有料感想サービスのススメ／同人誌の他己分析・自己分析
※この記事には二次創作・BL・同人等の要素が含まれます。
本格的に同人活動を始めて4年と少し。ジャンルは変わりながらも楽しく本やweb作品を描き続け、今では人生になくてはならない趣味です。趣味だからこそ自分のやりたい放題楽しく活動してきましたが、近頃ある漠然とした不安に襲われるようになりました。
私の描くものって…実際"どう"なんだろ…？
楽しいの自分だけでは？いや二次同人ってそういうものだけど…でもどうせ公開するなら少しでも誰かに楽しんでほしい…。
多分急に現れたのではなく、今まで見ないふりしていたのが無視できなくなった感じのこの不安感。そろそろ思い切って自分と向き合う時期なのでは？ と思い立ち、思い立ったら即行動。「有料感想サービスで同人誌の感想を購入し、自分の作品を他己分析・自己分析してみた」ので、レポを書いていきたいと思います。
依頼する前は「わざわざ同人の、しかも二次創作の感想をお金で買うなんて…」と若干尻込みする気持ちもありましたが、結論から言うとプロ志向じゃなくてもめちゃくちゃタメになるのでオススメ！という話です。
タイトルは同人誌にしちゃいましたが、もちろんweb用の作品でもOKなのでご興味ある方の参考になれば幸いです。
サービスを知ったきっかけなど、こちらの記事を参考にさせていただきました。
そして今回お願いしたのは、ココナラのあさきちづる様のサービスです。
感想を依頼する前に
依頼の前にまず自分の求めるものは何か？何を聞きたいのか？という事項や動機を整理しました。
■サービス利用の目的
①自作の長所と短所を指摘してもらいたい＝他己分析がしたい
②↑上記の指摘をもとに自己分析し、今後の創作に活かしたい
③感想をもらうことでモチベーションの向上や維持を図りたい
今回は「客観視したい／気づきを得たい」と、とにかく自分の作品が"どう"なのか知りたい、ということがメインの目的なので、このような優先度になりました。
作品への感想自体は、ありがたいことに普段も匿名ツール等でぽつぽついただいてまして、めちゃくちゃ飢えているとかではなかったのもあります。とはいえ伺うからには褒めも欲しい（正直）
■同人活動における自分の理想
・自分の推しCPへの感情を気持ちよく発散したい
・読んだ方にキュンとしてほしい、幸せな気持ちになってほしい
・二人の深い愛情は描きつつ、重すぎない後味にしたい
・このCPが好きになれるような作品が書きたい、CPの魅力を伝えたい
いただいた感想を最大限活用できるよう、自分の理想やこういう風に活動したいなというのをきちんと明文化してみました。この理想に対して今の自分がどれだけ達成できているのかを見ていきます。
私は根っからのCPオタクなので、見てこのCP！！！！メチャクチャかわいいんです！！！！こういうところが最高なんですけどどうですか！！！？？？というアピールのために二次創作をしています。なので漫画家になりたいとかスキルアップしたいという欲はあまりなく、とにかくCPを魅力的に表現したい！というのが活動動機です。
■どうしてこのサービスを選んだか
こちらは「BLなども読めるオタクだけど、普段の自分を全然知らない方」に対価を払って感想やアドバイスをいただけるというサービスです。
まったく初対面かつCP知識や作者の事前知識がない、でも二次BLに造詣が深い読者目線の方に「ここが強み」「ここが気になる」と言ってもらうことで、自分の"一書き手としての作風や特徴"がわかるかもしれない、と期待して今回の依頼を決めました。自分の性癖と願望の塊たる同人誌を全く知らない人に読まれる恥ずかしさはちょっとだけありましたが、実際利用した人の感想レビューなどを見て信頼できるな、安心して読んでもらえるなと判断できたのも大きかったです。
もちろん普段いただく感想もすごくありがたくて感謝しきれないのですが、普段の感想が回復薬だとしたら、こうしたサービスでの感想は経験値なのかなと思います。もっとレベルアップして最強のCP活動家（？）になりたい！！！！
似たサービスは「二次創作 感想」とかで検索すると結構たくさんあるのですが、色々調べた中で上記の目的にぴったりだったのであさきちづる様にお願いすることにしました。ありがとうございます！
依頼の内容
同じCPの同人誌2冊（1冊めは5/30発行、2冊めは7/11発行。どちらも日常系で甘めの年齢指定あり漫画）の本文のみをPDFにして、必要事項である作品やCPの簡単な説明とともに送ります。また、感想を甘口か辛口か選べるので、下記の通りご依頼しました。
・中辛程度で二次創作としての魅力と漫画としての技術力、それぞれへ客観的な評価がほしい
・次の二点を重点的に見てほしい
①恋愛モノ（二次創作CPモノ）としてキュンとするシーンやセリフが作れているかどうか
②漫画として技術的に気になる点や読みづらい点があるかどうか
価格は作品2点で3,000円（漫画34Pと35P）でした。良心的すぎる…
私の場合は標準のまま7日納期で発注しましたが、特急納品のオプションもあります。
納品された感想
中辛でお願いしたんですがメチャクチャたくさん褒めてくださってものすごく嬉しかったです。恐縮しかない…！ヒエ～！照
原作について詳しく知らないとのことでしたが、依頼時の説明では書ききれなかったキャラの特徴を作品からガッツリ読み取ってくださいました。読解力A+の持ち主としか思えない…まさに「あまり事前情報がない方にどのくらい伝わるのか」というところが知りたかったので、期待以上の結果でした。
感想はPDFで、1作品1,000字程度×2と総評が300字程度という構成。
作品ごとの段落では依頼時に重点的に見てほしいとお伝えした部分をPUして、セリフやシーン、表情の作画など細かく取り上げられたほか、総評部分で漫画としての総合的な評価もいただきました。感想でここを見てほしい！をリクエストされる（それに応える）のって考えただけでも難しそうなんですが、見事に返してくださって感激です…。読みながら「あ～～～！！！そうそうそれが伝えたかった！」とか「タイトルの意味それなんです～～～！！」とか悶絶しました。本当にすごい。漫画の専門知識には詳しくないとあったのでおそらく小説が得意なのかな？と思いますが、小説をよく読まれるからこそ全体のストーリーの流れ等にも言及してくださったのかなとも。
ほんとに中辛…？ってくらい褒めていただきつつ、「この展開はこうしたらアクセントになりそう」等のアドバイスもしっかりくださり、指摘内容もなるほど！という感じで、これは外部の方にお願いしたからこその気づきだなあと思います。
納品もご提案いただいた納期通りで、たくさんご依頼がある中本当にありがとうございました。
感想をもとに自己分析
というわけで、作品にいただいた評価から自己分析。
■自分の強み
2作通して特に褒められたのが「キャラ（特に受け）の表情」「タイトルと内容のリンク」「読みやすさ」でした。
無表情がちに見える受けの表情の変化と、それを見せる相手＝攻めへの愛情がまさに推しCPの好きポイントなので、それが作画でうまく伝わっていたのがめちゃくちゃ嬉しい…！！！私自身も楽しく描いているところなので、これは拘りがちゃんと強みに繋がっているのかもしれない。
タイトルはいつも唸りながら考えてるんですが、ちゃんと本文内で意味があるように作用していてよかった…と安心（特に片方はオチの台詞がタイトルになるものだったので）
そして読みやすさ！これ本当に嬉しかったです。基本的にラブコメ風のライトな作風（だという自認）だし、そういうカワイイ寄りのCPが自分の好みなのでうまく寄せられてるなと自信が持てました。また、いつもはあとがきで延々と補足説明してしまうんですが、今回あとがき無しで見てもらっても特に引っかかりはなかったようなので、一応お話として本文だけでも成立してるようで良かったなと。
あとは「受けのここがかわいい」という点が多めに触れられていたのが印象的でした。改めて見返すと、2つとも攻め寄りの視点で話が進むので、攻めから見た受けのかわいいシーンが多めだったかもしれない。こう言うのって自分だとわかんないですね…無意識…。
■アドバイス
1作目はほぼ無かったのですが、2作目はストーリー展開についての提案がありました。時系列順に話が進んでいるので、冒頭部分を途中に回想として挿入するのもいいのでは？という内容。
直した方がいいということではなく、今の構成もアリだけどこうすると新しい手法になるしアクセントとして効きますよ、という言い方なのが優しい。そして確かに時系列で描きがちだな～という手癖に気付けたので、これは今後のプロットに活かしたいです。
■漫画としての総評
こちらは「わかりづらい箇所はなく、原作知識が無くてもすっと入り込めた」「表情や情景が丁寧に描き込まれている」という評価でした。いや恐縮すぎる…自分では絵柄がシンプルすぎる、書き込みが少ないのがコンプレックスだったのですが、それは苦手だって意識しすぎなのかもな～。
漫画の技術的な面については、今年中に出張編集部に行ってみたいな～！！と思っているので、そこでプロの意見を聞ければと考えています。とりあえず初見の読者さん目線では引っかかりはないようで安心しました。多分一番自信がない部分なので…漫画技術…笑
あと読みやすさのところでも触れたんですが、1冊目のほうにいただいた感想の中に"単なる「こういうストーリー・結末にしたい」という都合に合わせてキャラクターを動かしているのではなく、キャラクターたちが日々を過ごしている中を切り取ったような自然なストーリー展開が魅力的でした"とあってもうこんなの…こんなこと言われたら泣いちゃいませんか？日常の中に生きている私の推しCP…泣
■これからの創作にどう活かすか
感想を読み込んで、私の場合は苦手なところを克服するより強みを伸ばした方が自分の描きたいもの＝理想の作品・作風（軽い読み心地でキュンとしつつ、CPの関係性の可愛さ・二人の間の愛情を表現したい）に近づきそうだなという結論になりました。
ここを拘りたい！という部分はうまくいってるようなので、その点はこれからも好きに描きつつ、＋αを増やしていく感じでしょうか。個人的には、攻めにもキュンとくるようなシーンや見せ場を作っていきたいので（今のCPは特に！）それは意識的に増やしていきたい。でも基本的な方向性は今のまま、というのがベストかなと思います。
余談ですが、実は今までどのジャンルでも「CP愛、作品愛を感じる」という感想をいただいてまして。言われるのメチャクチャ嬉しいし愛が駄々洩れなのか～～という照れがすごかったんですが、あまりにもどのジャンルでもそう言われるのでどの辺からそういうのが漏れてるんだろう！？愛はどこからやってくるのでしょう…！？というのが密かに長年の疑問だったので、今回詳しい感想をいただいて、ちょっと納得できたのがよかったです。笑 たぶんキャラの表情に相手への愛が溢れてる→CP愛の強い作品という印象になったのかな？と。
有料感想サービスのススメ
最初に目的を整理したとおり、有料サービスとして感想をいただくことで
・客観的、具体的、そして好意的な作品への評価
・自分の作品の長所や短所に対する気づき
・丁寧に見てもらえることでの承認欲求の圧倒的充足感
などなど、対価以上にたくさんのものを得られたと思います。自分の創作物を自CP以外の人に見てもらった（なおかつ感想をもらった）ことがほとんどなかったので、新鮮に感動しました。私の作品って"こう"なんだ…！ということを知るのは、今後の成長のうえでも、またこれからのモチベに関しても大事だなと改めて実感します。
趣味、好きでやってると言えど、発表するからには人に見てもらいたいもので。感想が来なくてつらい人や自分の地力を試したい人はもちろん、楽しいながらも漠然と（これでいいのか…？）ともやもやしてる私のような方にも、一度ポジティブに気持ちを切り替えるのにオススメしたいサービスです。とにかく褒めてほしい、モチベを高めたい時は甘口で、行き詰っているときは辛口で、と自分の状況や目的に合わせてリクエストできるのも魅力的です。
今回お願いした方以外にも同系統のサービスは色々ありますし、互いに個人のアマチュアなため相性もあると思います。まずは自分がどういう感想を求めているか？を明確にしてサービスを探していくと、より効果的で実りある体験になるのではないでしょうか。
あとシンプルに長文で褒めてもらうの気持ちよすぎる。褒め上手な方なんだなと文面からすごく伝わってきて、なんだろう…めちゃくちゃ上手い整体師さんにマッサージしてもらったようなハッピーで爽快でやる気に満ち満ちた気持ちになれます。最高！！
こんな時勢ですが、同人活動する人たちが楽しく気持ちよく創作できますように！！私も楽しく続けていきたいです。
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