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【全文公開】人にやさしく

きょう3月11日の朝、SNSにこんな画像を投稿しました。

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人にやさしく。

これはでも、誰か他人に対して呼びかけているわけではありません。

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いまから10年前のこの日、東日本大震災が発生しました。当時、吉祥寺でカフェをやっていたぼくは幸い大きな人的・物的被害を受けることなく済みましたが、その後の節電や外出自粛の影響、原発事故への不安などもあり元のペースに戻るまでにはけっきょく数ヶ月の時間を要しました。

しかし、そんななか、この悲惨な災害があったからこそ沢山のひとの「やさしさ」に触れえたのもまた事実です。

お客様から声を掛けてもらい、カフェを窓口として最初に石巻市、次いで山元町へと食糧や生活物資を届けるお手伝いをさせていただきましたが、常連のお客様やスタッフをはじめ、全国各地から少なからぬ募金が寄せられました。また、そこから派生してスタートした写真洗浄プロジェクト「あらいぐま作戦」にも多くのお客様がボランティアとして参加してくださり、その活動は意思を引き継いだメンバーの方々によりいまなお続いています。

また、個人的にも、SNSを通じて日本各地や海外から寄せられる安否を気遣うメッセージに大変励まされ、勇気をもらいました。あるとき、節電による生産調整の影響でメニューに必要な品物が手に入らず困っているとTwitterでつぶやいたところ、ご自宅で備蓄されていたものをわざわざ届けてくださったお客様もいらっしゃいました。そうした、ひとつひとつの「やさしさ」に当時いかに助けられたかわかりません。

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あれから10年の月日を経て、はたして自分もまたあのような「やさしさ」を人に届けられているだろうか? と考えるとき、相変わらず自分のことで手一杯でまったくできていないことに思い至り、ただただ恥じ入るばかりです。

だから、あの時に触れたひとの「やさしさ」のぬくもりをあらためて思い出すとともに、

人にやさしく

ということばを心に刻みつつ一日一日を過ごしていきたいと思っています。

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