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夜明けのピクニック

180.Gökotta

スウェーデン語に「Gökotta」ということばがあるそうだ。スウェ語の発音は超ムズイので正確な発音はわからないが、イェークータとかヨークオッタとかそんな感じ。

意味は、

日の出とともに起床し、朝一番の鳥の声を聞きに出かけること。夜明けのピクニック。

ということらしい。「いいね」×100。

ちなみに「Gök」は鳥の「カッコウ」、「otta」は古いスウェーデン語で「早朝」という意味だとか。カッコウといえば「春告鳥」というくらいなので、Gökottaには春の訪れへの北の人びとの喜びの感情も込められているような気がする。

ここ最近、体調のせいで早朝に目を覚まししばらく眠れなくなる日が多く、結果的にぼくもこの「Gökotta」を(室内でだが)楽しんだ。このあたりだと、さすがにカッコウには出くわさない。カラス、シジュウカラ、スズメ、あるいはオナガあたりが早起きのようだ。

カラスは気が早く、まだ夜が明けきらないうちから鳴き出すものもいる。4月くらいまではまだぎこちなかったツピーツピーというシジュウカラのさえずりも、いまではすっかり板についている。なんとなく、学芸会を見守る親の心境だ。

まだ眠っている街の片隅で鳥のさえずりを聞いていると、都会にあっても自分がいま自然の一部であることを体感できる。1日に一回でも、そういうふうに感じることのできる時間をもつことは、人工的なリズムに慣らされてしまっている人間にはじつはとても大切なのではないかと感じる。

Gökotta。忘れないようここに書き留めた。

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