。

近年勢いを増しているショッピングモール

は、最寄り品と買回り品、さらにエンターテインメントも提供する「どんなニーズにもこたえる」点が強みで、ロードサイドに大規模店を構え、週末の家族の「買いだめ」需要を取り込んでいます。

では、ドラッグストアはどのような点に強みがあるのか。
それはやはり「医薬品」「衛生用品」ですね。
コロナ禍でマスクや消毒液、衛生用品などの需要が高まった結果、ドラッグストアの存在感が高まったと言えるでしょう。これは記事にもある通りです。
そして、それらのついでに日用品も手に入るドラッグストアが、コンビニやスーパーの市場を侵食しつつあるというのが実態だと思われます。

現状ではコンビニ、スーパー、ドラッグストアの三つ巴の戦いの行方がどうなるかはわかりませんが、少なくとも店舗数が多すぎるため、淘汰の時代に入るのは間違いないでしょう。
というわけで、地理においても小売店の業態ごとの特徴をつかんでおくことは結構大切な事ですので、この記事をベースに頭に入れておくと良いかもしれませんね。
今回はこれくらいで。


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