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【読書感想】「WORK SHIFT」リンダ・グラットン

読了日:2012/10/17

この本は、今働いている全世代・全職業の人にとって、絶対に読む価値がある書籍だと思う。

自分の生活・仕事・会社・人生に関連することが本当にたくさん。
本につけた折り目がすごい数になってしまった。
今年読んだ書籍のベスト5に入る。

私がこの本を購入したきっかけは、おちゃらけ社会派ブロガーChikirinさんのブログ。
この人が10月6日、Twitter上で「Social Book Reading with Chikirin」というイベントを開催。
そのイベントというのは、課題図書(WORK SHIFT)を読み、その感想や意見をTwitter上でみんなで意見交換しあおう、というもの。

私は、10/6の時点では、本を読んでいなかったので
イベントには参加せず、Twitterを眺めていただけだったけど、Chikirinさんの発言とかリツイートで、この本の内容がすごく気になってしまって。
結局、イベント終了後に購入。

この本は、
2025年に世界がどう変化しているか、
その中で人々はどう働けばいいのかを考えさせる、「個人の働き方と意識に対する壮大なる提案書」だと思う。

1章では、未来の世界がどうなりうるのか、さまざまな観点から変化の要因を列挙している。
1. テクノロジーの進化(10項目の具体的な現象)
2. グローバル化の進展(8項目の具体的な現象)
3. 人口構成の変化と長寿化(4項目の具体的な現象)
4. 社会の変化(7項目の具体的な現象)
5. エネルギー・環境問題の深刻化(3つの具体的な現象)

2章では、これらの要素が組み合わさった2025年の未来で、「漠然と未来を迎えた」人々の生活を想像していく。
具体的に例をあげて、未来の人たちがどんな生活を送っているかをシミュレーションできる。

3章では、「主体的に動いた」人々の2025年の生活について具体的な例を挙げて説明。

最後の4章で、変化を生き抜き、充実した人生を送るために私たちはどう考え、どう動くべきなのか。
以下の3つのシフトという形で提案していく。
1. ゼネラリストから「連続スペシャリストへ」
2. 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
3. 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ


1章の変化の要因を知るだけでも十分この本の価値があると思った。
1つのニュースがあると、その先の未来を考えて明るくなったり暗くなったりするし、別のニュースがあると、やっぱりその先の未来を考えて明るくなったり暗くなったり。
でも、世界や社会は、1つの現象や1つの出来事では決まらなくて、いろんな要素がたくさんある。
じゃあ未来の変化の要素に何があるのか、
明るい点は?
暗い点は?
1章ではさまざまな観点から、その両面を多角的に列挙している。
それらが並べられているだけでも、自分はどうすればいいのか考えるきっかけがすごく得られるし、心のなかにある漠然とした不安から少し脱却することができた。


生活していると、古い価値観が通用しなくなっていること、
これまでのやり方がうまく回らなくなりつつあること、
を端々で感じる。
また、その変化に気づけない人、変化に追いつけない人たちが、立場や信頼を失うことも増えてきている。
この本を読んで、今が変化の時期なんだな、と改めて認識できた。

また、自分の生き方・働き方を真剣に考えることから目を背けていたこと、
モチベーションの低下に気付かぬふりをしていたこと、
なあなあで流されることに慣れてしまっていたこと、
などを思いしらされた。

以下、読んで、深く感銘・共感した点。

・多様性を受け入れる度量と度胸を持とう
必要なのは、他者への敬意と尊重
時代や年齢ではない。大事なことは柔軟性

・人の感情部分は普遍
技術・知識・価値観・常識は変化するけど、人との絆を持つことの充実感や感情は普遍。

・知識の量より、考える力
わからないことはすぐに調べられる社会の中で、知識の蓄積はもはやかなり無意味。
ヒトに求められる力は、人間にしかできない思考部分。

・主体的選択・人生の断捨離の重要性
自分の未来を主体的に選び、覚悟をもって生きる心の強さが必要。

著者がこの本の執筆に至ったのは、息子の将来についてアドバイスを送りたかったから。
私も、わが子をどう育てていくべきか、
自分をどう変化させ、どう生きていくべきか、
本当に多くのヒントを得ることができた。

ワタクシ的名文

それ以上に興味深いのは、表面的な部分こそ変わっても、根本の部分では人間の性質がおそらく変わらないという点だ。
 (中略)
人類の歴史を通じて、私たちの生活を形作ってきたのは、この5段階の欲求を順次満たしていこうとする人間の基本的な性質だった。
テクノロジーや身の周りにあるモノは変わっても、そういう人間の本質は変わっていない。
創造性を刺激し、新しいアイデアを生み出すうえで、遊びが極めて重要であることは古くからよく知られている。
私たちは、仕事を遊びと考えたほうが仕事を愛せる。
ローハンやブリアナの時代には、どこで生まれたかではなく、才能とやる気と人脈が経済的運命の決定的要因となる。
 (中略)
たとえば、サハラ砂漠以南のアフリカやインドの貧しい農村に生まれた人でも聡明で意欲があれば、グローバルな人材市場に加わり、豊かな生活を送れる可能性がある反面、たとえアメリカや西ヨーロッパに生まれても、聡明な頭脳と強い意欲の欠けている人は下層階級の一員になるのだ。
Y世代(1980~1995生まれ)の行動を理解するために私たちが実施した調査によればこの世代が仕事でとりわけ重きを置く要素は、学習と成長の機会を得られることだった。
多くのことを学べて、学ぶべき点の多い同僚たちと働ける仕事を選ぶ傾向が強い。
仕事でなにが不満かとたずねると、飛びぬけて多かった回答は、ベビーブーム世代(1945~1964生まれ)の上司が過剰に管理したがる一方で、十分なコーチングをしてくれないことが不満というものだった。
2010年の時点ですでに、先進国では、大学を卒業して企業に入社する新入社員のおよそ半分を女性が占めている。
多くの先進国では、男性より女性の教育レベルが高い。

いつだかのほぼ日で、イトイさんがこんなふうなことをいっていた。
『3.11以降、いろんな価値観が変わってきている。
これからの時代、大事なのは「女性の力」「地域の力」「英語力」なんじゃないかなぁ』
と。
WORK SHIFTを読んで、イトイさんの言葉を思い出した。本当にそのとおりだと思う。

私もやれることからやっていこう。

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