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2024/7/28の三浦新

 モジユメ当日の朝、ぼくはいつも朝ごはんが食べられない。時間が無くて食べられないわけじゃない。そもそも早朝5時には目が覚めている。前日の会場準備で疲れているはずなのに。ワクワクしているのか。それともドキドキしているのか。そしてそれが緊張なのか興奮なのか、分からない。
 スタッフ集合時間のギリギリまで、いわきワシントンホテルの一室で時間を潰す。
 モジユメ会場に隣接している、いわきワシントンホテルの一室から出て、エレベーターに乗る。ロビーに出ると、大体はモジユメスタッフの始澤さんがソファーに座って新聞を読んでいる。けれども今日はいない。少し遅かったみたいだ。
 急いでモジユメ会場に向かうと、他のモジユメスタッフはすでに集まっていて、準備を始めている。ぼくも準備に加わる。
 少しすると、会場の外がにぎやかになってくる。こっそりと顔を出して覗くと、モジユメ受講生であろう中高生たちが早くも来てくれたようで、ちょっとした人だかりができていた。
 受付が始まり、受講生たちが次々と会場に入って来る。ここ数年、モジユメのスタッフをやっていると、やってくる受講生の顔にも、何人か見覚えがある。去年見たときから、顔立ちも振舞いも、ずっと大人びていて、落ち着いているように見える。
 緊張しているように、恐る恐る会場に入る受講生もいて、きっと初めてモジユメに来たんだろうなと思う。
 ぼくは、会場に入ってくる受講生一人一人に声をかける。
「おはようございます! 席はあちらにありますので、先にお荷物を置いていただいて、お時間までご自由に会場をご覧になっていてください!」
 毎年やっていることだけども、全く慣れる気がしない。頑張って笑顔を作って、精一杯の明るい声で話しかける。

 受付が終わり、いよいよモジユメが始まる。会場の明かりが落とされていて、OP動画がスライドに流される。受講生たちの真剣な表情が、スライドの光りが反射して、青白く照らされる。ぼくはこの光景が好きだ。みんなが一つのものに集中しているのが、とても神秘的に感じる。
 OP動画が終わって、講師の実川れおさんが登場する。軽快な語りで受講生たちを和ませる実川さん。スタッフと、受講生たちの自己紹介も終わり、いよいよモジユメのトークショーが始まる。
 ぼくたちスタッフはその間、控室で早めの昼食や準備などを済ませる。

 ランチタイムが始まり、受講生たちが昼食を済ませ、会場展示を眺めていく。今年のモジユメには新しく、受講生の展示ブースが設営されていて、受講生たちが持ち込んだ作品や、好きな作品紹介のシートが展示されている。そして毎年恒例になりつつある、始澤さんのタイプライターズのブースもあって、本物のタイプライターも置かれている。
 会場の後方にあるホワイトボードには、受講生が自由にイラストを描いている。

 集合写真を撮った後は、いよいよワークショップの時間。ぼくたちスタッフがメインで動く時間だ。
 アイスブレイク「共通点探し」が始まって、担当した受講生グループでたくさんの質問をしあって、共通点を探す。
 初めてのモジユメに参加する受講生もいて、みんな楽しく共通点探しできるか、少し不安だったけども、楽しそうに話す光景を見て、安心する。
 次は「感想共有会」が始まる。受講生たちに事前に書いてきてもらった「モジユメの宿題」をグループ内で回し読んで感想を共有し合う。みんなそれぞれ色んな物語を書いてきてくれて、読んでいるだけでぼくも新鮮な刺激を受ける。
 最後に「スゴロク★シート」で、グループの受講生みんなで一つの物語を作る。お題となるカードを引いて、お題に沿った一文の物語を、それぞれ書いて、それをつなげていく。
「え~! ここからどうつなげていけばいいんだろう!?」
「この終わり方にするにはさぁ」
「おもしろいその展開!」
 次々と斬新で面白いアイディアが出てきて、ぼくも嬉しくなる。

 そこからはあっという間にエンディング。そして後片付け。モジユメが始まる直前までは、とても長く感じるんだけれど、始まってしまうとあっという間に終わってしまう気がする。
 今まで以上に、盛り上がって熱いモジユメだったと思う。(会場の空調が壊れて、実際にとても暑かったらしい)
 毎年毎年、受講生たちから色んなことを学ばせてもらっている。若い感性に直接触れることで、ぼく自身の創作意欲が高まる気がする。そして何より、モジユメにスタッフとして参加しないと、夏が始まった気がしない。これからもぼくは、モジユメに関わっていきたいなと、少しずつ涼しくなって、過ぎ去っていく夏を感じながら、しみじみ思うのだ。

【おまけ】いわきで猫に絡まれる三浦の図

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