【書評】『経済古典は役に立つ』 主要経済理論を分かり易く教えてくれるお得な本

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「〇時間で分かる経済学」といった類の本をよく見かけますが、だったら、この本を読んだ方がいい! 中身の質が違います。

著者・竹中平蔵氏は、言わずと知れた経済学者・元大臣。激しく称賛されるとともに、激しく非難もされる注目の人。2001年に小泉内閣に参画、構造改革を主導しました。

あらためてWikipediaを見てみると、恐ろしいことが書かれています。

「郵政解散後の第3次小泉内閣にて総務大臣兼郵政民営化担当大臣に登用され、法案作成に携わった。これは郵貯・簡保の資金を外資に売り渡すためであったと批判されている。 三ヶ月間の政府与党協議では特に徹底して罵詈雑言を浴びせられ、 前任の総務大臣である麻生太郎とは激しく対立し麻生からは、「あんたは霞ヶ関に嫌われている。あんたが言うから、皆反対に回る」、また官邸閣議では参加者から「いつか仕返ししてやる」と吐き捨てられた。」

多くの政治家、官僚、学者、民間人に非難されながらも、一貫して構造改革を推進し、変革を起こしています。経済は生き物であり、絶対的正解はありません。

そんな中、経済理論の素養をもたない大勢の人を説得するため、本当にこの政策は正しいのだろうか、と自問するため、幾度となく、さまざまな経済理論を頭の中で反芻し、ロジックを何度も組み立て、組み立て直したことでしょう。

その経験が本書に生かされています。

アダム・スミス、ケインズ、ハイエク、フリードマン等の経済理論が簡潔に説明されていますが、おそらく著者は、全く政策を理解しない・しようとしない政治家に対し、噛んで含めるように何度も説明したことでしょう。政治家にとって分かり易いように政治との関りを交えながら、工夫に工夫を重ねたことでしょう。

その経験があるからこその本書なのです。

巨額に膨れ上がった財政赤字。どれだけお金をつぎ込んでもよくならない景気。既存の経済理論に、今の日本の現状を解きほぐすツールは存在するのか。ぜひ、本書をきっかけに一緒に考えていきましょう。



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